出会い系のアプリで出会ったその人は、私より20歳ほど年齢が上の人だった。
おじさんが好きな私は大学も女だらけのところということもあって、普段、出会い系アプリを通じて恋人探しをしている、のだけど別に特別美人でも賢くてウイットに富んだ会話ができるわけでもないからだいたい出会い系のアプリで私に反応してくるおじさんはヤリ目とかばっかり。なので、いつも私は、アプリで会った人とはセフレになってしまったり、やり捨てみたいな状態で相手が醒めるケースが多かった。
そんなだから、正式に付き合った人はまだいなくて、私は一時期投げやりになってて、「もうワンナイトでいいからやりたいなー」なんて最悪なことを考えてる時があった。そのときに出会ったのが今回の何考えてるかわからない人、シンさんだった。
シンさんとは夕方に都内のカフェで待ち合わせして、そこで少し話した後に、居酒屋に行って二人で飲んだ。私は冗談交じりに「私の方から告白しても、いつも絶対振られたり、キープみたいな扱いされるんですよね〜ダイエットしてナイスバディでも目指そうかな」みたいな話しをしたら「こんなに可愛いのに?少なくとも誰とも付き合えない原因は見た目じゃないと思うよ」といってくれた。そのあとLINEを交換しようと言われて、連絡先をいただいた。彼とは趣味も一致したので会話も弾んだ。そのあと、「今日これお持ち帰りされるのかな」と思ってたけどそ22時になったら「もう帰ろうか、親御さん心配するでしょ」と言われて返された。
この時私は、この人とは簡単に肉体関係を持たずに、ちゃんとした関係を持とうと思った。
その後、LINEでシンさんの方から「また会いたいな〜」と連絡をもらって、早速次の週にはまたデートをした。その次の週にもデートをした。
シンさんは、話し方とか行動にちょっとクセがあって、頭の中で次に何を言うか考えるそぶりをしたり、不意打ちでちょっとおどけてきたり、いきなり素っ気なくなったかと思えば、一緒に入った映画館で上映中にボディタッチをしてきたり、かと思えば「明日早いんだよね」といって19時台にデートを終わらせようとする人だった。ハッキリと「『こうしたい』とは言わないけど、これはやりたくないんだろうな」とか、「ここで私が『夜ご飯ここじゃないところで食べない?』っていったら嫌がるだろうな」みたいなことはなんとなく態度でわかるので、彼がやりたそうなことや、言ってほしそうなことを私が予想して考えて会話に反映させていた。エスパーになった気分だった。でも、どこか掴めなくてミステリアスで素敵だなとも思ってたから、気にしてはいなかった。
4回目のデートは少し日をまたいでからのお家デートだった、彼の住んでるマンションにお邪魔して二人で映画を見てた、そしたら予想はしてたけどボディタッチをしてきたので、「どういうつもりでやってますか?」と聞いてみた、そしたら「えっ、、、増田ちゃんが好きだからだよ!」っておどけて言われた、正直浮かれたけど、ここで流されたら絶対に恋人にはなれないと思ったから「私とヤりたいから好きみたいな意味で言ってるなら喜べないな」と言ったら、「そんな風に見えますか?」ってしょんぼりされた。
意外にもしょんぼりされてしまった、本気なのかも…と思い、意を決して、「私もシンさんのこと、好きですよ。じゃあ付き合います?」と言った。そしたら、シンさんからは、「う〜ん、まだ早いんじゃない?会ってからの期間が3ヶ月くらいになってから決めよ」と言われてしまった。
今考えたら普通におかしいんだけど、(試用期間じゃねえんだから)この時は本当に浮かれてて、そんなことはどうでもよかった。
その後は彼の方から京都旅行に誘ってくれたり、7、8万はくだらないジャケットを「もういらないから」とくれたり、(ちなみにシンさんと私の共通の趣味の一つがお洋服です)と嬉しいハプニングの連続で、それはそれは幸せな時間だった。帰りに駅まで送ってくれたときにも、「来週また会おうね」と言ってくれて名残惜しそうにお互い別れた。ちなみにセックスはしてません。
そしてその次の週にシンさんと最後に会った日がやってきた。
そんなことはつゆ知らず、ウキウキで待ち合わせ場所に到着してデートをスタートさせた。
ふと、私は前回誘ってくれた、京都旅行の件を思い出して、「そういえばホテル調べたんですど、シンさんは?」みたいな会話を振ってみた、そうしたら「う〜ん、まだ。そういえば俺、やっぱり瀬戸内にいきたくてさ〜どうかな?」と言ってきた。
「べ、べつにいいですけど、でも旅費も違っちゃうから用意できるかわからないし、だいたい幾らくらいなの?」と聞いてみたけど特に反応はなくて私はだんだん不安になってきた。それで、その日はちょっと焦ってしまって、彼には申し訳ないけど、その後一緒に入ったデパートにいたモデルみたいな店員さんに、「シンさん私みたいなぽっちゃりよりあの店員さんみたいな人のほうが好き?」と面倒くさいこと聞いてみたり、逆に飲み屋を出た後酔ったふりをしてちょっとベタベタしてしまった。
今にして思えばこれが逆効果だった。
エスパーだったはずの私が、焦るあまり空回りして、彼が望んでないかもしれないことをしてしまった。
この日はご飯食べた後は普通にお開きになったのだけど、私が急にお腹が痛くなってトイレに駆け込む形で別れたこともあり、次会う約束を決めないまま別れてしまった。
そして、今に至る。
ブロックはされてないけど、3回くらいLINEを送ったけど、既読無視をされるようになって一ヶ月がたった。
確かに最後に私がしてしまったことはウザかったかもしれない、でも、ちょっとべたべたされただけで男の人はいきなり好きから興味なしになってしまうものなの?
それとも最初からちょっかいをかけることが目的で、「好き」も「京都旅行」も単なるリップサービスなの?
あなたはあった時から、なんだか掴めない人で、それが魅力だけれど、でも今は、いったい何を考えているのですか?
私のことが急にウザくなったのですか、二十歳前後の子が好きだって言ってたけど、子供っぽい私の態度は嫌いなのですか?
スマホのスケジュール帳をちょいちょい見せてもらって、次会う日を決めてたくらいだから、無いとは思うけれど、めちゃくちゃ巧妙に二股をかけていて、私じゃ無い方が選ばれたのですか?
瀬戸内はどうするのですか?
あなたに貰ったジャケットはどんな気持ちで着ればいいのですか?もうサイズ調整をしてもらいにお直し屋さんに出して、今頃そこのおばちゃんがせっせと縫製し直してくれてるのを、どんな気持ちで取りにいけばいいのですか。
私のことが好きなのではなかったですか?