3年前、転職をしようとして受けたとある会社から「不採用を無かった事にしてくれないか?」との連絡が来た。
パソコン教室とケータイショップがメインの収益源である会社だが、俺はパソコン教室事業の方で面接を受けた。
バックヤードのシステム担当として面接を受けたが、俺も入社するのなら会社は存続して欲しいし、会社の収益増やせば給与も増えるので面接時に現状のパソコン教室事業をフルボッコにした。
このパソコン教室、巷へ大量にあふれる『パソコン初心者講習』と『MOS資格取得』が主軸のもので、俺はこれに対し「まあ10年以内には収益上げるのは難しくなるでしょうね。20年経てば探して見つけ出すのも難しくなるんじゃないですか?」と冗談めかして言った。
上記の理由はそんなに小難しいものじゃない。以下のとおりだ。
そして俺が付け加えた「むしろ既にMOS資格目的の若者とパソコン初心者講習目的の熟老年は減少傾向にあるんじゃないですか?」という俺の質問に対し人事担当者は「確かにその通りですが我々もいろいろ考えてます」という苦しい表情の中での返答だった。
それどころか、面接中にこの会社は「今後、介護事業へ進出しようと我が社は考えていますがどう思いますか?」と会社のWebサイトに載っていない情報を口にし始めた。
当然ながら俺はこの介護事業進出へ大反対をした。どう考えても将来は斜陽化する業界であるからだ。
この俺の意見に対し人事担当者はまた苦い顔をした。そして面接の場として利用されている会議室は沈黙になった。
俺は沈黙に堪え切れなくなり「いわゆるITリテラシーの上昇がほぼ確信できる状況なので、現状のパソコン教室、検討されてる介護事業よりもITリテラシー上昇に合わせた事業のほうが将来の収益を確保できるのではないですか?」と発言し以下のように続けた。
返答に窮した人事担当者はこの時点で「採用の可否は後日郵送を持ってお報せします」と面接を無理やり終わらせた。
あまりショックではなかった。というか正直な感情を示すのなら「採用されたらどうしよう・・・」という不安さえあった。
このどうしようとは、入社して思いっきり暴れ回り根本から会社を変える勢いで働くか、どう考えても上層部に脳無しが少なからず居る会社で本当に働いて良いのか?という迷いのどうしようだ。
不採用通知はこの迷いから開放してくれたので安堵してしまった。たぶん入社しても大変だったろうから。
いきなり電話がかかってきた。会社名を言われても直ぐには思い出せないくらいスッカリ俺の中では終わってた話だった。
電話先の人といくつかやりとりをしていく中で徐々に思い出し、完全に思い出した時「あの会社ですか!?」と思わず口にしてしまった。
そして俺は少し間を置いた後に言葉を発した。「いや、おかしいでしょ・・・」と。
人事担当は俺の面接をした人で「申し訳ございません。不躾なことをしているのは理解しています。しかし弊社を助けると思ってどうかお願いしたく」と物凄い勢いだった。
すると「実は当初予定していた利用者数より大幅に下回りまして・・・弊社よりも安くサービスを提供するデイケアセンターがいくつも乱立し・・・」とだいたい予想通りの返答が来た。
あまりにも予想通り過ぎたので「そりゃそうでしょ巨大資本が流入すりゃ価格競争になっていって体力の少ないところは価格競争で負ける」といじめてやった。
「えぇ・・・ですから増田さんの知恵を借りたく・・・3年前増田さんがおっしゃってた通りにどんどんなっていき、このままでは弊社は潰れてしまう未来しか見えない」と泣きが入ってきた。
俺は一切協力する気無いので「無理に決まってるじゃないですかボクもうしっかり転職して別の会社で働いてますし」と返した。
「そこをなんとか・・・」というので1つだけ知恵を貸してやった。「ボクがアドバイスできることは、可能な限り早くアナタはその会社から離れたほうが良いということだけ」と。
そして直ぐに電話を切った。
不採用になって不満があるのはわかるが、よくそこまで妄想できるな。