はてなキーワード: 有機合成化学とは
就活で死にそうだぞ!
それは置いといて本題に入るわ。
自分は有機合成化学を専門としているんだが、なんか研究というものを2年やって、研究室入る前後の認識のギャップがあったからちょっと書いてく。
愚痴っぽいし、純粋に俺の実力不足な部分も多分に含まれるだろうことを最初に言っておく。
研究をゲームで例えると、配属前は、50レベルの敵を倒すために、自分もコツコツレベル上げして、段々と改善を重ねて倒してクリア!
みたいな感じのイメージだった。
でも配属後、自分のレベルとか関係なく、どれが敵に効くか分からん大量の武器の中から、とにかく順番に投げて効けば勝ち。効いた理由?分かれば分かったでいいけど、次の敵を倒すのが先ね。
みたいな感じ。
要は実験数第一主義の運ゲーみたいな面が思った以上に大きかった。
なもんだから、正直実験が上手くいっても大して嬉しくないんだわ。
野依センセだけじゃない。有機合成系の研究室というのは,基本的にブラックになる傾向がある。
合成の論文を見ると,少ない場合で数ステップ,普通は数十ステップの合成経路が書かれている。この合成経路の完成には膨大な人手がかかるからだ。教授やら偉い人が「なんとなくこの物質はこういう経路で合成できるんじゃないかな」とあたりをつける。場合によっては何通りもの経路を考える。で,そのステップの一つ一つを下っ端の助手やら院生やら学部生やらが実験してみる。
一発で合成が成功することなんてほとんどない。で,そうなると「溶媒変えてみろ」となり,数十通りの溶媒を試してみる。だめだと「触媒変えてみろ」になって,全部の溶媒と数十種類の触媒の組み合わせを試してみたりする。それでもだめだと「温度変えてみろ」「圧力かけてみろ」「光当ててみろ」とかなる。それらの膨大な試行錯誤によって一つのステップが完成したりダメと判明したりする。
一歩一歩が院生の数ヶ月をつかう作業で迷路を解いていく。それが有機合成化学という分野だ。でもって,多くの研究分野では複数の研究室が競争してたりする。たとえ合成経路が完成しても,他の研究室に先を越されたら何の意味もなくなる。
ポスドク崩れはいっぱいいるのに、日頃あまり怨嗟の声をきかないのはなぜかわかるか。今の境遇は自分のせいだ、自分が無能だから仕方ない、と考えているからだよ。
ところがこの事件は「おまえが無能だろうと有能だろうと捏造して業績稼ぐやつがポスト持っていくんだよ」と大声で教えてくれた。
おれのような卑屈で無能なポスドク崩れが自分を慰めるその最後の手段が奪われたんだ。だから、
本当にお前らは小保方をどうしたいのかわからん。
顔を醜くゆがめて鼻水を垂らしながら「ずびばぜんでじだー」って泣くところを見たいの?
そんな結末で許すわけねえだろ。
酷く酷く制裁されて産まれてきた事を後悔しながら死んで行ってほしいんだよ。
全国のこの手でちょろくポストをゲットした捏造野郎もだ。チャンピオンデータを持ち出して合成収率を自慢した有機合成化学者も全員死ね。
まあどのくらいの数の異所属カップルが誕生するかは別にして,「生命科学専門でもないが理系で化学系の知識があり,生物にもそれなりに好奇心がある」ような人を想定してコンセプトを選択してみようと思う.(彼女を専門に引き込むというよりか自分の興味がこんなことなのだよと紹介する意味で.同じことを彼女にもしてもらうとよいかもしれない.)あくまでコミュニケーションとしてなので,あまり概念中にたくさんの専門用語がでてくることは避けたい.多くて半ダース.あといくら基礎だとはいっても,いきなり宇宙はエネルギーのあり方で生命はその一形式だというそもそも論も避けたい.
彼女は中学の生物は大体覚えているが高校の生物は習っておらず,専門は理論化学よりの有機合成化学の学部生で頭は切れて時々おっちょこちょい,生化学や分子生物学には興味がないわけでない,というきわめて好都合な条件の下紹介すべき十概念を考えてみた.以下の順番はちょっとした思想の配列として少し気を使ったがあからさまにそれを伝えなければいけないほどのものでもない.
まあ,いきなり大御所だがここははずせない.物質科学全盛の時代に生命科学もそこにアクセスする活路を切り開いたということで.ただここであまりの情報の蓄積を彼女にぶつけてしまうとうんざりさせてしまうかもしれない.素材自体が一級なのだから彼女の興味と質問とが誘起されるような語り口がよいと思う.
「生命科学系の学生が考えるに有機化学の学生に受け入れられそうな概念(思い込んでいるだけ.実際は全然受け入れられない)」そのものという意見には半分賛成・半分反対なのだけれど,それを彼女にぶつけて確かめてみるには一番よさそうな素材なんじゃないのかな.
彼女も酵素の構造が機能と密接にかかわっていることは知っているだろうし,それを酵素や分子機械で実現することの面白さをぶつけてみたり,代謝が全体として大きな制御システム回路のようなものになっていことをぶつけてみたり,その中で彼女の生物特有の機構への興味が増せば儲けもの.
iPSはノーベル賞をとるといわれているし鉄板かな.案外作るために必要なことは制限酵素とウイルス遺伝子の挿入が本質でわかりやすく応用可能性も広い.
細胞創造と生命の起源の話はいままでの話よりはコアかなと思う.でも彼女は有機合成が専門だし細胞を合成するという巨大なプロセスに興味をもってくれるかもしれないし,それが一回地球の表面でおこっただろうということはロマンだよな.地雷でもあるかもしれない.
これはもう完全に僕の興味とスケベ心からで,マニアックすぎるかもしれないけれど,これからの生物学の方法としてかなり有力だし,分子数が多い細胞の中の各要素(components: DNA, RNA, Ribosomes, Electrolytes, water, cytoskeleton etc)間の関係性をシステムとして記述することの重要性と難しさとを語ってみたい.もし彼女が難しい素反応がたくさんある合成との類比で興味を抱いてくれるとよいのだけれどあまり深追いはできないな.
そんなに新しくないし,フォンノイマンみたいな人が見たら不動点定理に過ぎないと怒り出すかもしれないが,線形で静的で平衡系が非線形で動的で非平衡の系のちょっとしたヒントになることと分子・細胞・個体・生態のどのレベルでも同じような思考ができるというこれまでの話をちょっと豊かにする意味はある.遺伝子で始まり生態で終わるのも少し対比があってよいかと思う.ただこの話題には全然自信が無いからよければもっとぴったりするものを提案してほしい.