※ネタバレあり。
アニメ制作はここまで完了していて、続きはまだ制作中なのかな? とりまアマプラでは12話で一旦最終回っぽい。
物語の舞台は古代中国っぽい感じ。世界は上中下の三つの世界に別れている。最上階が神々の国、中間が人間界、最下層が鬼の世界。
主人公のシェ・リェンは元は人間界生まれの王子様で、だから「太子殿下」というあだ名で呼ばれている。太子殿下は二度天界に上がり神官となったものの、諸般の事情で二度とも追放され、人間界に落とされた。祖国はすでに滅びていたので、太子殿下は廃品回収をして糊口をしのぐことになった。
そして800年後、彼は三度目の飛翔をし神官に返り咲いたが、神官としての名声は地に落ちきっており信徒もいない。しかも飛翔をしたときの衝撃でうっかり器物損壊をしてしまったため、多額の賠償金を払わなければならなくなった。
そこで太子殿下はまた人間界に戻り、人々の抱えている問題を解決して徳(いいことをすると貰えるポイントのようなものらしい)を稼ぎ、賠償金を払うことに。そして自分を祀るお堂を建てて信徒を増やして神官としてのレベルUPをはかることになった。
……というあらすじらしい。間違ってたらごめん。
原作はBLなのだけど、主人公の太子殿下が受けで、攻めは後に家出少年の三郎(サンラン)として登場しレギュラー入りするが、実は1話の終わり辺りで既に登場している。
中国ではBLは規制対象のため、このアニメ『天官賜福』も非BL作品として造られているが、規制の網の目を潜ってちょくちょく萌をぶっこんでくる。
まず、第1話でギャグの体で主人公太子殿下が花嫁衣装を着、攻めが婚礼衣装のような真っ赤な服(たぶん普段着だが)を着て合流、太子殿下をエスコートして事実上の結婚式を挙げてしまう。
その数話あとから攻めは家出少年三郎(サンラン)に扮し、太子殿下が自分のお堂を作るのをお手伝いをしてそのまま居候になる。事実上の新婚生活の開始である。
ヤベェ、中国思った以上にフリーダム。日本だったらBL作品という時点でスポンサーが着かなくてアニメ化自体が成功しないのにね。
中国では一般の人々も老若男女問わずに知ってるくらい人気のアニメなのだそう。人気があれば原作がどスケベだろうが別に構わないのだろうか。まあ、私は原作読んだことないからどスケベなのかどうかは知らないけど。でも同作者の『魔道祖師』は読んだが、今時の日本ではなかなか見ないタイプのどスケベ小説だったょ……。
異文化の国からやって来たアニメなので、設定がよくわからんのはある程度仕方ないと思うのだけど、それにしたってよくわからない。
とくに砂漠の中にある半月国に行ってからというもの、本編が実質14分くらいしかなくて、前回までのあらすじと本編後の中国無形文化遺産の紹介に尺を食われまくっていたのは、一体なんなのだろう?
本国版からして既に制作スケジュールの問題か何かでグダグダになっていたのか、それともアマプラ配信用に強引に尺を詰めたらああなったのか。そこら辺の事情を私は全く知らないんだけど、なんかもっとこう……なんとかならなかったのかな! ストーリー訳わからなさすぎて、萌えを楽しむどころの話ではなかった。
それでもTwitterを見ると「今回は泣いた」とか感想を述べている人々がおり、あれでよく感動できたな、それとも私がおかしいのか? と首を傾げてしまった。
最終回の12話のエンディングは映像がきれいで良かったが、もっぱら既出場面の再編集であるので、すごいとは言えない感じだったな……。
ちなみに、中国の規制は日本よりも厳しげというイメージを漠然と持っていたけど、そんなことはなさそう。原作では首吊り死体として登場する人物が丸太にくくりつけられた状態での登場に改変されていたり、キョンシーの群れを屠ってお肉の塊にする場面は暗転して、肉塊は見えない所に片付けられていたけど。一方、普通の人間が殺される場面はわりと普通に流血して死んだ。
魔道祖師もだったけど、ストーリーに支配者階級の政権争いや政治腐敗が絡んできて、それを社会のはみ出者の主人公が暴露いていく物語だったりするので、中国でそういうのがセーフ扱いされているのが意外だった。
ただし、『天官賜福』では支配者階級は「神々」で人間は下界で人間の国を成しているし、『魔道祖師』も人々の上に立つのは政治家ではなく仙道を修行する修士達なんだけど。
ともあれ、原作小説の日本語訳が早く出版されるといいな。面白そうだから。