この記事は全国にわずか数万人しかいない医学生向け、それも次年度から5回生となる人にしか分からない内容だと思う。
でも心底むかつくことがあったから書き残しておく。
医師国家試験対策には、恐らく90%以上の人はメディックメディアという会社(医学教育で現在最大手)が出版している『クエスチョンバンク』通称『QB』なる過去問集を買うことになる。
だがこの過去問集、とんでもなく量が多く、vol.1~5という分冊になっていて、しかも1つが1万円以上する凄まじい代物だ。
(正確には6と7もあるが、今回の話には関係ないので触れないでおく)
QBには『QBオンライン』というサービスがあり、これはその名の通りQBの内容をオンラインで使うことができるものだ。
機能は多彩で、
・解いた際に〇、×、△などをつけられる
など書籍ではできないことも一部出来るようになっている。
ここで重要な話があり、『QBオンライン』はQBのvol.1~vol.5を全て購入し付属のシリアルコード5つを入力しなければ使えなかった(2018年2月時点)。
そう、使えなかった。これが今回の話の肝である。
では、ことの顛末を記していこう。
時は2017年の秋。私の大学でQBの共同購入の話が舞い込んできた。
『実習国試応援キャンペーン』(https://www.youtube.com/watch?v=GLSE869iY54&feature=youtu.be)
・QB vol.1~5
・year note(国試対策定番の参考書。これもなんと24,000円する)
をセットで予約すると特典として
・電子書籍版year note(12,000円)が無料かつ申し込み後即利用可能
・生協の好意で普段の10%オフが15%オフになり、3000円の商品券も付く
というキャンペーンであった。
当時は、
「まあどうせ全部買わないとオンライン使えないしなぁ」
「もし後で新品買うことになったら割引分の7000円ほど損だしなぁ」
ここで罠があったのだが、先述のように申し込み後即サービスが利用可能になってしまうという仕様上、
であったのだ。しかも、国試対策委員から流れてきたLINEにはこの事実が書いていなかったため、完全に頭から抜けていた。
そして時は流れ2018年3月。QBの発売を目前にしてとんでもないQBオンラインの仕様変更のニュースが流れてきた。その内容は
・シリアルを1つでも登録すれば、全問題の閲覧・演習(各種便利機能も)+登録した巻の解説の閲覧が可能に
・シリアルを登録しなくても全問題の閲覧・演習が可能(各種便利機能は制限)
……………………………は?ちょっと待て、おいおい。本気か?
ならばなぜ5冊セットで予約を強要させた?
この情報があらかじめ分かっていたら苦手な科目だけ買うとか、そういうことを考える余地もできたんですけど?
(それと同時に色々調べてみたら、医師国家試験過去問データベースなるQBオンラインと酷似したサービスが完全無料で使えることに気づいたのはかなり効いた)
(そもそも医師国家試験の過去問自体は厚生労働省が解答とともに公開していることは知っていた)
(最近になって、1年前とか2年前のQB買えば10000円ほどで揃えられることを考慮したもののキャンセル不可能ということに気づいていなくて不毛な悩みだった)
結局自分が情弱というか、自分が本当にオンラインのサービスを使いたいかどうかを悩まなかったのが今回の痛い失敗の原因ではある。
80,000円近い買い物で、予約〆切後発売間近になってここまで大幅なサービスの仕様変更(しかもキャンセル不可能である)は普通あり得ない。
このタイミングでQBを買う顧客が全国合わせてもせいぜい10,000人ほどしかいないからこそ問題にならないのであって、もしこれがもっと違うポピュラーな業界(はれのひ騒動なども記憶に新しい)で起こったならば、大きな火種になりうると思われる。
確かに結局オンラインのサービスを完全に利用するためには全てを購入することになるだろう。
ただ問題なのは、この新しい仕様を知った状態なら異なる選択肢が考慮されただろう、ということである。
「AとBとCという商品を全て購入したらDという便利なサービスを利用できます。更に今なら早期セット購入特典で割引になります」
からの、〆切後に
「AかBかCのどれかを購入すればDというサービスを一部利用できるようになりました。あ、でも今さら予約キャンセルはやめてね?」
って、やばない?
という話。