2015-08-03

http://anond.hatelabo.jp/20150802170902

不謹慎かもしれないが、このテーマ、考える上でとてもおもしろかった。

痴漢が悪い」の一言思考停止

あなたに言われるまで気づかなかったんだけど、この複雑な問題モヤモヤするところの核は、まさにこれだと思う。当事者女子高生たちも、周りで見ている大人たちも、はてブの人たちでさえ、臭いものに蓋をするように、問題の根源から目を逸らしているようにみえるんだ。

あなたさらりと”リスク”という表現を使っていたけど、得体のしれない犯罪者によって引き起こされる事件を、まるで”天災”か”事故”のように考えることには危険があると思う。こんな思考実験を考えてみた。

1. JR調査をおこなって、山手線痴漢被害率が判明した。毎日電車で、私服では0.01%が痴漢被害に遭う。セーラー服では0.03%。この情報が、新聞とかtwitter世間に広まる。

2. 山手線を利用するある高校が、制服を廃止した。半分程度の学生が、なんちゃって制服セーラー服)を着て登校し、もう半分が私服で登校するようになった。

さて、その高校に通っているある女子生徒がある日、セーラー服を着ていて痴漢にあったとする。このとき彼女責任はあるでしょうか。

微妙かもしれないが、俺は「痴漢被害を受けたのは彼女自身責任」、と言えそうだと思う。痴漢被害に遭う怖れが強いことは事前の情報で十分に予測できた。その上で自ら選択した。少なくとも、女子生徒の周りの友達や親は、「どうしてセーラー服なんか着ていったの」って彼女を責めるような気がする。さらにここで想定を追加しよう。後日、彼女クラスメイト友達の、後ろの席に座っている、増田マスオ君が頭を下げて謝ってきた、とする。ごめん。実はあのとき痴漢はオレだったんだ。ずっと後ろで見ていて、迷ったんだけど結局、勇気を出して触ることに決めた。今では悪かったと思ってます…。本当にごめんなさい。さて、痴漢にあった責任彼女にあるでしょうか。

彼女を責める人はいないはずだ。この事件に関して落ち度があったとさえいえないだろう。100%増田マスオ君が悪くて、彼の責任である。俺はそう思う。だからバカバカしいと思うかもしれないけど、俺の考えはこうだ。「犯罪者自由意志を想定するかどうかで、責任所在は変わってみえる」。予防策を取ることは、とき必要だし、現状もう、そうすべきなのかもしれない。でもそれが普通になって、自然になると、諸悪の根源たる犯罪者実態から目を逸らすことに慣れてしまっていつしか見えなくなってしまう。脅かされ続けることを受け入れてしまう。そんな怖れがあると思うんだ。

おっしゃるとおり、痴漢存在は謎です。先の返信で俺は「性的抑圧が原因では」とかテキトウな事を言ったけど(ごめん)、加害者の人にインタビューしたわけではないので本当のところはわからない。彼らは闇の中にいる。痴漢被害にあった女子高生のきっと多くが通報さえしないと思う。一言「最悪…」って呟いて、ウンザリ顔で憂鬱な一日を過ごして、それからの日々に夢中になることで、前向きになれて、いつか傷は癒える。他方、はてなブックマークでは何度も、痴漢の人に総バッシングを与えてきた。ブックマーカの人は叩くのがどう見ても正義、って時には容赦なく叩く。脇目もふらずにぶっ叩く。夢中になって叩く。そういうのに忙しい。

必要なことは、謎を闇から引きずり出すこと。出来る限り、そこに注意を向け続けるべき。それが俺の意見です。

ところで俺の職業プログラマーなんだ。つっても大したことなくて、二流で、バグを出しては上司に怒られ、同僚にさえ叱られ、はては数カ月後に徹夜してヒィヒィいいながら問題の原因を探して這いまわる、そんな日々を送っているんだ。忙しい日々の中で放置されたバグは、地面の下で邪悪キノコのように、ムクムクと成長して、いつか俺(たち)の睡眠を奪う。悪くすると、仕事さえ奪う。だから職業柄、問題はそれが顕在化しているうちに、徹底的に深くまで根を掘り下げて撲滅し尽くさないと気がすまない性分だ。そうなっちゃったんだ。

万が一の事態は怖い。いつだって怖い。今回の話では、「制服撤廃したことで、痴漢被害が0になってしまった」未来。もし万が一そうなったら、きっとその先の未来では、もう誰も、セーラー服を着れない。

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