2021-04-16

雑誌映画秘宝』の記憶(49)

町山智浩柳下毅一郎問題発言集】(No.19)

 今回の引用は「他人に害を及ぼすという意味での『問題発言』」ではないのですが、虚飾を剥ぐ意味で紹介しておきます

 出典は『ファビュラス・バーカー・ボーイズ映画欠席裁判2』(2004年洋泉社)、発言者を「町山」及び「柳下」と表記記述形式

   [ページ数]

   発言者発言内容

   【※】付随情報や私個人の感想など(適宜)

   (初出)

です。

引用ここから

[p207-208]

【※】監督ソフィア・コッポラ、出演・スカーレット・ヨハンソンビル・マーレイロスト・イン・トランスレーション』の話題

 町山:アメリカでは日本語セリフ英語字幕をいっさい使ってないんだ。

 柳下日本語のわからない主人公たちの孤独感を観客に共有させるためでしょう。

 町山:いや、これは野蛮人扱いだよ。親父コッポラの『地獄の黙示録』にも意味のある言葉をしゃべるベトナム人全然出てこなかったけど、この親娘はアジア人バカにしきってる。

 柳下ソフィア・コッポラ通訳彼女の面倒を見てやってた日本人たちは、この映画を観てどう思うんだろう?だって、ずっとあの女(引用者注:主人公)は「バカみたいな英語ね」って腹の中で笑ってたわけでしょ?

 町山:それ言ったら、主人公が二人とも最後まで一人も日本人を好きにならないってのも問題だよ。日本人カラオケに行って盛り上がるというシーンでも、ビル・マーレイスカーレット・ヨハンソンは二人でばっかり話してて、日本人と打ち解けることはない。

 柳下:だからさ、ソフィア(引用者注:コッポラ)をちやほやしてた日本人友達だと思ってたけど、向こうはサルしか思ってなかったんですよ。

(中略)

 柳下:それにインチキもあるよね。ポールが立ってて、ラップダンスがあるストリップバーが出てくるけど、あんなのアメリカ風俗であって、日本じゃないじゃん。

 町山:え、歌舞伎町にあるよ。

 柳下あんたが僕らを連れてった店でしょ(笑)。あそこはダンサーも客も外人ばっかりじゃん。

 町山:あの店のストリッパー口説いて連れ出して飲んでたら、イスラエルから来た娘で「パパはモサドなの」だって

 柳下:それ、口説いたのは✕✕✕✕✕くんで、あんたはおこぼれもらおうとしてついていっただけじゃん。

 町山:バラすなよ。で、イスラエルから、その娘も兵役経験があってさ、破壊工作班だったって言うんだよ。「建物を爆破するときは片方の柱だけ壊して自重で倒れるようにするのよ」だって

 柳下:何の話してるんだよ!『ロスト・イン〜』でしょ!

 町山:そういえば『ロスト・イン〜』の製作会社で、コッポラ親父が社長やってるアメリカン・ゾートロープって、サンフランシスコでもいちばん風俗街のド真ん中にあるんだよね。向かいストリップクラブがニ軒に、のぞき部屋一軒。ビデオBOXニ軒にファッションヘルスもあるよ。

 柳下:詳しいですね。

 町山:ヘルスはボッタくりだぜ。サンフランの他のヘルスは本番あるのに、ここは手コキのみで…。

 柳下:なんの話だ。ソフィア・コッポラの話でしょ。

引用ここまで=

(初出『映画秘宝』04年vol.53)

 以下は感想です。

【※】二人が『ロスト・イン〜』について言っていること自体には全く同意するのですが「英語能力が不足していて、現居住地アメリカ日本語字幕無しに観ている映画の内容を、町山智浩は正確に理解できていないのではないか?」とか「現地の地域コミュニティ町山智浩は融け込めておらず、現地人の友人がいないのではないか?」との疑惑を持たれるようになってしまった、現在町山智浩視点で『ロスト・イン〜』を観直したら一体どんな感想になるのかは興味深いところです。以前、パトリック・マシアス英語で会話する場面で、町山智浩英語パトリックが聴き取れない、もしくはパトリック英語を町山が聴き取れないと思しき場面もありましたが、今はどうなのでしょうか。

【※】さんざん非・都市部に暮らす非・富裕層アメリカ白人を「土人」呼ばわりして差別していた町山智浩たちが「アジア人バカにしてる」とか言っても「目くそ鼻くそ」ですね。

【※】あいも変わらず性風俗の話をし始める町山智浩は、他にアメリカでの楽しみが無い/無かったのでしょうか?

【※】今回の引用でも柳下毅一郎からは「おこぼれ目当てで後から着いて行った」とバラされているように、性風俗の話はしても「独力で女性口説いたエピソード」を出せないような町山智浩が、何故「オレは『大人恋愛論』を語れる!」と踏んだのか本当に不思議です。

 次回に続きます。ヘイル・サタン

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