2022-05-07

ちょっとだけ就労ビザ知識ある人が吉野家説明会問題について書く

吉野家を庇う気持ちは一切ない。

そもそも確認ミスにより日本国籍の人を他の国籍と決めつけて一方的キャンセルしたのは非常に失礼であり、不適切対応だ。

だが、外国籍の人を断っている理由だけを見ると、就労ビザの実情を知っている者から見れば割と納得のいくものである

Twitterで「外国人店員いっぱいいるじゃん」「外国人差別だ」と言ってる人がいたので、匿名ダイアリーを使ってみたかたこともあり、知っていることを書いてみようと思う。


まず外国人店員について。

留学生(留学ビザを持っている人)はアルバイトをすることができる。

留学ビザは、かなりアバウトにいうと学校申請して外国人学生に渡すものだと思っていい。

アルバイト就労時間や一部の職種(風俗業など)に就いてはいけないといった制限はあるが、ほぼ日本人のアルバイトと同じように働ける。

留学ビザ以外にも定住者や配偶者ビザなど、アルバイトできる資格はいくつかある。

しかし、就職となると就労ビザ必要になる。

就労ビザ企業申請して外国人従業員に渡すものだ。慣れてない企業だとかなり手間がかかる上に、就労ビザの条件は厳しく、専門学校大学で学んだ分野と関連性がない職種にはビザが出ない。

‪割と簡単に取れる『特定技能』というビザもあり、こちらは飲食店就職することができるが、総合職や人事などには就けない。レストランホールキッチンなどをするのが主な業務となる。

店舗にいる外国人店員ほとんどが留学生アルバイト特定技能ビザでの社員だと思う。

そして総合職などに就職する場合は『技術・人文知識・国際業務』という就労ビザ必要になるが、前述の通り大学等で関連のある分野を学んでいる必要がある。

だが総合職や人事に関連する専攻に当てはまる分野とは何か?と考えるとかなり限られてくる。(というかほぼないと個人的に思っている)

昔は、表向きは通訳として雇い実際はキッチンをさせているというゆるい時代もあったのだが、最近は厳しくなってきて少しでも専攻分野と仕事内容が違うことが判明するとビザが取り消されることもある。

まり吉野家インタビューで述べた「技術・人文知識・国際業務ビザの取得は非常に困難であり、内定取り消しをせざるを得なくなったことが一定程度ございました」というのは事実だと思うし、

ビザの取得をできず内定を取り消された方の心象を慮るあまり外国籍の方は新卒会社説明会のご応募をいただいても参加をやむなくお断りしておりました」についても

『心象を慮るあまり』は綺麗事という印象を受けるが、せっかくエントリーシート履歴書作成して提出してから断られるよりは最初から断ってくれたほうがいいという志望者もいるだろう。

ちなみに就労ビザが出なかった事例として「留学ビザアルバイトしていた時期に時間制限を超えて働いていた」というものもある。

企業側が職種や専攻などいくら気をつけても、思いがけない理由ビザが出ない可能性があるのだ。

そして、吉野家だけでなく他の企業でも同じ理由外国籍の人を避けるケースは多い。

‪わざわざ手間を増やして取得できないかもしれない就労ビザ申請するより、日本人を雇ったほうが早いからだ。

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これらは差別と言えばそうなのかもしれない。

しかし、仮に全く同じ条件の人間が二人いたとして、片方が同じ国籍でもう片方が外国籍だったらどちらと結婚したいか

対話能力文化価値観の違いによるトラブルが少なそうなのは

何かあった時に逃げずに責任を取ってくれそうなのは

本人が蒸発した場合にご両親に連絡しやすいのは?

繰り返しになるが、今回の吉野家の件で論点になっているのは「確認ミスにより国籍勝手に決めつけて不適切対応をした」ことである

だが、企業外国籍の人を避ける理由についてはそれなりの理由がある。

自分が人事だったらどうするか、理想現実妥協点をどこに置くべきか、考えてみてほしい。

  • 受験させて落とせばいい ワザワザあんなメールを送るのは嫌な思いをさせたいから

  • 吉野家「就労ビザを交付しない国が悪い。俺たちは被害者」

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