2019-10-07

https://b.hatena.ne.jp/entry/s/twitter.com/TJO_datasci/status/1180411468300222464

野依センセだけじゃない。有機合成系の研究室というのは,基本的ブラックになる傾向がある。

合成の論文を見ると,少ない場合で数ステップ普通は数十ステップの合成経路が書かれている。この合成経路の完成には膨大な人手がかかるからだ。教授やら偉い人が「なんとなくこの物質はこういう経路で合成できるんじゃないかな」とあたりをつける。場合によっては何通りもの経路を考える。で,そのステップの一つ一つを下っ端の助手やら院生やら学部生やらが実験してみる。

一発で合成が成功することなんてほとんどない。で,そうなると「溶媒変えてみろ」となり,数十通りの溶媒を試してみる。だめだと「触媒変えてみろ」になって,全部の溶媒と数十種類の触媒の組み合わせを試してみたりする。それでもだめだと「温度変えてみろ」「圧力かけてみろ」「光当ててみろ」とかなる。それらの膨大な試行錯誤によって一つのステップが完成したりダメと判明したりする。

一歩一歩が院生の数ヶ月をつかう作業迷路を解いていく。それが有機合成化学という分野だ。でもって,多くの研究分野では複数研究室競争してたりする。たとえ合成経路が完成しても,他の研究室に先を越されたら何の意味もなくなる。

かくして盆正月も帰れない,始発から終電まで実験をひたすら繰り返すブラック研究室誕生するのだ。

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