2016-11-14

かわいい女になんて、なる必要なかった

一昨年、娘を産んだ。

3年の婚活をし、2年の妊活をしての出産だった。

出産後は、それはそれは大変だったけれども、大きな肩の荷物を下ろした気持ちになったことを書いておきたい。

まず、小学校から、私は「ブス」「でかい女」と言われていた。

男子からは、ランドセルを蹴られ、ツバを吐きかけられ、泣いたら「わー泣いたー」と笑って喜ばれる。そういう存在だった。先生相談しても、「あなたのことが好きなのよ」という、何の慰めにならないようなことを言われ、何の対策もされなかった。最終的には、泣くのもバカバカしくなって、蹴られたら蹴り返すようになり、さらに「わーゴリラー」と言われるようになった。

それが中学生になり、殴る蹴るなどの暴力行為はなくなり、だんだんと「お前はブスだ」「女として見られない」という言葉のみが残った。

先生や兄にまで言われるので、私は、自分美人かわいいと言われる存在ではないんだな、ということを、ただ当然の事実として受け入れられていた。高校になっても同じで、私はオシャレというものを「そういうことを許される存在ではないから」と、学ぶことすら放棄した。

両親や祖父祖母が「かわいいよ」と言ってくれても、受け入れることができなかった。

大学生になり、好きな人ができた。

女として見られたことがない私を、「女の子なんだから」と当たり前に女性として見てくれた人だった。

今思うと、言動も態度も軽い男性なのだが、私はその人のために、10キロダイエットをし、化粧を覚え、オシャレな服を選んでくれと友人たちに頭を下げて、一緒にショッピングへ行った。

結局その恋は叶わなかったが、「自分女性なんだ」と、ようやく思えた瞬間だった。

社会人になり、会社就職した。自分お金お酒を飲むようにもなった。

そこで直面したのが、「女性とは」という押し付けだった。

「女なんだから

「女なのに」

「女は」

初対面の取引先の人に、「もっとおっぱい大きい人に担当変えてほしい」と面と向かって言われた時は、さすがに顔をゆがめたけれど。

電車痴漢された時に、上司に「良かったじゃないか。お前でも触ってくれる人がいて」と慰められた時。

半年彼氏がいないの? あそこに蜘蛛の巣はっちゃうよ」と男の同僚に笑いながら言われた時。

生理休暇をとった同僚について、「そこは自己管理問題だろ。なあ?」と怒る先輩に同意を求められた時。

私は怒ることだということすら分からず、ただ笑って「そうですねえ」と受け入れていた。

30歳を越えて、「生き遅れ」「女として終わった」と言われる現状を、笑って受け入れた。

「35歳を越えると子宮が腐る」と言われたことを、受け入れた。

「女なんて若いうちだから」と言われることを、受け入れた。

子供を産んでいない半人前だから」という言葉を受け入れた。

婚活をはじめた時に、何度も「女は30歳まで」と言われるのを受け入れ続けた。

無意識に、「男に求められて結婚して子どもを産んで、ようやく女は一人前」という言葉洗脳されていた。

今の夫は、学生時代からの友人だ。飲み会中に、前の彼女と別れたという報告を聞き、その場で私から口説いた。

その時に、ようやく自分自由になれた気がした。

そうして結婚して子どもを産んで、ようやく楽になった。

もう周囲に何も言われなくてよくなった。

この感覚言葉にするのは、とても勇気がいることだけど。

ずっとバカにされていたことを、「男の人って」「社会って」そんなものだと思い続けた。

もうちょっと言うと、「そうやって、顔をゆがめず、私は気にしない、とスルーすることが、世渡り方法なんだ」と思っていた。

だって、そうしないと、「モテない女」という、最低な存在になってしまう。戻ってしまう。そう思っていた。

そうして、ようやく「結婚して子どもを産んだ」という事実で、一息つけて、昔の自分を振り返ることができた。

もっと怒って良かった。

バカにするなと泣いて良かった。

小学生の私は、戦っていた。

私は「ブス」ではない。大きいけど、それでバカにされるいわれはない。バカにするやつが悪い。

先生に、「笑いながら流すな」と言いたかった。

上司に、先輩に、同僚に、「女をバカにしてるって気付いてる?」って言いたかった。

それらを流して流して、次の女性に悪習を残してしまった。

次の女性は、そのうち娘になる。

娘が、自分容姿や体の形で、男の人に受け入れられないと悩む人生は歩んでほしくない。

娘が、自分のことをブスだから、と、若いうちに着飾ることを恥ずかしく思う人生になってほしくない。

娘が、性的バカにされるような人生を送ってほしくない。

そのためには、声を上げ続ける。

「女だから」とバカにするやつを、怒る。

それは、昔テレビで見た、ヒスババア揶揄され、「かわいくない女」と言われていた、あの人やこの人のようなことなんだろう。

それでも私は、世界の片隅から声をあげ続けなければいけない。

かわいい女になんて、なる必要はないし、そうでない女をバカにしていいルールなんて、無くなった方がいいんだ。

夫にそういったことを話したら、「そんな、『かわいい女』をパートナーに求めている男ってどれぐらいいると思っているの?」と逆に聞かれた。

驚いて、夫に私の好きなところを聞いたら、「僕を引っ張って行ってくれるところ」と答えた。

かわいい女になんて、みんながなる必要はなかった。そんなことも知らなかった自分のために、私はこの記事を書く。

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