2020-07-19

2年前のメモにあったキモい文章

スマホメモ見返してるとときどき昔書いた小説モドキみたいなのがあってゲェッ最悪!と思う

晒そうかな(自傷行為)

俺の思う最高にかわいい女の子を書くぞ!思って書いていた記憶がなんとなくある しかし…キモい

 

○1年・7月

黒板を隅々まで綺麗にしていく彼女の軽やかな動きをぼんやり眺めていると、突然声をかけられた。

「きみ明日の日直だよ、吉田君

彼女花崎さんとはほとんど話したことがないから少し驚いたが、よくみると彼女はちょうど「明日の日直」の欄を書くところだ。いま苗字を書かんとする人間自分のうしろに座っていることに気がついたから、なんとなく声をかけてみたのだろう。

そうだね、と適当に返事をして頷いてみせる。

「がんばってくれたまえ」

気取った調子でそう言って教壇に座ると、花崎さんは学級日誌に取り掛かった。弱くも強くもない筆圧で、今日時間割だとか欠席者だとかを書き込んでいく快い音がする。

教室にはほかに誰もいない。男子の日直である矢野君は重大な用事があるとかで帰ってしまって、花崎さんがひとり日直の仕事を片付けていたのだ。僕はといえば特に何かがあるわけでもないのだが、なんとなく高校時代放課後教室というものに浸ろうと思ってぼんやり座っている。

やがて「できた!」と小さな声が聞こえた。立ち上がった彼女になんとなく目を向ける。

目があった。

「読む?」と聞かれて、答える前に「読まない!」と先取りされる。「なぜなら明日読めるから…」と少し声を低めて歌うように言いながら彼女教室を出て行った。

読むにやぶさかではなかったのだが、明日読めると言われればそうだ。ヘンなひとだなあ、と思いながら教室意識を戻して、そのままひとりで20分くらい座ってから帰った。

○2年、5月

たまにはぶらぶら歩いてみるのも悪くない、と思って日曜日にわざわざ高校のある町まで出てきてみた。通学定期券がなければ片道400円近くもかかるところだと思うと、なんとなくありがたみがある。

目を向けたこともなかった駅前観光案内板を見て、コースを考える。公園展望台にいって大きく外すことはないだろうからここを終着点にしよう。そのごく近くの城跡にもせっかくだから寄ることにする。道中に菜の花畑なるものがあるな。たぶん今くらいがちょうどシーズンだし、ここにも寄って損はあるまい。その側の用水池というのも気になる。水面が見えるタイプだと嬉しいのだが、フェンスがあるだけかとガッカリするのもこういう散歩醍醐味かもしれない。

ボンヤリと行きたいところを決めて、携帯電話地図アプリと案内板を照らし合わせつつルート確認する。ざっくりわかったところでひとつ息をついて歩き出した。幸い今日は随分いい天気だし風も適度にある。よい一日になりそうだ。

順調に歩いて菜の花畑まで来た。道沿いにそれなりの数の菜の花が咲いている様子は壮観…とまでは行かないが、天気と相まってそれなりに見ごたえがある。のどか気持ちに浸りながらゆっくりと歩をすすめていくうち、前方に人影があることに気がついた。

あの人なんとなく知り合いっぽいな。熱心に花をみている様子だ。

近づいていくと向こうも気づいたようで、こちらをむいた。

「あれ、吉田くんじゃん」

華やかに笑って右手ひらひらと動かしたのは花崎さんだ。つられて手を振り返しながら、何してんのと聞いてみる。

花見てたんだよ。花崎だけに」

案外くだらないことを言う。冗談なのかなんなのかと少し当惑していると、それが顔に出ていたのか花崎さんは笑みを深めた。

「そんな困惑しないでよ、散歩してたら良い感じの花があったから見てただけ。吉田くんこそ何してんの?この辺じゃなかったよね、出身

いかにも僕は5駅離れた田舎出身である、と答えると、彼女は思案顔になった。

「ここってはるばる来てまでやることあるちょっと待って、考える……」

案外あるというのが僕の答えだが、考えるという彼女言葉尊重して菜の花畑に目を向ける。ときどき横の道路を車が走っていき、遠くから子供の声が散発的に聞こえ、鳥の鳴き声がする。ごく静かないいところだ。花崎さんもこのあたりに住んでいるのだろうか?気になったので尋ねてみる。

「あ、わたしわたしはそう、この辺だよ。本当にこの辺。目と鼻の先と言っ……たら過言だけど、比較的過言じゃないと思う」

辺りを指し示すジェスチャーをしながらそう言って、彼女はまた考えはじめた。

まあ近くに住んでいるらしい。高校に徒歩で行けるというのは羨ましいなとぼんやり思っていると、声をかけられた。

「四案あります。いち、学校忘れ物をしたので取りに行っている。つまらいね。に、だれかこの辺りに住んでいる友達と遊びに来た。これもあんまり。さん、部活妥当だ!よん、この町が大好き。ありえなそう。わたしはいちだと思ってるんだけど、どう?まず正解ある?」

ヘンな人だなあと感嘆しつつ、この中に答えはなく僕はただブラブラしたくてタダで来れるこの町に来たと事実を告げた。彼女は少し驚いたような顔をする。

「タダで来れる!そっか、そういう価値基準もあるよね。奇特な人だ。どうこの町、歩いてみて?」

まだそれを答えるには走破距離が足りない、と伝えると花崎さんは「たしかに!」と笑った。公園展望台に登るまでの脇道にある送電塔がけっこうオツなものであるという情報を教えてもらい、彼女と別れる。もう少し花を見てから帰るとのことだった。花崎だけに?と聞くと、花崎だけに、と笑われた。

  • 自分は何も書けない人間だから、くせがなくて読みやすくてすごいなあと思った。花崎さんかわいい。増田、住野よるとか河野裕好きそう

  • とても良いと思う。自分の好みは自分が一番知っている

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