俺ね、山は死ぬ場所だしオマエが帰ってこれたのはタマタマって言い草、嫌いなんだよね。
それってさ、「えーそうなんスか、遭難って怖いっスね」ってヘラヘラするヤツ増やすだけだから。
だって嘘なんだもん。
注意喚起なら嘘ついてデマ流して良いみたいなの、はてブでは一番嫌われるよな?な?
槍ヶ岳を含む、長野県警察が出してる山岳遭難発生件数、平成26年で272件。
死者46名、行方不明者5名、負傷者148名、無事救出102名、遭難者計301名。
うち、死者に限ると30歳以下は6名、40歳以上が40名。
なお、年齢順にキレーに遭難者数は増えてる。
(http://www.pref.nagano.lg.jp/police/sangaku/toukei/toukei14.html)
うち、単独行が8,369人。実に2割近くが独りで登ってる。
(https://www.kitaalpsgifu.jp/image/h26hakusyo.pdf)
つまり、長野県で1年間に遭難するのは多くて0.7%だし、死ぬのは0.1%なんだよね。
槍ヶ岳に登ったやつにタマタマって言うと信用されなくなるのは、
だから、若者に対して「山では遭難したら死ぬし、タマタマ帰ってこれただけ」って言うのは、
端的に言って嘘だし、「ああ、このオッサン大げさ言ってんな、へーい反省してまーす」ってヘラヘラされるだけ。
さて、俺が個人的に嫌いな言い方をクサしつつ数字を出したトコロで、
数字見て、ん?って思わなかった?
ヒヤリハットって言葉があって、1件の重大事故には、29件の軽微な事故があって、
さらに300件のヒヤリとしてハッとする不安全行動があるって経験則がある。
そっからすると、長野県で1年間に遭難するのが0.7%って驚くほど高い。
工場なら「登山は不安全行動なので全面禁止、チェックして再発防止します」って対策打たれるトコロ。
時期を揃えると、平成26年の交通事故発生件数は57万3,842件で,これによる死者数は4,113人。
運転免許保有者が8207万6,000人で、自動車運転中に1,024人が死んでるから、0.001%が死ぬ。
(http://www8.cao.go.jp/koutu/taisaku/h27kou_haku/zenbun/genkyo/h1/h1b1s1_2.html)
つまり、長野県で登山中に死ぬ確率は、運転中に事故って死ぬより、100倍高い。
もっかい言うな。
長野で登山すると、自動車運転してて事故って死ぬより、100倍死にやすい。
だから、自動車保険に入って生命保険に入って準備してんのに、山に行くのにソレよりカネかけないのは不自然。
俺が思うに、山を舐めるなってワカモノに説教するのは、まんべんなくどの業界でも起こる説教と同じじゃないかな。
だって、死ぬのはジジババが多いんだもの。40歳超えると怪我事故遭難増えるんだもの。
最近の傾向で言えば、40歳以上で、男性で、山岳会に入ってない2人か1人のパーティーが、
ツマヅイたり、滑ったり、道に迷ったりして、遭難することが多い。
死んでんのは、転倒滑落がトップ。
(まあ迷惑なのは、無事に救出されてる、悪天候、疲労、道迷いの人たちだろうけど)
だから、靴底すり減ってないか見る、ストックを使う、地図は自分で見る。
最近の雨合羽を買って持ってく、酒は飲まない、タバコは吸わない、疲れたら山を降りる。
山を舐めてるワカモノより、登山計画書を提出してる真面目な登山者ほど遭難してる現実を見つめる。
(登山届の提出率がまだまだ低い中、遭難者の7割が提出してたってのはワリと重要)
40歳超えて、体力に自信がないなら山には行かないのが大前提。
なんかこう、努力すれば報われる系の精神論を山関連で目にすることがある。
山では、誰もが「転ぶ」し「滑る」し「雨に振られる」し「迷う」もの。
これは、経験の長短や、事前の準備、装備や体調に関係なく、確率で起こる。
ただ、体力が十分ある若者は、迷っても一旦来た道を引き返して、それから登り直して無事だったり、
滑って落ちたんで戻るのに時間がかかっても、お湯を沸かしてお茶を飲みながらビバークできたり、
うっかり転んで挫いても、我慢して助けてもらいながら下山したり、
復帰の手数の多さが、「カウントされる遭難(救出作業発生)」との別れ道になる。
俺が思うに、「山を舐めるな」って言うのなら、若者への説教にしない。
嘘をつかない、数字に基づいてモノを言う、体力の衰えてくる中高年に向かってモノを言う。
そうしないと「説教ウゼエな。オッサンが遭難したら死ぬだけだろ」って思われ続けてナンモ変わらんぞ。
地図とコンパスとツェルトワンセットの予備持って登山に行くぐらいしか、オレはやんないけど。
(幸い2個めのツェルト開けるハメになったことはないが、まあ、保険ってなそういうもんだし)
というか、登山靴履いて休憩を挟み水分補給もし、合羽も帽子もヘッドランプも持ち、霧が出れば登頂止める判断力もある若人クサすより、どういう装備で(写真見るとコンパスも首から下げてねぇか?)、登山計画書がどうなってたかを聞き出して載せない、メディアの編集部側に抗議すべきじゃ無いかね。