はてなキーワード: 濡れ鼠とは
『子供にハーネスを繋ぐことは、たとえそれがどんなに合理的であっても、認めてはいけない尊厳の蹂躙だと私には思える。』
http://chikada.hatenablog.com/entry/2013/06/07/001556
すばらしいご高説だ。
id:hungchang には大学でたばかりのカウンセラー()が10分ばかり観察して自閉症間違いなしと太鼓判を押してくれた三歳児×2を
幼稚園に入れるため、社会性訓練を目的におとーさんが仕事を放り出して六月から毎日二時間、雨の日も風の日も日照りの日もご近所を
歩き回るなんて体験を、90日ほど連続で積んでからもう一度意見を伺いたいと心底思う。子供用の傘を子供二人に差し掛けて、自分は
濡れ鼠のまま、腰をかがめて数十分歩くとか、大変いい運動になるんじゃなかろうか。
(ちなみに、それまでの人生で動物を飼ったこともなかったおかーさんは、危なっかしくてさらに六ヶ月ほど子供×2を連れた外出は、
荷が重すぎて不可能だった。)
灼熱地獄の夏から数年後、初めてあのハーネスを見たとき、羨望のあまり目眩いがしたわたしは、誰かさんにお許し頂く必要性を微塵も
感じないし、それを問題にするような輩は箪笥の角に足の小指を二日おきに激しく打ち付ければいいとさえ思う。
※一方で、ハーネスに安住して子供の監視を怠るような母親については、大事なスマホをトイレで水没試験させてしまうよう祈りたい。
一方、関西とか、或いは広く全国的には、「後乗り前降り、運賃不均一」なバスが多い。
この場合、乗車時に整理券を取って、後者時に整理券に合った運賃を支払えばいい。わかりやすい。
この場合、どういうことになるか?と言えば、
「乗車時に、運転手に行先を告げ、それに合った運賃を支払う」ことになる。
仮にA停留所まで200円、B停留所まで250円だったとして、
「自分はA停留所まで行きます」と告げて200円だけ払い、しかしA停留所では降りずに、
何食わぬ顔でB停留所まで乗り続けても、果たして運転手がそういう不正乗車を見破っているとは、思えないのだ。
まあ空いてるバスなら見破れるんだろうが、多摩地区や神奈川地区のバスはそこそこ混んでいるから、
そこまで監視するのは難しいと思うのだが。
で、昨日、豪雨の中、初めて行く場所へ行くために、神奈川中央バスに乗車した。
ケータイナビサイトに表示されたバス停まで乗車しようとしたが、運転手に「行先は?」と聞かれた。
で、行先を告げても、「そんなバス停、ないよ」と言われる始末。
「●●の最寄のバス停ですよ」と言っても「わからない」とのこと。
しかたないので、ケータイナビサイトの画面を見せて、「このバス停ですよ!!!」と運転手に主張した。
どうやら、難読地名のバス停で、音読み訓読みを違えて自分が発音したため、通じなかったらしい。
・・・このやり取りをしている間、自分の次にバスに乗り込もうをしている乗客10名ほどが、
「バス入り口で、傘を差しながら、いや、傘が無意味な暴風雨でずぶぬれになりながら」、待っていた。
「バス停の名前も知らないKY客のせいで、バス乗車もできず、自分達が濡れ鼠になってしまってる」
ということで、自分に対して怨嗟の視線を向けていた(ように、自分には感じられた)
前乗り後降り運賃不均一バスというのは、システム上「自分の後車バス停を正しく認識し、かつ正しく発音できる乗客」が
大前提なシステムであり、自分のような地理不案内者は勿論、言語障碍者や外国人などにも「優しくないシステム」だと思うのだが・・・
俺の学校は山のふもとの盆地っぽいところにあるんだけど、俺の家は山の上にあって、まあ田舎なんでけっこう距離がある。毎日自転車で30分くらいかけて通学してる。で、今日の学校の帰り道の話。
学校出るときは降ってなかったんだけど、いきなり曇ってきたと思ったらけっこうな夕立が来て、こりゃいかんってんで通り道のトンネルの中で雨宿りしてたんだ。早く止まねーかなーみたいな感じで、トンネルの出口あたりでぼーっと空見てたら後ろから同じクラスの女子が来てさ。同じクラスっつっても、俺の学校は一学年一クラスしかないんだけれども。
こいつは帰り道が途中まで同じで、やっぱり自転車通学で、よく帰り道で会う。あんま美人ってんじゃないんだけど、なんか遊んでるっぽいチャラい外見してるのと、性格明るくて姉御肌っぽくて話しやすくて、男子からは割と人気が高い。仮に姉御と呼ぶ。
俺: 「おう」
姉御:「雨宿り?」
俺: 「うん」
姉御:「あたしもそうしよー」
姉御はモロに降られたみたいで、もうズブ濡れと言っていいくらいビチョビチョになってた。そんだけ濡れてたらもう覚悟決めて帰っちまった方がいいんじゃないかと思ったけど、姉御は自転車止めてガードレールに寄っかかって携帯触り始めて。
で、ビチョ濡れなわけよ。もう肌とか透けまくりでさ。俺はもうチラ見でガン見なわけですよ。背中とか腕とか、セーラー服がぺっとり肌に張り付いてて。なんかスポーツブラっつーの?色気も何もないようなゴツいブラが透けてて。黒。もっとエロい下着つけてるもんだと思ってたわ。んで思わず(なんか自制心とか完全にどっか行ってた。存在すら忘れてた)もうナチュラルにガン見してたら「何見てんだよ」って睨まれて。俺もう超キョドっちゃって、「(゜Д゜)え?あう、え?あ、あーあー、見てない見てない!」みたいな感じで。
やっべーなーと思ったんだけど、怒るのかと思ったら、にまーって笑って「まーあたしのナイスバデーにみとれちゃう気持ちもわかるけどねー」みたいなこと言いやがって、頭の後ろで両手組んでふざけたポーズまで取りやがって。ジョジョ立ちみたいな。したらまたブラとかヘソとか丸見えなわけですよ。「見てねえって!」とか言ったんだけど、ニヤニヤしながら「おまえホントムッツリだよなー」とか「見たいなら見たいって言えよ」とか抜かしやがるから、俺はトンネルの話を始めた。
「このトンネルって断面が丸いだろ」
「は?」
「このトンネル。円形だろ?」
「何言ってんの?」
「でも、この先にある小さいトンネルは卵型じゃん」
「えー?あー、そうかも」
で、シールド工法の話をした。卵形は昔ながらの掘り方で、円形より卵型のほうが縦の力に強いから強度的には有利なんだけど、シールド工法はでっかいドリルで一気に掘っちゃうから早いし安上がりで(トンネルと同じ径のドリルで掘ったことを彼女はどうしても信じなかった)、なんでシールド工法って言うかっていうと、掘るそばから穴の形に内側から丸いブロックをあてがって掘った穴を守っていくからで、これは外国のトンネル技師がカイガラムシっていう変な虫を見て考案した方法で、カイガラムシってのは流木とか木造船とかを食い荒らす変な虫で・・・。
まあ俺自身ねーよと思うくらいあからさまに話題をそらしたんだけど、姉御はそれに乗ってくれた。俺があんまりキョドってたんで哀れんでくれたんだと思う。ちゃんと相槌打ちながら聞いてくれるもんだから、俺は少し得意になりながら喋った。
そのうち雷がものすごくなってきて、ゴロゴロじゃなくてバーンとかブォンとかガラガラとか言い出したんで、雷の話もした。雲の中で氷の塊がぶつかりあって静電気が発生してどんどんチャージされて、それが限界超えると地上との空間の間でスパークして、絶縁破壊っていうんだけど、で電流は光速で伝わるんだけど絶縁破壊の伝播するスピードは光速より遅いから、スローモーションで見ると雷が雲から地上に向かって伸びてくのが見えるとか。で実は電子はものすごい遅くて、1秒に1ミリも動かないとか。昔は教会は神の家だから雷が落ちるなんて有り得ないし避雷針立てるなんて罰当たりな!って感じだったんだけどだんだん教会の尖塔が高くなってきて雷落ちまくって燃えまくったから教会もしぶしぶ避雷針を許可したとか。
そんな、学研かなにかで読んだような豆知識を必死に思い出しながらひたすら喋った。彼女がときどき寒そうに腕をさすってるのに気づかないフリをしながら、ただ沈黙が怖くて、黙ったら終わりだと思って、適当なことを喋りまくった。彼女は雷の話にはほとんど相槌を打ってくれなかった。そうしてるうちに夕立が上がって、俺たちはそれぞれ自転車に乗って、別れた。また明日、って。
震える彼女にそっと上着をかけてやるべきだったんだろうと思う。
まあ上着はなかったし、俺もけっこう濡れ鼠だったけどでも、たぶん、たぶんだけど、「寒いだろ、もうちょっとこっち来いよ」なんて言っちゃっても、ちょっと強引に肩を抱き寄せちゃったりしても、許された場面だったんじゃないかと思う。たぶんだけど。というか、そうすべきだったんじゃないかとすら思う。でも俺は、頭の中をそのことだけでいっぱいにしながら、口では愚にもつかないトンネルと雷の話をひたすら喋っていた。雷の轟音のたびに彼女がビクってするのに気付かないフリをしながら、ベンジャミン・フランクリンが雷雨の中で凧揚げをして雷が電気だと証明した話なんかをひたすら喋った。彼女の顔は見れなかった。
「匂いは思い出を想起させる」と言ったのは誰だっただろうか。
梅雨が終わり、定期試験も終わって、あとは夏休みを迎えるだけという緩慢とした空気感。すでに夏の日差しになっている太陽に照らされて埃っぽく土がまう校庭。運動部の半分やけになった掛け声とそれと競い合うようなセミの声。そして、時折混じる吹奏楽部の練習の音。僕は教室の窓際の席に座って外を眺めるでもなくただそこにいる。
不意に今までとは異なる匂いを感じる。これは雨のにおいだ、と認識する間もなく空は掻き曇り、大粒の雨が落ちてくる。はじめはぽつぽつと落ちてきたそれはすぐに本降りになった。気付けば運動部の掛け声もセミの声も止んでいる。そして、焼けた土と雨のにおいが混じりあった湿っぽいにおいが教室に満ちる。夕立はすぐにやむだろう。
僕が雨を眺めていると、教室の後ろのほうでドアの開く音がする。音の主は上履きをきゅっと鳴らしてこちらに近づいて僕に声をかけた。
「あ、増田くん、まだいたんだ」
聞き覚えのあるよく通る声。僕は平静を装ってそちらを振り向く。全身濡れ鼠の制服姿の彼女がそこに立っていた。僕は思わず目を逸らす。
「ひどいよねー、びしょぬれになっちゃった」
そう言って、袖を振る。教室には彼女の足跡が点々と付いている。
「ごめん、そっち向いててくれる?」
彼女はそう口にすると、ジャージが入っているらしき袋を手に取った。僕はあわてて教室をでる。中にいていいよという彼女の声を振り切って廊下に出てからカバンを持ってこなかったことに気付いた。廊下も雨の匂いに支配されている。
「もういーよ」
かくれんぼのときのようなその声を聞いた僕は、教室のドアを開けた。目の前に彼女が立っている。下ろした髪に野暮ったいジャージ姿。そして、雨とはあきらかに違う匂い。
(続かない)