「この人が核兵器のスイッチを持ってると考えると怖い」こんなブクマを目にするので、少し違った見方で話してみたいと思う。
まずトランプがどんな人かという前提を持っているのか、私は、「自分の理想や欲求を何がなんでも実現させたいすごくわかりやすいタイプの人間」だと考えている。
この理由は、まず第一に、過去に事業を何度も何度も失敗させてはチャレンジしていること。
第二に、選挙戦でずっと劣勢に関わらずまったく諦めたり路線変更することはなかったということ。
第一、第二はどういうことかというと、大統領選が始まる前の昔の発言(名言)からわかるように、不屈や努力が絶対に成功を導くと言っており、自分の成功や理想は追求し続けることで絶対に達成できると大真面目に信じてるということ。
第三は、メキシコの自動車工場にしても、オーストラリアの難民にしても、ここは私も譲れないけど代わりにこういう利益上げるから許して、ってのが一切通じないこと。自分がやる!って言った提案は絶対にやり遂げる、という行動原理がある。
ここから少し考えを進めると、トランプ大統領は中国やイスラム圏の嫌いな国々に対して、核の打ち合いをすることを心から望んでいるのか、公約や発言として言っているのか?
日本や韓国は自分で核武装すべきだ、と言っているように、核の使用に関しては、あまり積極的にやりたいとは思っていないと感じる。
なぜ重要か簡潔にいうと、トランプ大統領は、マティス氏に一目置いていて防衛に関しては一任するだろうからである。
第一に、先に述べたように、トランプは仕事を愛せ的な発言が結構見られること。
第二に、マティス氏の反対によって、拷問尋問を開始する大統領令を諦めたこと。
第三に、トランプ大統領は軍事力や警察力の使い方にまったくの素人であること。
第一は、マティス氏は、戦う修道士、国と結婚した男、とも言われているように、生涯をアメリカの防衛のために捧げていたこと。部下にクリスマス休暇を取らせるために自分が休日を返上したこともあるし、きちんと議会の承認と信用を得て国防長官に任命されている。
右派のネットメディアを側近にそえるほどのトランプ大統領が、国に生涯を捧げたマティス氏をリスペクトしていないはずはないと考えられる。
第二は、解説するまでもなく、反対派に対してかなり強弁な物言いをするトランプが、一歩引くということ自体、マティスの意見を大切なものだと考えていると推測される。
第三は、トランプ大統領は軍事や安全保障に関して知識が少なく、大統領選でもこのことを指摘されて、テレビニュースで補っている的な発言をしていた。これに関して、他人に頼るしかないと考えているはずである。
ついでにいうと、実は、軍部や警察力の懐柔のノウハウがないので、巷に言われているような独裁者には決してなれるはずはないと思う。
つまり、核の打ち合いということに関しては、トランプ大統領の理想とは異なっており、マティスが存在する以上、無意味な核攻撃は起こらないだろうということを結論できると思う。
もちろん、トランプ大統領がついカッとなって、核に関するツイートをしてしまう可能性はある。だがそれはマティスが防波堤となって、使用には至らないだろう。
また、肝心のマティス氏に関してだが、実はオバマ政権の元で、中央司令官を解任されている。
これは、イランに対する方針の不一致のせいだ。核武装に対しては、厳しめの見方をしているわけである。
トランプが感銘を受けた本、そして政権運営に深く関わる、ピーターナヴァロの『米中もし戦わば』では、中国が、法的な侵略と、機雷、潜水艦、民間船、そして、核武装により、アメリカを南シナ海から追い出そうとしているとあるが、
マティス氏は、韓国や日本に対して、核迎撃ミサイル(サードミサイル)の配備を求めてくるはずである。
核の使用自体を無力化し、通常の海軍力を競争の場にしたいと考えているわけである。
だから、先制的に核を使用しようとすること、または、相手に使用させようとすること、は考えられないはずである。
だた、アメリカの措置に怯んだ中国が誤って弾道ミサイルを発射し、そこから核の打ち合いが始まる危険性はある。しかし、少なくともトランプ大統領が核のスイッチを持っているからといって、軽々しく使う状況は絶対に起きないだろうと私は考える。