某2.5俳優さんが某女優さんと授かり婚をする云々の周辺で、どうにも気持ちが悪いなと思って書きたいことを書く。
見ないようにしていても色々な言葉が流れていきました。
祝福する人、できちゃった婚はどうなのと言う人、タイミングが悪いと言う人、気持ち悪いとまで言う人。
あげく女優さんのほうからの不用意な発信で浮気の二股でどうしたこうしたで、なんかもうしっちゃかめっちゃかです。
気持ちはわかります。失望したとか嫌になったとかそういうのはしょうがないと思います。
でも、一回思い直してみてほしいのです。本当は、私たちオタク、つまり一消費者には、彼らのプライバシーをあげつらって批判したりする権利なんてないはずです。
俳優だろうがアイドルだろうが、一個の人間として人権を守られねばなりません。
プライバシーは守られるべきです。私たち芸能人でない人々と同様に。
現にあったことは、ひと組の男女が授かりものを機に結婚を決めましたということだけです。
授かったかどうかなんてもっと関係ありません。二股だろうが略奪だろうが、成人の二人が合意のもとに進めたことです。祝福しろとはいいませんが、それは彼や彼女の仕事とは本来なんの関係もないことです。
誠実じゃないという人がいます。
でも、貴方がお金を払った何時間か、何万円か、仕事場のなかで彼は貴方を最大限楽しませてくれたのではないですか。
逆にいえば、貴方が支払ったお金は各仕事場の彼、板の上の彼に払われたものであって、板の外の仕事をしていない状態の彼を縛るものではなんらありませんよね。
お行儀の悪い商売でしょう。しかし、これはどうにも、ホストに貢いだけど自分のものにならなかった、というのと変わらないと思います。
「営業」なので、「営業」が終わればそこでいったんおしまいではないですか。
「営業」中に夢を見せてもらって、きっと貴方はその分に見合った金額を、自分の意思で支払ったはずです。そしてそれは、彼の人生に指図できるほどの金額ではないはずです。
それこそ余計なお世話です。どんなに気をつけていても授かることがあるということですから、誰かが言い立てるほど軽率なことではなかったのかもしれません。よしんば軽率であったとしても産む決断をしたのは彼女であって、結婚すると決めたのはお二人です。そういう諸々がお二人の役者のキャリアに何か傷をつけてしまうのだとしたら、いまどきそれは業界の仕組みに疑義を提示してしかるべきではないですか。
男女ともに自分達で決めたタイミングで結婚・出産を決めてよいはずですし、それによって仕事を制限させられるなんてことが一般企業のなかで起きたら(起こりますけど)、批判されるのは企業側のはずですよね?(実態がどうとかは別として)
どうして芸能人のことになると、建前ですら人権を守れなくなる人がたくさん出てくるのでしょうか。
どうして、さも言ってやるのが当然のごとく、口汚く罵ったりできるのでしょうか。
どうして、正義のような振りをして、人権を侵害できるのですか。
どんなにお金を払っていても、それは仕事をしている彼ら彼女らの「仕事」に払われるべきものです。
人生の選択にケチをつける権利が、恋愛に口を挟む権利が、かけてきた好意やお金で手に入るとどうして思ってしまうのですか。
どうしてもクソもないんですけど。
ゴシップ誌は昔から、私生活を暴き立てて、恋人がいたりなんだりすることを悪いことのように書いてきました。
板の上で「恋人」を演じてくれていとしても、その人が板の外で人間的に暮らしていることが「悪」であるはずがないのに、です。
「恋人」だといいなと思っているファンは、そういう私生活を想像するのは避けるかもしれません。
私生活が見えてしまったら、嫌だな、夢が見れないな、ファンをやめようかな、と思うかもしれません。
でも、ゴシップ誌は「イメージどおりでない」ことを「悪」と言い立てます。
そうすると、ついファンのほうでは自分の「嫌悪」を「正義」に寄せてしまいます。
「正義」に寄ると気持ちいいし、やっぱり他人の下世話な話も気になるのでゴシップ記事は売れます。
業界側はそこに阿って、「イメージどおりでない」ことを暴き立てられたことを理由に、お仕事を降ろしたりします。(プライバシーを侵害された被害者だというのに!)
そうしていつしか恋愛禁止だのガチ恋営業だのお行儀の悪い商売をするようになりました。
そしてますます「イメージどおりでない」ことは「悪」に、それに対する「嫌悪」は「正義」であるかのようになってしまいました。
その「正義」なるもので、好きだったはずの人の人権をぶん殴っているわけですよね。
腹立たしいです。結局は低俗なゴシップを書く人の思い通りかと思うと吐き気がします。
アイドルや役者のなかには、「イメージどおり」であろうと努力し、私生活を律する人もたくさんいます。
そして、そういう人のほうが好きだな、という人もたくさんいます。
それ自体は尊いことです。よりよきことです。でも、「正義」ではありません。
「お客様は神様です」の話と同じです。
アイドルや役者本人が、そう志すことは立派で尊いことです。けれど、そうでないことが「悪」ではないです。