2020-05-29

上司工数を出したら〜のやりとりについて思うこと

こういう記事を目にした。ちなみにこのQuoraというサイトについては初めて見るのでQAサイトなんだろうなという事以外は何も分かっていない。

上司工数を出したら「私なら半分で終わる」と言われ工数を削られました。それならあんたがやれと思うのですが、こんなときどう捉えるべきですか?そもそもあんたが作ったんだから速いだろと反論したくなります

https://jp.quora.com/%E4%B8%8A%E5%8F%B8%E3%81%AB%E5%B7%A5%E6%95%B0%E3%82%92%E5%87%BA%E3%81%97%E3%81%9F%E3%82%89-%E7%A7%81%E3%81%AA%E3%82%89%E5%8D%8A%E5%88%86%E3%81%A7%E7%B5%82%E3%82%8F%E3%82%8B-%E3%81%A8%E8%A8%80%E3%82%8F%E3%82%8C

(本当はリンク先の該当する回答を全て読んで欲しいのだが)

私が覗いた時点で1番上に来ていた松本 祐司さんという方の回答(この表示順のルールについても知らない)を読んで自分なりに思うことがあったのでそれを書きたい。まずは客観性のない私の主観でその方の回答を要約してみる。

・確かにその上司コミュニケーションスキルが足りない

しか解決策は己のあらゆる能力をあげることしかない

・逆の立場になって考えてみると相手あなたに期待していたともとれ、結果的に残念に思われたとここでは規定する

・残念に思われた結果、回される仕事雑務、誰でもできることになっていき、次第に年齢がいけば、リストラ候補にもなりうる

上司の期待に応えられていない現状を素直に認めて、自分能力を上げることを勧める

最後に「上司避難する気持ち仕事をするな」という言葉を教えてくれた(今では成功して偉くなった)昔の上司とその言葉をまもって今のポジションにいる自分自身の美談が語られている

よく見る模範解答だと感じるし、正直なところ5年前や10年前であれば特に違和感もなかったろうと思う。

現在の私はこの回答自体にも違和感を感じるが、この回答が1番上、つまり1番多く見られる(おそらくベストアンサーだろうと思わされる)回答になっていることにも違和感を持った。自分が働く側にまわってそれなりに経ったからだろう。この方が会社上司側の視点で多くを書いているので私は個人や部下側の視点で書いてみようと思う。

端的に「能力を上げることしか解決策がない」とする意見だが回答に書かれている文脈においてこれは非常に危険な考えだと思っている。

かに質問者にとって現実的有効であると思われる解決であることには同意するが、能力をあげることしか解決策がないというのはいささか恣意的ではないだろうか。そして「能力をあげる」という言葉方向性は最終的に上司の想定の半分の期間でものごとを終わらせることを目標例にしている。つまり上司意向に沿って現在仕事成功していくことを質問者が望んでいる前提となっている。

質問自体も前提条件や背景など分からない部分が多いのである程度想定で書くしかないということも分かっているが

こういう上昇志向個人能力を鍛えることで何でも解決しようとする考えを勝手ドラゴンボール思想と読んでいる。

質問者が本当にそれを望んでいるならそれで構わないし、そうであればこれ以上ない最良の回答だろう。

しかし本当にそうなのだろうか。分からない。

質問者ドラゴンボールで言うZ戦士系譜であれば少なくとも質問者回答者という単位では問題ない。

そして実際にZ戦士達はそのせいで(おかげでとも言えるが)永遠に続く戦いの螺旋に身を投じることになる。

しか多様性が叫ばれ、日本経済落ち目となり、これまで力を持っていたものが弱体化し、疑われ、多くのものが見なおされている昨今、日本で働いている人間多数派悟空ベジータのように己の適正を理解し、適切な職場業界位置しており、そこで仕事における能力の(殆ど無限と言ってもいい)上昇とそれによる出世を望んでいると同時に望める状況にあるとは到底思えない。

そもそも人間自分自身の求めていることを正確に把握していることの方が稀だとすら思っている。

そして我々の世界マンガではない。我々の肉体をはじめ、現実のあらゆるものは有限だ。

そして最後に加えられた物語美談)がより一層この回答の訴求力を強めている。人間にとって物語というのは劇薬だ。

しか人生というもの物語解釈意味づけしようとする考えに対してそれは物語である限り間違えているとユヴァルノアハラリ氏は21Lessonsの中で説いている(たしか)。

大事なのは上司と部下、組織個人いかバランスを取っていくかに思えてしまう。

バランスを取るには適切なコミュニケーション必要だ。

適切なコミュニケーションを取るには信頼関係必要だ。

信頼関係を構築するには適切なルールシステム機能していることが必要だ。

例えば頑張ってもそれに見合った対価がもらえなかったとしたらどうだろうか。

仕事は多くの場合上司社長株主がおり、ある種彼らの都合のいいように時間能力リソースを奪われていると考えることも出来る。

仮に上司人間的に信用できたとしてもルールシステムがそれを阻む場合もある。

から言われている昇給と昇格が切り離されていなかったらどうだろうか。

会社側で重要ポストというのは限られているし、自分の適正が管理職にあるとは限らない。

そもそも成果の分だけきちんと利益還元されるというのは基本的に国や世界経済が上向きになっている必要があるし、人間による評価というもの構造的な欠陥を持っている。

そして対価が自分の望むものではなかったとしたら。

まり以前は有効機能していたとされる構造システム問題が生じてきていることの方が多いのではないかと思う。

そしてそこに健全であると思えるよう)なシステム環境がないと人間の行動はなるべくリスクを取らず、なるべく仕事の量を増やさず、なるべくストレスを避けるといったものになるか、あるいはその逆になるのは自然だろう。いずれにせよ多面的かつ長期的な利益追求のために目指すべき形ではない。

もちろん営利組織利益を拡大していかなければならないので能力向上や納期短縮は重要だろう。

それを否定するつもりもないし、不真面目な社員がさぼるのを助長するという意見もあるかもしれないが、まずそんな人間採用する仕組みに何かしらの問題がある。

個人の持つあらゆる能力をあげておくに越したことはない。それには自分同意する。

しかしそれと同時にお互いの利益がなるべく一致するような新しい評価報酬システム環境がつくられ、健全コミュニケーション信頼関係がなければいけないはずだ。

それにはトップが牽引して組織的に動く必要があるし、個人能力向上だけでは解決できないだろう。

個人レベルでは比較的それらのシステムが整備されている場所へ移ることも手段の1つだ。

いずれにせよどちらか一方的という所があるならそれが問題のように思える。

我々は有限な血と肉で覆われた不完全で複雑な動物であることを忘れないようにしたい。

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