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2022-12-05

VAR導入に関するデマが1日で既成事実化している件

南米マリーシアを封じるためにVARを導入した結果アジア勢が躍進して、実は自分たちは今まで守られていた側に気づいて、今度は一転してVAR廃止を主張し出すという、清々しいまでの欧州典型的様式美の姿がこちらです。

騒動続出に“VAR擁護派”元英代表FWが一転、廃止主張 日本戦は「道徳的に間違いだ」(THE ANSWER) - Yahoo!ニュース

https://twitter.com/John___Bull/status/1599218750003515392

日大量にいいねRTされてたこれ。この大量拡散されているツイートデマっぷりが大概なのでいちフットボールファンとしてちゃんと指摘・訂正しておきます

まず「(欧州が)南米マリーシアを封じるためにVARを導入した」というのは明確なデマです。

第一に、VARの導入に関して南米サッカー連盟(CONMEBOL)が抵抗・反対した事実がありません。むしろ積極的に導入してきた側です。

国際サッカー連盟FIFA)が公式大会でVARを導入したのは2018年ロシアW杯からですが、CONMEBOLはその前年の2017年からリベルタドーレス杯(※南米大陸のクラブNo1を決める南米チャンピオンズリーグ的な大会)など自身主催する大会でVARを導入しています

南米を訪れたコッリーナ会長 VARを昨年から導入したCONMEBOLの取り組みを高く評価 FIFA審判委員会のピエルルイジ・コッリーナ会長がCONMEBOLのワークショップに出席 - Goleador - 中南米サッカーサイト

VARが南米マリーシアを封じるために導入されたものであるなら、それによって不利になるはずの南米サッカー界が抵抗・反対するどころかいち早く導入しているのはおかしな話です。

第二に、VARの導入に関して最後まで抵抗・反対し続けていたのは欧州サッカー連盟(UEFA)だという事実があります

2015年までUEFA会長を続けていたミシェル・プラティニは"テクノロジー否定派”の代表格で、ゴールラインテクノロジーやVARの導入には一貫して反対し続けていました。

プラティニ、ゴールラインテクノロジーには反対

「VARはゴミクズも同然だ」“フランスの英雄”プラティニが辛辣発言! 気になる今後の活動にも言及 | サッカーダイジェストWeb

プラティニの後任として会長就任したアレクサンドル・チェフェリンもVAR否定派であり、FIFAが導入を正式決定したあとも批判を続けています

「めちゃくちゃだ」「気に入らない」UEFA会長がVARを猛批判! ではなぜ各国リーグでの導入を決めたのか? | サッカーダイジェストWeb

欧州サッカー協会を束ねるUEFA会長がVARの導入に反対しているのに「(欧州が)南米マリーシアを封じるためにVARを導入した」などという事象が発生するわけがありませんよね。

第三に、欧州には"南米マリーシアを封じるため”にわざわざVARを導入する理由がありません。そんなことをしなくても国際大会特に近年のW杯の成績では南米を圧倒しているからです。

VAR導入前のW杯南米の国が優勝したのは2002年日韓大会ブラジル最後で、その後は2006年ドイツ大会イタリア2010年南アフリカ大会スペイン2014年ブラジル大会ドイツと3大会連続欧州の国がW杯で優勝していますベスト4まで残った国を見ても南米南アフリカ大会ウルグアイブラジル大会ブラジルアルゼンチンだけで、そのほかはすべて欧州の国が占めています自国開催ブラジルドイツに1-7で敗れた"ミネイロンの惨劇”は覚えている人も多いはず。

南米マリーシアを封じるためにVARを導入した」などというデマ鵜呑みにしてしまうのはこうしたW杯の結果や力関係すら知らない人間だけです。

以上のように「南米マリーシアを封じるためにVARを導入した」という事実自体存在しません。従って「南米マリーシアを封じるためにVARを導入した結果アジア勢が躍進して、実は自分たちは今まで守られていた側に気づいて、今度は一転してVAR廃止を主張し出すという、清々しいまでの欧州典型的様式美の姿」などというもの存在しません。別の競技で同様のことがあったとしても本件はそれにあたらないのです。仮にそれが見えたのだとしたら、それは見た者自身無知偏見を反射した虚像に過ぎません。


毎度のことではありますが、W杯のような大きなイベントともなるとろくに知りもないのに知ったかぶりをして注目を集めようとする人間や、それを鵜呑みにしてわかったつもりになってあれこれ語る人間が大量に湧いてきます特に今回のような"それっぽい話”は拡散されがちです。それだけならスルーしておけば良いのですが、問題はそうした人間のばら撒いたデマや誇張・歪曲された情報がいつの間にか事実として流通してしまうことです。実際に今回のデマも、リプライ欄や引用RT等ではほぼ"事実”として扱われています

そして、これらのデマを書いたり拡散する人は、日本代表選手たちやサポーターたちのように自分たちが散らかしたゴミ(=デマ)を片付けるなんて行為はしてくれません。彼らは書きっぱなし・騒ぎっぱなしのまま自分たちの書いたデマ放置してどこかに行ってしまます。結果残されるのは"事実だと誤認されたデマ”とそれを鵜呑みにして他者無知偏見をぶつけ続ける愚者だけなのです。

「VAR 南米」のTwitter検索結果 - Yahoo!リアルタイム検索

判定にあれこれ意見を言うのも、また煽り・煽られもフットボール文化の一部です。だから判定について異なる意見を言った相手馬鹿にしたり煽ったりすること自体否定するつもりはありません。ただ、そのために存在しない事実捏造したり事実を歪曲するのはフットボールとそれに関わる人たちへの冒涜です。

W杯の、それも歴史的勝利お祭り気分にのせられてしまうのもわかります。でも書くべきことと書くべきではないこと、拡散するべきことと拡散するべきではないことの区別くらいはつけてください。カタールで戦っている選手たちはあなた気持ちよくデマを(それもフットボールに関するものを)垂れ流させるために奮闘しているわけではないでしょうから

 
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