2024-02-17

ボー、恐れるな 俺がついてる【ネタバレだらけ】

ボーはおそれているを見た

  

本当ははてな匿名ダイアリーに書こうと思ったのだが、初の試みすぎてどこからいけば入力ホームに飛べるのかも分からなかったので、こうして一旦自分エディタに向かって書く。ちくしょうめ。

お前たちがこれを見ているのなら、どうにかうまいこと投稿できたんだろう。

  

あのミッドサマーを作った、嫌な人間関係を描くことでお馴染みの男アリ・アスター作品だ。

彼の妙に女側の鬱憤描写に自信がありそうな感じは、まあきっと他の人が論じることだろう。

  

以下は、ボーと同じく母子関係問題のある増田がどのようにボーと旅をしたか備忘録である

もちろんネタバレたっぷりだ、各々で注意してくれ。

物語は、ボーが母親誕生日パーティドタキャンしたことから始まる。

ボーはいつも恐れていた、母親の機嫌を損ねることを。傷つけることを。

わかるぞ、ボー。

女手一つで息子を育てるというのは、どんなに大変なことか。

大人になればなるほど、それが途方もない献身の末にあったことが身に染みるようになる。

そんな彼女気持ちを裏切るのは、いつも最悪な気分になった(これは増田の話)

  

それにボーは、母親経済的援助の元にある(はっきり書かれてはいないが、増田はボーのカード母親名義のものだと推測している)

自立できればよかったのだが、母親がアレだもの

就職先とか全部潰されてきたりしたのだろう。

  

アパートで鍵を奪われたりしたのは、なんだったんだろうな。

母親誕生日パーティドタキャンを受ける前から、ボーに試練を与えるつもりだったのか。

それとも、母親の一味の中にボーに害意を持つ者が個別にいたのだろうか。

あるいは、「お前はこれで終わりだ(うろ覚え)」と語りかけてきた男は、ボー自身破滅願望だったのか?

  

ともかくここからボーの辛い旅が始まる。

家にたどり着くまでのやつは割愛しよう。

あれはほとんど昔話で言う「三回正しい行動をしたものけが生き残れる」みたいなお約束パートに見えた。

その中でも、医者の妻や森の痩せた男など、ボーに同情的な人々は少し居た。

彼らはどんな気持ちであの寸劇をやっていたのだろうか。

あの医者の家の娘、その気の毒さ。

突然やってきたボロボロ中年男性に、居場所を奪われるのは苦しかっただろう。

もしかしてあのペンキを急に飲んだのは、ボー母から内密な指令だったのかもしれない。

例えば誰も逆らいようのないボー母から「ボーと恋人関係になれ」などと命令されたなら(もちろんもし従ったところで、きっとボー母は彼女を始末しただろう。ボーにセックス禁止呪いをかけていたわけだし。つまり彼女が本気でボーを誘ってボーがそれをちゃんと断るところを見たかった。試したのだ)、あのヤケクソも理解できる。

ティーンエイジャーがそんなことを強いられれば、死にたくなったって仕方がない。

追記最初の推測は上の通りだが、よく考えて「ボーを本当の息子として扱え」が命令だったのかも)

  

個人的な推測をさらに進めるなら、ボーの母は彼を裁くに足る証拠を集めたかったのだろう。だから彼が罪を犯すチャンスをたくさん与えた。

そういえばボーの居住地区の治安が終わってるのも、母の采配なのだろう。

から離れた罰が、非常に明瞭に存在している。

彼女はボーが自分を愛していないことを、確認たかったのかもしれない。

    

ペン自殺きっかけに、ボーは次のステージへと追い立てられる。

ここでの話はよく分からん割愛しよう。

舞台の筋を書いたのは母親だろうから、母の愛(鎖)を断ち切ったところで幸せにはなれないという話だったのだろうか。

結構序盤からボーの妄想劇場っぽかったから、あれは単に彼の内心の探索だった説の方が強そうだが。

そういうお母さんの話(舞台)を途中から流すようなところが、母をイライラさせていた可能性はある。でもあのお母さんイライラ範囲デカいからな…。

    

その後、また追い立てられて舞台は最終決戦の葬儀場(家)へ。

セレモニーが終わってみんな帰った後っぽかったのは、フェイクだったからだろう。元々死んでない葬式なうえ、目的はボーのリアクションを確かめることだ。

弔問客がいっぱいいたってノイズになるばかり。

  

クルーズ出会ったあの子(たぶんボー母がセックスに至る前に追い出した)が、葬式に現れる。

彼女はボーと可及的速やかにベッドインするし、死んだ母親アクセサリーとかもいじくり回す。

正直、これが母親殺害意思を固めたんじゃないかと少し思う。

絶対このタイプの女、ボー母は嫌いだもんな。明らかに遺産目当てだし。

あのおっかない母親が死んだ今、ボー一人を籠絡するのは楽勝だと思って現れたのだろう。

でもこういう金目当て女に易々とハマるのは、ボー母の責任だ思う。

お前がボーに恋愛セックス)を禁じて、免疫を得るチャンスを与えなかったから……

そしてボーは母親に言外にしかし固く禁じられていた射精を、彼女の中で果たした。

ボーが母親に決定的な不信感を覚えた瞬間だと思う。

それはそのまま同時に、母親がボーを殺す理由だったのだろう。

  

口論の末、ボーは屋根裏で「本当の父」と対面させられる。

察するにボーの父親普通に浮気者だったのだろう。

あの外観を与えたのはボー母であるし、自分の中で射精した瞬間死んだみたいなエピソードもそれっぽい。

ボーを宿したあの瞬間までで夫の物語を止めて仕舞えば、美しい話で終われる。

隙を見せたお前が悪いので自分語りをするが、私も過去浮気をされたことがあり、ボー母のこの気持ちはよくわかる。

ある一瞬以降の「あいつ」を死んだことにしてしまえれば、どんなによかっただろうか。

ここに関しては、ボー母は自分のやりたいようになったことだろうから、少し羨ましくもある。

アリ・アスター監督は女のこう言う感傷部分への理解が異様に深い。

私も無限の金があったなら、昔の男のことは好きなだけボロボロにした上に殺したと思う。

ボー母の不幸は、それができてしまう力があったことだ。

なんでもできるが故に、諦められない。

彼女にとってどうしようもできないのは、人の心だ。

父親の心も、ボーの心も彼女は全く思い通りにできなかったのだろう。

  

一度、彼女の側に立ってみてボーを見る。

多分父親に似ていたのだろう。

今度こそ自分一心に愛する男に育てようと心を砕いたのに、ボーは何度でも「私」を裏切る。

友達と一緒に自分を貶め、自分以外の若く美しい女と寝ようとする。

自分に愛しているという口で、カウンセラーには不満や憎しみを言い募る(聞いてる母が悪いのだが)。

愛しても愛しても(少なくともそのように認識していても)、男は決して満足のいく愛を返してくれはしない。

可愛さ余って憎さ100倍ということわざが向こうにもあるのかは分からないが、そんな心境だったろう。

  

父と息子を混同するの、やめた方がいいよ。

  

ともかくそんな感じの母は、ボーに向かって死刑を宣告する。

「私」をとうとう完全に裏切った「あなた」なら、安心して殺せるから

  

正直言って母の父への憎しみはわかるものの、「子供」としての増田はボーと共にある。

経済的援助を受けていたやましさ。

日記帳を覗かれていたおぞましさ。

母を拒否した時の、たとえようもない罪悪感。

他にも色々あるが、ボーにシンパシーを受けるのはこの辺の過去があるからだ。

私の母は経済的援助についてはもちろん恩を感じるべきだというし、

日記帳に関しては母の愛だったのだから、私が許すべきだと主張する。

そして彼女の様々な誘いを拒否すると、哀れっぽく嘆いて見せるのだった。

これは、このタイプの母を持つ人間しかからない強制力だろう。

ボーよ、私はお前の気持ち結構わかるぞ。

特にお前が母親に「自分あなたの死を悲しんでた、超泣いたし」みたいな言い訳してるとこすごい分かったぞ。

自分でも嘘なことはわかってるんだけど、悲しめない自分に罪悪感もすごいしそれが母にバレた日にはすごいことになるから、とりあえず口先だけで母親想いをやるんだよな。

  

昔は金と罪悪感のコンボで割とコントロールされていたものの、最近すっかり距離を取るようになった。

物理的に距離を開けたのもあるし、一念発起して母に直接様々なわだかまりを伝えたからもある。

まあ全然分かってはもらえなかったのだが、幸いにして私の母には100人の狂った部下はいないし、経済的自立も今のところ果たせている。

このままボートには乗らず、本物の葬式しか近づかないつもりだ。

  

ボーよ、お前には全然選択しなかったと思うけど、こういうオチもあったよ。

次のお母さんは異常金持ち女性じゃないといいな。

  

映画自体は徹底的にバッドエンドだったし、スタッフロール中にも転覆したボートを延々映し続けて終わる最悪さだったが、その後のことは私が勝手想像してもいいだろう。

  

ボーはあの後、きっとボートの中にあった空気で助かって、うまいこと脱出できた。

観客席のみんながはけた後、最後に残った私のところにボロボロで泳ぎついて、私は「よく頑張ったなあ」ってボーの手を掴んで引き上げる。

そのあとは小汚いボーを連れてその辺でホットドッグとか買って齧って、公園で「いやお母さんやばいね」みたいな話をして、話も尽きたし寒いから私は普通に家に帰る。

ボーはお母さんの手から逃げることはできないだろうけど、まあなんとかトボト暮らしてお母さんが死んだら、遺産とかもらって急に派手な暮らししたらいいよ。頑張ってお母さんより長生きしな。

人より苦しい時間は多かったかもだけど、もしかすると本当にもしかすると、その苦労に見合った価値のある時間がいつかくるかもしれない。

そういうのって、生き残ってみなきゃわかんないから。

  

ボー、恐れるな。

もついてるし、意外と似たような境遇のやついっぱいいるからさ。

な、しぶとく行こう。

  • 自分が書いた前回のボーおそ日記    いまだに、日々ボーはおそれているについて考えている。 考察サイトとか、ふせったーとか、ツイッター(X)とかも見てる。 モナがボーの男性性...

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