2023-07-18

君たちはどう生きるか」の好きなシーン7選

まり同じような感想レビューが無かったので共感できる人を探している。

この作品からは、幻想理想の世界から現実に引き戻そうというメッセージ性を感じた。「意味がありそうなことも重要ではなかったりする」、「価値観は人それぞれ正義も悪もない」、「個人想像力努力世界に大きな影響を与えることはない」。こんなメッセージが散りばめられているのに、重く押し付けるわけでもない。そんな雰囲気がとても心地よかった。私が好きだったシーンを挙げる。

1. 我を学ぶものは死す

門と墓があり、墓には「我を学ぶものは死す」と書かれている。ファンタジー世界では危険オブジェクトであるペリカンという不可抗力に巻き込まれて門を開けてしまった。門を開けてしまったがゆえに何か恐ろしい者が目覚め命からがら逃げ出す、という鉄板な流れを期待するものの、そうはならない。キリコが炎を使った謎の儀式をして、墓を見た方向のまま後退する。結局何も起こらない。

ここで最初メッセージを感じた。

「門を開けてはならない」、「怒りを鎮めるには儀式必要」、「儀式には細かい作法がある」、現実にもこんな類の知らない人には全く理解できないルールが沢山ある。守ってもいいし守らなくてもいい。世の中には様々な価値観がある。眞人は肯定否定もない。そんな世界で生きていくことを考えさせられる。

2. 触れてはいけない人形

眞人は何故か机の下で寝ている。自分の周りには人形が置かれていて、何故か触れてはいけないというルールがある。しかし眞人はルールを破って触れてしまう。この時点で薄々勘付く。何も起こらないと。

これは子供1人遊びだ。

何故か自分自分によくわからない制約を課す。理由はない、面白いからだ。狭い空間人形に触れないで外に出られたら面白い成功したら自分を褒める。失敗したら悔しがる。それだけ。

墓のシーンと似ている。子供1人遊び大人儀式も根は同じか。そんな感覚を持った。

3. ヒミ対ペリカン

ワラワラという赤ちゃんの源である可愛いキャラクターペリカンに食べられそうになる。そこにヒミがやってきてワラワラもろとも焼き尽くす。全滅するより誰かが助かった方がいい。ペリカンは生きるためにワラワラを食べるしかない。

小学生の授業でやるような道徳的なシーンだ。

ありきたりな童話のシーンといえばそうなのだが、個人的に好きだったのは焼き尽くしているのが母親のヒミということだ。

戦争で言えば爆撃機もしくはアメリカイメージするその役割を、空襲死ぬ予定の母親がやっているのだ。本人に悪気は無い。良かれと思ってやっている。将来の生命のために、今ある生命を焼いている。その先には因果応報のような結末が待っている。このバランス面白い

4. 裂けた羽根

アオサギの弱点は羽根であるアオサギ自身がそう言っていた。羽根を見せられると慌てた雰囲気になる。そんな中唐突羽根が裂けてしまう。しかし何も起こらない。心の中で突っ込んだ人は多いんじゃないだろうか。

「それも嘘なんかーい!」

弱点が本当だったのか嘘だったのかはよくわからない。眞人もアオサギもそれに言及しない。そう、この時点で2人はすでに仲良くなっていて、弱点ゲームをずっとやっていたのだ。懐かしい気持ちになった。

5. 理不尽な産屋不可侵ルール

ここまではフラグが立ったのに何も起こらなかったというものだが、産屋に入ってはいけないという制約は、入った後に知らされた。今度は過剰な罰を受ける。もはや謎なレベルだ。このシーンは最も現実に近い。よくわからない知らない人が考えた謎ルールで特大の罰を受けてしまう事が現実にはたくさんある。

「知らんがな」

眞人はそんかセリフを心で叫んだかもしれない。眞人には同情するが、そうやって大人になっていくんだよ、頑張れ!と応援したくなる。これは眞人の成長ストーリーだ。現実というファンタジーの中でどう生きていくのかを考えさせる。構造面白い

6.意味の無い努力をしている叔父さん

この叔父さんは可哀想だ。理想的世界自分が維持していると思っている。私のおかげであと1日保つ事ができる。そう言う使命感を持って積み木をしてたらしい。しかし、彼の努力誰も知らないし、現実世界には何も影響を与えていない。そのことに本人は気がついているのだろうか。ぶっちゃけ小学生でも悪意のない積み木を積み上げても理想的世界にはならないことは容易にわかるだろう。

その後、ファンタジー世界崩壊しても、世の中は変わらなかった。戦争が始まりやがて終戦する。1人の想像力努力だけでは世界は変わらない。そんな世界でどう生きるか。そんな事を考えさせられる。眞人の目にはどう映ったのだろうか。尊敬軽蔑、哀れみ、複雑な感情があっただろう。

7. 無駄のないエンディング

ファンタジー世界崩壊してからの流れは早い。

ファンタジー世界崩壊と、終戦後の家族の様子を見れば、メッセージは全て受け取った気持ちになった。もうこれ以上のメッセージはいらない、そんなタイミングでのエンドロール。たまらん!

皆さんはどのシーンが好きでしたか

  • 「ご先祖様だぁ〜」 ↑ここが一番面白かった。「君らから見たら、そういう解釈なんやな〜」と。

  • 序盤のじっとりしたホラーみたいな雰囲気とそれに全然臆さない真人がかなり好きなジブリの主人公だった あとインコが包丁を舐めるシーンのユーモア

    • 下の世界に行くまではどう話が展開していくか読めない所が良かったね 不気味さとワクワク

  • 俺はドラえもんがタンクを破壊するために特攻したシーンかな

  • ワラワラを焼くヒミに眞人がやめろと叫ぶシーンが初見では理解できなかった なんで助けてもらってるのに口出してるんだ?と 母親が焼け死んだことを思い出してるってことなんだな ...

  • 自分も好きなシーンを挙げていこう 異世界に行く前の前半の方が好きなシーンが多かった。   1.旧家の玄関から洋館に入るシーン だだっ広い玄関に豪華すぎる襖絵、異常に長い廊下の...

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