2014-12-31

#GGXrd は玄人向けゲーム

はじめに

対戦格闘ゲームGuilty Gear Xrdコンシューマ版(PS3/PS4)が12月4日に発売となりました。

このゲームは、発売前から公式攻略wikiが整備され、また各種メディアでの先行情報でも初心者向けのPRACTICEモードの充実が謳われるなど、プレイヤーの間口を広げようという取り組みが精力的に行われていたような印象を受けます。新しいキャラクタービジュアルなど、魅力的なフックもあったことから、少なから初心者が実際にこのゲームを購入したのではないでしょうか。

私もその1人でしたが、しかしいざ蓋を開けてみると、はたして全く初心者フレンドリーゲームとは言いがたい実態を目の当たりにすることとなりました。この文書は、私と同じように金と時間を浪費したうえ不快な思いをするような人が新たに生まれないよう、警鐘を鳴らすことを目的としています


本質的初心者ストレスたまるゲームデザイン


攻勢側が有利なゲームデザイン

前述公式wikiでも言及されているとおり、このゲームは攻めている側が有利になるようなデザインになっています。これは攻勢側のガード崩し手段豊富だというだけではなく、守勢側が切り返しアクションを的確に使えないと攻守交替できない(いったん攻勢側の攻め手が途絶えても、すぐ再開してしまう)ということもあります

典型的なのは画面端の攻防でしょうね。他の対戦格闘ゲームにおいても画面端に追い詰められるのは非常に危険な状態ではありますが、前述のとおりこのゲームでは攻勢側が有利で、またいったん画面端でコンボを入れられてしまうと脱出するのが非常に困難であることから、追い詰められている側は相手のコンボを食らわないような立ち回りをかなりシビア要求されます。その部分の駆け引きこそがこのゲーム醍醐味の1つとも言えるでしょう。


長いコンボダメージを稼ぐゲームデザイン

このゲーム主人公ソルの基本コンボ紹介動画(ニコニコ動画)をご覧ください。特に画面端においてコンボ数が増えダメージも増えていることがわかるかと思いますコンボの長さとしてはこれでも短いほうですし、守勢側が脱出ミスるミスったぶんだけ殴られ続けます

他のキャラも同様で、このゲームで大ダメージを出そうと思ったら、ワンチャンから長いコンボを決めるのが基本です。


初心者は熟練者のお手玉

さて、上記2点のゲームデザインのもとで実力差のある2人が戦ったらどうなるか。

答えは簡単で、実力に劣るほうが一方的に殴られ続ける状況が容易に発生します。特に初心者は、ガードを強制され続けている状況からの的確な切り返しがわからないため、下手に何かするよりもガードしているほうが安全になり、さらにそこを上級者に付け込まれガードを崩されます。ガードを崩されてしまえば長いコンボ一直線で、そこから脱出手段初心者はおぼつかないため、コンボ1セットをフルに食らうか、悪くすれば複数セット食らうことになります

まり初心者にとってこのゲームは、試合中の大部分を、一方的自分が攻められているだけの時間として体験します。

前述した攻防の駆け引き醍醐味がわかるなら、たとえ負けても楽しめるだろうとは思いますが、初心者にはその駆け引きの妙がわかりません。そもそも(コンボ食らってる時間が長いので)駆け引きの生じている時間自体が短いかもしれないし、だとするとその対戦を反芻して何か学ぶことさえ難しいかもしれません。そういった状況で、ゲームの何を楽しめばいいんでしょう?


初心者には意味のないPRACTICE


冒頭に述べたとおり、このゲームには練習用のPRACTICEモードが用意されています。確かにボリュームは多いのですが、実はそのほとんどが、長ったらしいコンボの練習に費やされています

もちろんコンボの練習も不要というわけではなく、与ダメージ量を増やしていくうえで大事な練習項目ではありますしかし既に述べたとおり、初心者にとって攻防の駆け引きの仕方こそ最優先に必要技術なのではないでしょうか。どんなに長ったらしいコンボを練習しても、実戦でそれを使う機会に恵まれなければ(攻守を切り替えて自分が攻める側に立てるようにならなければ)何の役にも立ちません。

デッドアングルアタック(ガードを固められてから切り返し)の練習やリバサ(起き上がり最速行動)の練習はMISSIONモード内に含まれはいますが、これらの練習は失敗しても何が悪かったのか(ボタン入力が早かったのか遅かったのか、そのレベル情報さえ)教えてはくれません。これならTRAININGモードで自主練しても同じことで、ことさら初心者に優しいPRACTICEとは口が裂けても言えません。

結局このゲームのPRACTICEモードは、熟練者がコンボ確認するためだけのモードに過ぎず、初心者が本当に必要なことを練習させてはくれません。


ユーザ間の情報交換を阻害する公式wiki


公式wikiに記載されている情報も、つまるところPRACTICEモードと同じで、熟練者にとってのみ有用ものしかありません。

キャラ別の技リストコンボリストフレームテーブル、いずれも膨大な情報量ですが、それらを見たとして初心者の攻防の立ち回りが改善するでしょうか?本当に必要なのは「このキャラであのキャラと対戦する場合、ガード固められたらこう抜けろ」「起き攻めにはこう対処しろ」という実践的な情報なのではないですか?

何よりも問題なのは、そういう(初心者の役に立たない)サイト公式wikiを名乗っていることです。

多くの場合ゲーム攻略wikiゲームプレイしている有志が情報を持ち寄って編集され、特に対戦格闘ゲームだとキャラ別の立ち回りなども詳細に記述されたりします。しかしこのゲーム場合公式wikiが先に用意されてしまっているため非公式攻略wiki編集が活発化せず、ユーザからのそういった情報の集積が阻害されてしまっています。それでいて、公式wiki自身は、初心者に役立つ立ち回りの情報を一向に記載していないわけです。これでは、初心者の役に立たないどころか、初心者の足を引っ張っているようにしか見えないのですが。

しかしたら今後、公式wikiにもそういう情報掲載されるのかもしれません。しかゲーム発売からもう1ヶ月が経とうとしています。多くの初心者は既に心が折れた後なのではないでしょうか。


結論


まとめます


このゲーム自体クソゲーではありません。熟練者どうしが腕を競い合う対戦ツールとしてはよくできていると思います初心者が手を出すべきゲームではない、というだけのことです。


アークシステムワークス TEAM RED の皆様へ


初心者向けを謳った数々の施策結構なことと思いますが、それを信じた私はバカを見ました。上述した通りゲームデザイン自体初心者に辛く作られているのですから、生半可な施策では初心者への救済にはなりえません。ゲームデザインを変える気が無いなら、「初心者向け」などと口に出さず、「素人お断り」を謳うのがゲーム製作者として誠実な態度だと思います

  • はじめに 元の記事( http://anond.hatelabo.jp/20141231004329 )において、このゲームが構造的に初心者に不向きであること、また初心者向けと銘打たれた施策がいずれも機能していないこと、に...

    • 増田はバカなのかな? 「入門中の成績が悪ければ下位ランクから始めさせられる」ってルールなら、単に初心者狩りを目的とした人間は負け続ければ初心者の溜まり場に行けてしまうっ...

  • はじめに 元の記事( http://anond.hatelabo.jp/20141231004329 )は比較的多くの方に読んでいただけたようで非常によかったです。特に、寄せられたコメント等に目を通してみますと、「Guilty Gear X...

  • はじめに 1年半ぶりくらいに戻ってまいりました http://anond.hatelabo.jp/20141231004329 の増田です。 対戦格闘ゲームGuilty Gear Xrdシリーズの第2弾-REVELATOR-のコンシューマ版(PS3/PS4)が5月26日に...

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