私は朝日新聞ニュースサイト asahi.com のファンだ。
何か暇があればしょっちゅう asahi.com を見に行く。
ただ「有料会員登録」しての購読はしていない。
面白そうな記事が途中で「ここから先は有料です」と途切れると「ぐぬぬ」となる。
「会員登録」ボタンを押せばいいのだが、なぜか押せない。気分が悪くなる。
その理由、そのきっかけとなった3.11事件から、ちょうど10年になる。
ここでそっと、当時のことを吐き出したい。
10年前、3.11 が起き、数日後、福島第一原発が水素爆発事故を起こした。
今の新型コロナ禍に匹敵するほどの暗い空気を当時の日本は覆っていた。
日々、自問自答する。「なぜこうなったのか。我々はどうなるのか。」
曰く、「原発事故の原因は、従業員が発電所所長の命令に反して逃亡したからだ。
そのことを詳述した非公開の『吉田調書』を我々は独自に入手した。」
日本は大騒ぎになった。
これまで、asahi.com はずっと記事は無料だったのだが、
この吉田調書の記事の頃を境に、スクープ情報は記事単位で有料となった。
私は夢中でお金を払って、朝日の原発スクープ記事を購入しまくった。
この朝日報道を多数の海外のメディアが孫引きし、日本の名誉もまた地に落ちた。
その後の「吉田調書」に関する顛末は、覚えている方も多いだろう。
当時、すでに死亡していた吉田所長の希望により「非公開」であった調書は紆余曲折あり、公開された。
公開されたその夜、朝日新聞は記者会見し、自らの報道はウソデタラメであったと認め謝罪した。
報告書で詳述された所員はみな、誠実・懸命に事故に対処していた。
ときには現場に無理解な上層部や政府に逆らいながらも、懸命に対処しようとしていた。
その後、国会図書館で調書と3つの「福島原発事故調査報告書」を読んだ。
そこには、朝日新聞と当時の政府、特に菅元首相の蜜月関係が示唆されていた。
事故対応に陣頭指揮する菅首相を肯定的に報道する見返りに、朝日新聞記者が優遇されていたのだ。
朝日新聞は誤報してたわけではない。記事を売るために、故意に捏造していたのだ。
調書は「非公開」であることを利用していたのだ。
非公開であることを望んだ吉田所長はすでに当時、鬼籍に入っていた。
関係者が死んだ以上、「非公開」扱いの情報が公開されることはないと踏んで、好き勝手に記事を書きまくったのだ。
そして私はそれに軽々しく乗っかってしまい、嘘の報道に一生懸命、課金したのだ。
私はとても悲しい気持ちに襲われた。
私が朝日の舌先に載り、ウソ記事に一生懸命払ったお金は、返金されることはなかった。
そのことがどうしても私の頭から離れることができない。
でも、一生懸命、「真実を知りたい、そのためにお金を払っても情報が欲しい」という自分の願いを
裏切られた気持ち・・・「売れさえすれば、真実はどうでもよい」というマスコミの本質・・・
に迎合できない自分が、未だに朝日新聞の情報に対して「お金を払う」という行為を躊躇わせている。
なにしろ毎日3回は asahi.com に行き、散々無料記事を堪能しているからだ。
だから、自分の態度は不誠実なことも知っているし、きちんと金を払いたいと思っている。