2018-07-23

「恋は麻薬と同じ」ってのがようやく理解できた

「恋は麻薬と同じだ」って、たまに聞くフレーズだけれど、今までは、そういうもんなんだなあという認識で済ませていた。

常に恋愛のことが頭にあって、暇さえあれば恋人募集しているような人のことを、内心、ちょっと軽蔑していたかもしれない。

どうしてそこまで、「恋」にこだわるんだろう、って。

想いが通じなかったら辛いだけだろうし、想いが通じたら通じたで、解決しないといけない現実が立ち塞がってくる。人間ふたりいる以上、どこかで妥協は避けられない。

特に、「ビッチ」とか「ヤリチン」とかって言われるような、出会ってまもない人とセックスちゃうような人のことは、本当にわけがからなかった。

愛してもないような人とセックスしたって、そんなに気持ちよくもなければ、幸せでもないだらうに、って。

でも、気が変わった。というか、気付いた。

あいう人たちは、「恋」がしたいだけなんだ。「恋」麻薬にはまってしまって、どうにかして、またあの気持ちを得ようと、必死になっているだけにすぎないんだ、とわかった。

 * * *

今までそれが理解できていなかったのは、俺が「恋」したことがなかったから。

「恋」という麻薬の味を、知らなかったから。

ただ、それだけだった。

2017年11月。俺は、ある女性に恋をした。正真正銘の、初恋だった。それまでは、自分が誰かに恋をするということさら、信じていなかった。

12月。気付いたら、告白していた。あんなに大好きになっちゃうなんて、思っていなかった。ほんと俺チョロすぎ。

それから、しばらくお付き合いをして。それはそれは幸せだった。

恋人を持つ、というのは、本当にかけがえのないことなんだと思う。自分を、自分だけを、褒めてくれて、励ましてくれる相手がいるというのは、それだけで素晴らしいことだ。相手自分に注いでくれた以上の愛情を返そうとするから、そのふたり関係は、ふたりだけの「やさしい世界」になる。

くだらないことを言いあって、それだけでちょっと幸せになって。楽しいことは2倍楽しくて、辛さも分け合って半分にする。オンゲの課金アイテムもびっくりのブースト率だ。

そして、新年度に入ってから

ちょっとお互い思うところがあって、しばらく距離を置くことにした。

別に、お互い嫌いになったわけじゃない(と信じてる)。ともかく、一旦、ただの友人関係に戻ったわけだ。

しばらくは、大丈夫だった。

結構な頻度で通話をしていたからだと思う。くだらないこと、なんでもないことを話せる相手というのは、やっぱり得難いものだ。

 * * *

ところが、最近

彼女の方が忙しいらしく、なかなか通話相手をしてくれなくなった。まあ、仕方ないんだけだね。

そうしたら、俺の方に異変が起きた。

なんというか、端的に言ってしまえば、彼女に対する色々な欲求要求が、常に体の中から溢れ出してくるのだ。

たぶん、今まではある程度ずつ発散できていたから気にならなかったんだろうけど、それが行き場を失ってしまったんだろう。

自分はこんなに彼女を好きだったのか」と改めて思うと同時に、自分ドン引きした。

いくらなんでも、彼女依存しすぎだろうって。執着しすぎだろうって。

思ったところで、この想いが止まるはずもないんだけど。

 * * *

彼女の顔が見たい。

彼女の声が聞きたい。

彼女のにおいを感じたい。

彼女のしぐさを眺めたい。

彼女といっしょに歩きたい。

そんななんでもないような思いが、たくさん湧き出てくるのだ。

まるで、彼女に想いを告げる前に戻ってしまったみたいに。

彼女チャットがしたい。

彼女通話がしたい。

彼女と会って、だらだらして、思う存分話したい。

彼女と真面目な話がしたい。

彼女とどうでもいいような話がしたい。

なんでもいいから、彼女と関わりたくなってしまう。

恋という麻薬の、幸せの中に、ずっとずっと、浸っていたくなってしまう。

恋は、麻薬だ。

人をダメにする、麻薬だ。

 * * *

俺の場合は、フラれたわけではないから、まだこうして冷静(?)な分析をする余裕があるけれど。

もし仮に、一度はとっても幸せ関係を築くことができた相手からフラれてしまうようなことがあったら。そういう人が、世の中にいたら。

その相手にまたアタックするわけにもいかないし、でも、きっとまた、その人は「恋」麻薬を求めてしまうのだろう。

世の中の、恋人をとっかえひっかえするような人は、結局、「恋」という麻薬を追いかけているのだと思う。

一度幸せになれた記憶が忘れられずに、もう一度だけ、あの幸せが欲しくて、残滓でも、かけらでも、なんでも追い求めてしまうのだろう。

俺も、そうならない保証は、どこにもない。

普通の人は、どこで、どれくらいの年齢で、何をきっかけに、この「恋」という麻薬存在を知るのだろうか。俺は、成人してから、やっと知ったわけだけど。

それを追いかけて、追いかけ続けて、それでもそれを捕まえられなかった人は、どんな人生を歩んでいくのだろう。

こんなに大きすぎる幸せを、一生知らないままならよかったのに。

そうしたら、それ以外の、趣味とか、仕事とか、そういう中でのささやか幸せだけを追って生きていけたかもしれないのに。

こんな幸せを知ってしまったら、もう、追いかけずにはいられない。

 * * *

真夜中に、ふと思い立って、こんなことを勢いのまま書いてきた。

書きながら、俺は、妄想を始めてしまった。

妄想といっても、半分以上は、記憶の中の彼女なんだけど。

妄想の中で、俺は彼女に、長い長いキスをする。彼女をぎゅーっと抱きしめて、舌をたくさん絡ませる。

しばらくしてから唇を離すと、ぷはっと熱い吐息漏れる。彼女は耳まで真っ赤になっていて、潤んだ瞳でこちらを睨みつけて、小さく「いじわる…」と言うのだった。

彼女いじめたくて、彼女いじめられたくて。

俺は、もっと深く、妄想の中に潜っていく。

しあわせが、ほしい。

しあわせに、なりたい。

 * * *

ゼロの使い魔』で、アルビオン戦の後、サイトを失ったルイズの様子を思い出した。

あれを読んだときには、死ぬほど誰かを愛せるのはフィクションの中だけだ、なんてことをぼんやり思っていたけれど。

今なら、あの時のルイズ気持ちがわかる気がする。

ずっと、幸せな夢に浸っていられるとしたら。

それはどんなに幸福なことだろうか。

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