今まで一度も一緒にシフトに入ったことがなかった男子高校生アルバイトさんとのシフト。
私が出勤してきて20分も経たないうちに、男子高校生アルバイトさんが担当していたレジが、特になんかやった訳でもないのに動かなくなった。おりしも来客のピーク時。会計待ちの長蛇の列ができる。
男子高校生アルバイトさんはしばらくレジの前でおろおろしたあと、私のところにきた。
「何かしたわけでもないのに、レジ止まっちゃいました。見てくれませんか?」
とのことだったので、
と交代した。男子高校生アルバイトさん、女子フリーターアルバイトさんとはだいぶ違うなあ。女子フリーターアルバイトさんが同じようなケースで私に助けを求めて来た? 時は、突然横からタックルしてきて、無理やり商品の袋詰め作業を代わり、
とまくし立ててきた。なんのこと? と思って思わずきょとんとしてしまった私に、
「レジ止まったんで! ここは私がやるんで! レジレジ! いいから早くやってください!」
そんな女子フリーターアルバイトさんよりは大分マシな男子高校生アルバイトさんだったが、私が四苦八苦してレジの小銭の詰まりを取り除いてから、どこがどう詰まっていて、どのようにすると解決できるのか、説明しようと思ったら、
「あー、ありがとうございます。もういいです」
とバッサリ遮ってきた。いやいやいや、次同じ事になったらどうやって解決する気だおめーは! また先輩呼ぶのか? 一緒にシフトに入ってた相手が新人だったら?
と、若干腹が立ったけど、高校生だしまあいいか。ちゃんとレジ直してって頼んで来ただけまし。で許した。
ちなみに、私がレジから詰まった小銭をせっせと取り除いている間、常連というほどでもないが時々来るお客様が、横で励ましてくれていた。親切……なのか? そうかも……。
20時にAさんが出勤してきた。男子高校生アルバイトさんは退勤。Aさんにレジが急に詰まった話をしたら、それはあるあるで、本当に何かやった訳でもないのに不意に小銭は詰まるらしい。私はつま楊枝で小銭をツンツンして除去したが、なんか他によさげな小銭除去法ないのかなと思って聞いたら、べつに無いとのこと。自動レジの地味な欠点……。
Aさんから、今日男子高校生アルバイトさんが女子フリーターアルバイトさんの代わりに出勤してきた理由を聞いた。前日、女子フリーターアルバイトさんがドタキャンしてきたからだったそう。前日はちょうどオーナーが業者の人と何か話し合いをしなきゃいけない日だったらしく、ただでさえ忙しく脳のメモリ食っていてピリついているところへ、ぎりになって女子フリーターアルバイトさんから休む連絡が来たとかで、オーナーは激怒した。
で、今日はオーナーは昼間に介護中の家族の付き添いで病院に行かなくてはならず、今日もまた女子フリーターアルバイトさんにドタキャンされたらやってられないと思い、男子高校生アルバイトさんにシフトを代わらせたのだそうだ。
実は女子フリーターアルバイトさんはドタキャンの常習犯で、もはやオーナーは彼女を「さん」付けで呼ばなくなった(←オーナーは嫌いな人に敬称をつけない。)ほどだという。Aさんが、
「若い女子アルバイトあるあるですよね。なんで女子ってみんな同じことするんだろう」
としみじみ言う。実際、若い男子のバイトの場合、無法者だったりサボり魔だったり遅刻魔だったりしても、取り敢えずお賃金が欲しいのでドタキャンはしない人がほとんどだ。だが、若い女子バイトの場合は気まぐれなのか? と思うくらい唐突に休みがち。しかも、ドタキャンをすること前提でわざわざシフトを多く長く入れがち。なので、休まれるとシフトに大穴が空くので、オーナーは怒るし他のバイトやパートさんは穴埋めのために予定変更を強いられる。
どうして若い女子ってこうなのか? 元若い女子の私が思うに、唐突なPMSや生理痛で心身の調子を激しく崩すことがままあるからだろう。とはいえ私はあんまりそれで仕事をドタキャンしたことはないけど……。PMSと生理痛がとても酷かっただけに、なんかヤバそうだなと思ったら早めに休む連絡をするか、無理して働くかだったなぁ。無理した結果ミスを連発して、職場の嫌われ者になってたので、ドタキャン常習犯と同レベルで迷惑バイトだったかもしれないが。
という、本人にはどうにもならない心身の不調の他、若い女子は働いていると何か特別なことをした訳でもないのに褒められ易くなるので、これまで満たされなかった承認欲求を拗らせて、急に人生舐めプモードに入ることがある。そういう子は、学生時代は学校の成績が振るわなかったとかスクカーのランクが低かったとかで、あまり褒められることなく、褒められ慣れていないのだ(ということは、そういう女子と雑談してみると本人の口から聞ける)。
これまで、ヤバいレベルの問題児という印象はなかった女子フリーターアルバイトさんだったが、なんかここへ来て順当に歴代のクビになった女子と同じ轍にはまり込んできたので、例によって、ある日を境に姿を見なくなるのではないか。
ところで前回のシフトの時に、Dさんから「Aさんがホットドリンクの品出しをしてくれない」と泣きつかれた。いやいや、それくらい自分で直接Aさんに文句言えって、と思ったが、DさんはAさんにセクハラをしまくった結果、Aさんにまともに話に傾聴してもらえなくなっていた。自業自得が過ぎる。
しかし、Aさんがホットドリンクの品出しをやらない・私がやろうとしても「後でやるからいいです」といってやらせてくれないせいで、夕勤・夜勤の人間は全員ダメ人間だと昼勤の人達に思われてしまっている。私までいっしょくたにされ続けるのは嫌だったので、Aさんを詰め詰めして、ホットドリンクの品出しを私がやってもいいと話をつけた。
その詰め詰めの過程で、Aさんがやりきれない仕事を黙ってサボり昼勤の人達に押し付けているのを知った。だから、
「やりきれない仕事は勝手にさぼらんで、オーナーと話し合って正式に昼勤のほうに回してもらってくださいよ。オーナーはAさんの言うことならちゃんと真面目に聴いてくれるんだから」
と言った。
おりも政夫に空目 おりしも
お疲れのようで。