2020-07-31

祖母の死に水がオロナミンCだったのが悲しい(追記しました)

この冬に亡くなった父方の祖母は、祖父の初婚の相手が病没してからの後添いで、最近後家でもあった。

彼女祖父再婚したとき、すでに父も伯父も成人していたので、祖母を慕うでも疎むでもない、いわゆるおとなの距離感だった一方、私と母は祖母とずっと仲良しだった。

祖母血縁関係がないことを知ったのは小学生時代の半ばだったが、「あ、まじ?」くらいのかんじで、祖母のことは変わらずずっと好きだった

80歳になった頃から認知症が出始めて、以降はちょっと若返り、ずっと79歳で通した。

90歳近くになっても「80歳になったら遺言状を書く」と言い続けていたので、遺言状書くのが潜在意識レベル億劫だったんだろう、気持ちは79歳のまま、91歳で亡くなった。

歳もとしで、生存してる知己も皆無のため、葬儀では町内会長が弔辞を読んで下さった。

会費払うくらいの活動しかしてなかった祖母に対して「〇〇地区の発展のためおおいに尽力されました」は、いくらなんでも高齢者汎用弔辞丸出しだなと思われたから、私が親戚代表でお別れのことばを読めてよかった。

私は次男の娘、しか結婚して姓も変わったというはんぱなポジで、完全に押し付けられたかっこうだけど、彼女のことを好きだったから、そういう人が読んだほうがいいと我ながら思ったのだ。

祖母は私達家族がたずねると、「今くるところと思っとったとよ」と言って迎えてくれ、帰るときは「もう帰るとね。泊まっていけばよかやんね」と送ってくれた。

電話を掛けると、「今かけようと思っとったとこやった。気は心たいね」と言った。

彼女には決まり文句があった。

それが大好きで、もう聞けないと思うと寂しくて仕方ないと、そうお別れのことばをのべながら私は泣き、母も泣き、その後の進行でも泣き通しに泣いていたのだが、式の最後、死に水をとる段(祖母地域では、菊の葉っぱに飲料をつけ、遺体の唇を湿らせる行為)になって涙が引っ込んだ。

死に水がオロナミンCだったのだ。

葬儀場の人がすんごいしめやかにオロナミンCをご用意いたしました」って言いだしたとき、死んでるのに元気ハツラツもあるかよ、と思い、さっきまで泣いていたのに急転直下で笑いをこらえるはめになった。

のちに、伯父が気を利かせて手配したと発覚するのだが、それにしたって死に水がオロナミンCとは……と思うと同時に、私はかすかな違和感を覚えていた。

おばあちゃんオロナミンC飲んでたっけ? 

生前祖母はたしかにこの手の飲み物を愛飲していた。夏場に行くと茶色い瓶を差し出し、増田ちゃんも飲まんね、と勧めてくれた記憶もある。

ならばオロナミンCを飲んでいたのだろう。よく生協からとっていたという記憶もまた、あるにはある。

葬儀後、伯父は、我ながらオロナミンCナイスプレイだった、祖母子さんは(伯父も父も、決してお母さんとは呼ばない)オロナミンCが好きやったけん、と自ら言いまわっていた。伯父は祖母敷地内別居をしていたので、離れて暮らした私よりよほど祖母生活に詳しいはずではある。

そんなわけでオロナミンCで死に水をとったのち、祖母は骨だけの姿にかわり、四十九日を納骨の日と定めて再度集まった。

その日、葬儀ときは訪ねなかった、祖母が亡くなる直前まで暮らした家に寄り、私はそこで、おもいもしなかったものを目にした。軒下に大量の茶色い瓶が置いてある。

あーほんとに大好きだったんだな、おじいちゃんに怒られるくらい飲んでたよな……と思って瓶の群れに近付き、私は雷に打たれたような衝撃をうけた。

瓶が……でかい! 

これは、オロナミンCの瓶ではない……!

とっさに写真を撮って友人にLINEしたら、すぐに

「それはもうデカビタやんか」

とかえってきた。

まさかミルクボーイまさかの全力チャージ

葬儀ときになんとなく感じた違和感の正体はこれだった。いま、瓶を見てはっきり思い出した。

祖母が勧めてくれたのは、小さな瓶のオロナミンではない。

大きな瓶のデカビタだったのだ。

おばあちゃん、死に水をエナドリ(?)にされるという素っ頓狂な目にあったうえに、銘柄を間違われてる……。

そのことがわかったとき、私はほんとうにほんとうに、心の底から悲しくなった。

実子のない後添いの、そして後家の、なんとつらく悲しいことかと思ってしまった。

成人してから出来た継母への興味なんて、そりゃ愛飲しているのがオロナミンかデカビタかもわからない程度のものなんだろう。

だって自分立場に置き換えたらそうなるかもしれない。

それにしたってあんまりじゃないか

町内会長にはなんの罪もないどころか、参列の上弔辞まで読んで頂き感謝しかないが、あの汎用弔辞や、祖父の前妻が眠っているからという理由一族の墓とは別に用意された納骨堂のことも、全部全部悲しく、やりきれなかった。(が、私が祖母なら納骨堂に入りたいなとも思った)

そして何より祖母に会いたくて仕方なくなってしまった。書いている今も祖母に会いたい。

が、あの世に向かって全力チャージしてしまった祖母とは、永遠にとは言わずとも、当面会う事はできないだろう。

どうしていいかからないし、どこにもこの気持ちを持っていきようがないから、とりあえず、オロナミンとデカビタで、利きエナドリ(?)をやってみたいと思っているし、できたら両者区別がつかないといいとも思っている。

という話を、葬儀後、大学時代サークル仲間で餃子パーティをしたときに話した。

その場の人たちは、参加したい、どうせならドデカミンリアルゴールドミラクルVなども加えて盛大にやった方がいいと言ってくれたが、直後のコロナ禍でまだ開催できていない。

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追記

半年以上、祖母の死に水オロナミン事変についてもやもやしてたのもあり、長くまとまらない吐き出しだったのに、たくさんの人に読んでもらえていてびっくりしました。ありがとうございますコメント全部読みました。これからもらえる分あったらきっとそれも読みます祖母を悼んでくださった方、本当に恐れ入ります。これを自分で言うのも野暮ですが、リアルゴ……実話です。

オロナミンはデカビタの上位互換なので大丈夫、という意見散見されてかなりとほっとしました。

1月、家のまえにいた迷子のおばあちゃんをご自宅まで送っていったときのことを増田を書いたら、思いがけずいろんなコメントをいただけて、それを読んで少し気持ちが整理できたということがあった、その直後に祖母が亡くなり、まさかオロナミン事変。

こんどは自分のおばあちゃん葬儀についてなかなか気持ちのか整理がつかず、もう一度……と思って増田に吐き出したら、笑ってもらえたり、やるせなく感じた部分をわかってくれる方もいてうれしかったです。

あと、知らないエナドリ(?)もあがってたから、利きエナドリやるときは買い集めようと思います

  • 不覚にも笑ってしまった

    • 葬式ではなんとかこらえたけど、デカビタの瓶見たときは悲しくなったのに同時に笑ってしまい元増田的にも大変不覚でした

  • おばあちゃんもオロナミンCのでかいのあるやんけってデカビタ買ってただけだと思うよ 味はオロナミンのがうまいもん

    • あんだけ瓶があるの見るとデカビタにこだわりがあった可能性もちょっとある気がしてるんだけど、コメント読んで少し気が楽になった。 ありがとうございます。

  • ミンナミンCのことも忘れないでください

  • 徳島県民だからオロナミンCとデカビタを間違えることが理解できない オロナミンCのキャップを開けた時に出てくる白い煙が好きだ

  • 全然元増田には関係ないけど、死んだ祖母が、炭酸のジュースは体に悪いと言って絶対に飲ませてくれなかったのに、オロナミンCは体に良いから飲めと勧めてきたのを急に思い出してな...

  • 死後一夫多妻も許容できる社会になって欲しいな。 祖父、前の妻、後の妻の三人が一緒に眠るお墓も素敵だよ。

  • 昔、オロナミンやヤクルトをたっぷり飲めるデカビタやピルクルが流行ったな。サッカーのカズがデカビタのCMをやってたのを考えると30年くらい前か。ジュースを大量に飲んで喜んでい...

  • 昔、ディズニーランドで大村崑さんをみたことあるー。 まさにゲンキハツラツオロナミンCといえば崑さん ごはんですよも崑さん

  • じーちゃんがよくミンナミンCを買ってきてたのを思い出した

  • オロナミンC飲みたくなってきた 缶ばっかの自販機で一際存在感を放っててさ 子供の時の憧れだったよね

  • おばあちゃん、こんなに思ってもらって、嬉しいと思うよ。文章が軽快で笑ってしまった。とても素敵なお孫さんですね。

  • ネタかと思ってしまったんだけど、末期の水が酒っていうのは割とあるのね

  • そこはお浄め的なあれで酒で、九州なら焼酎とかになるもんでないの...? この話面白すぎる

  • 瓶が……でかい!  ワロタ

  • オロナインH軟膏を想像してしまったので、おかしな話だと思って読み始めた。オロナミンCで良かったと思う。

  • じーちゃんばーちゃんの世代って、なぜかオロナミンCで風邪が治るんだよな どんだけピュアなんだあんたら、と身も心もγ-GPTも汚れてしまった俺はいつも思う

  • ミルクボーイの2段オチのところふふふってなった

  • ワイはストロングゼロを死に水にしたやで

  • リポビタンDだったら逆転フラグだったのにな。

  • オロナミンCまでは読んだ

  • 大人になってから気付いたんだけど精一杯空笑いしてから泣くと凄く悲しい気持ちになるんだよな 人間の感情って袋みたいになっててその中を満たしてたものを吐き出して新しく別のも...

  • 哀と笑が拮抗する絶妙な文章! 最後は「あの世に向かって全力チャージ」が決め手となり、笑が勝利してしまった私をお許しください…。 かぢろー

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