2022-06-18

コンサル会社事件について

コンサル会社が同業の競合他社へ情報漏洩事件やらかした件について、個人的感想を書いてみたい。

コンサルタントの仕事について

あなた自動車メーカーで働きたい若者モチベーション想像することができるだろうか?この問いに答えるのは比較的優しそうである子供のころから車が好きで、自分で憧れのあの車を作りたいとかそういう「夢」があるからだとか、具体的なイメージが沸きやすいのではないだろうか。増田の友人にも、イニシャルDの影響でランエボが好きになって三菱自動車で働くんだと言って入社していったやつがいる。

それに比べるとコンサルタントって、よくわからない業種だったりする。関係ない人から見ればなんか経営アドバイスをするとかそんなふわっとしたイメージしかない。なので始めにコンサルタントとは何ぞやというところから書いてみたい。

たとえ話になるが、あるところにジンバブエとの貿易20年間やってきた商社マンがいるとする。である時急にジンバブエ投資ブームになって、支店工場を作りたい企業がたくさん出てきたとする。だけど日本から見ればマイナーな国なので現地の商習慣や法体系要人へのコネクションを持ってる人がほとんどいない。そういうときにこの商社マン独立して有料でジンバブエビジネスに関するアドバイスを始めたらすごくありがたがられないだろうか?コンサルタントの仕事というのはもともとこういう需要からまれたのである個人もしくは少人数で専門性のある人が何かの必要に迫られているひとに知恵を貸すというような、そんな業態だったのだ。

それが時代を経るにつれて経営戦略立案を手伝う需要が生まれ、様々な専門性を持つコンサルタントが多数在籍する規模の大きな「コンサルティングファーム」が台頭してくる。まあ規模が大きくなったとはいえ、最も知名度の高い戦略系のコンサル会社ですら、東大生京大生を年に数人採用するとかそのくらいの規模感だったと聞いている。難易度の高い課題を迅速に解決する仕事のため、実務に精通したエキスパートがクソ地頭のいい若者をこき使って仕事をぶん回す少数精鋭の仕事であった。スポーツでいえばオリンピック代表のようなエリートアスリート世界増田個人的に付き合いの長いベテランコンサルタントは当時の話として、同僚に優秀な人しかいないのと、20代の若いうちから役員がするような難易度の高い仕事ができることがとてつもなく魅力的であったとよく言っていた。

現代コンサルタントについて

で、現代コンサルタントの守備範囲は前述の例のような専門知識を要する分野や経営戦略にとどまらず、人事、IT戦略といった広い分野に及んでいる。かつて企業正規の平社員仕事、例えば事務員工場作業員プログラマー派遣請負で置き換えていったように、気づいたら幹部社員仕事外注先として重宝されるようになっていった。誤解を覚悟性質を表すと、「幹部社員の高級派遣業」とでもいう感じだろうか。

そうした総合コンサル各社は規模も大きくなり、中途や新卒もたくさん採るようになった。とはいえ業務難易度は相変わらず高いため、採用基準は依然として厳しいものだった。6,7年前の状況で旧帝大クラス学生を年に十数人~数十人とかそんなものだったと思う。待遇に不満のある霞が関官僚コンサル業界転職するのが流行りだしたのもこのころだった気がする。この時期のコンサル業界は、スポーツでいえば国体出場選手レベルエリートアスリート集団といったところだろうか。

その状況が変わったのがここ3年ほど。折からデータサイエンスやDXブームに加えてコロナウィルスの影響でITコンサルティングの需要が急増した。それに対応するために総合コンサル各社も一気に規模の拡大に走った。拡大スピードは驚異的で、今回やらかした某社でいえば人員を5年で2.5倍に拡大する計画をぶち上げていたくらいだ。

https://diamond.jp/articles/-/300065

そして今回の事件

さて、これまで少数精鋭で回してきたコンサル会社が規模を拡大するとどうなるか。答えはシンプルで、社員の質の低下が起きる。採用基準でいえば、かつては有名どころのコンサル会社は旧帝クラスが目安だったのに、今ではMARCHクラス学生もどかどか採用するようになっている。単に学歴が(相対的に)低い人材が増えたというだけでなく、新入社員メンタリティも変わって来ている。なんというか、ストイックで求道的なエリートアスリート集団の中に、「プロ野球選手って稼げるんでしょ?」的な不純な動機のやつが混じりだしたという感じだ。彼らは仕事内容に魅力を感じているのではなく、コンサル業界ではたらくイケてる俺らみたいなステータスを重視しているように見える。話は少々脱線するが、最近Twitterタイムライン自称コンサルタントによる「JTC」という発言をよく目にするようになった。「Japanese Traditional Company」の略で、古臭いイケてない日系企業揶揄する一種ネットスラングのようなものだが、こういう言葉流行ること自体自分に酔ってるイきりコンサルの増加を裏付けているような気がしてならない。コンサルティングの仕事顧客あってのものなので、ベテランコンサルは得てして謙虚(に振るまえる)だし、炎上リスクのある迂闊な発言オープンな場でしないのが常識からだ。

少々話が脱線したので本題に戻りたい。もともと少数精鋭で回していたコンサル会社が急に人を増やしました。仕事を取って来れて人事権を握っているベテラン社員はみんな優秀です。抱えてる案件が増えて、相対的能力の劣るメンバーも増えたときに、そんな上層部の人たちが昔から感覚で同じ規模の案件に同じくらいの人数と納期で人を割り当てました。さあ、どうなるか。答えは言わずもがな炎上プロジェクトの多発である

炎上プロジェクトが1つや2つのうちはまだ問題にならない。最悪上層部のドチャクソ優秀なベテランが巻き取って火消しをするからだ。だが会社が拡大路線を続ける限り、新たな火の手はどんどん上がってくる。そして、上層部の目が炎上プロジェクトに向いている間に、モラルの低いコンサルタントが納期に間に合わせるために競合他社の資料を使いまわすという禁じ手を使ってしまった…そんな情景が目に浮かぶのは私だけだろうか。ここ2、3年のコンサルブームが落ち着かない限り、第二、第三の類似事件は必ず起きる。そんな気がしてならないのだ。

  • 5、6年前ツイッターにいたコンサルニキとがらりと論壇が変わったところを見るに、彼ら彼女らはFIREリタイアでもしたんだろうか…。

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