2020-10-11

ボロボロの「日本一テレクラ」が気になって調べた

生粋田舎者である自分にとって「広告の汚さ」が東京第一印象だった。新卒でようやく都会に触れる人間というのも今時珍しい気がするので記録しておきたい。

都心に向かう電車から見えるのは、もはや慣用句と化している「高収入バイト」の嵐を手始めに、クソデカ極彩色で0(ゼロ)の文字が並ぶ謎の不動産屋、いつ切れたのかもわからないのにこちらを向いているラブホネオン管など。漫然と見ていると不意に現れたTENGA(正確にはエムズ)の看板オアシスに見えた。

車窓から見えるそれは、地方都市の駅周辺では地元大企業が手掛けた綺麗なものが多く、都心へのベッドタウンに近づくにつれ汚さを増し、都心の周縁でピークに達し、そこから急速に金の塊のような意匠の凝ったきれいな広告に置き換えられる。元から規制が厳しそうな屋外広告という条件に加え、おそらく携帯スマホの普及でボーっと窓の外を見る人が減り元から低い広告価値が下がりきっているのだろう。内容の低俗さよりも「更新の無さ」のほうが印象的だった。

その中で、一番自分の目を引いたのはボロボロの「日本一テレクラ」の看板だった。

さぞかし有名なのだろうと検索してみてもほぼヒットしなかった。自分感性否定されたようで悲しい。が、これこれなど、数件はあった。だいたい似たようなことを感じてる人も一応居た。安心看板のみてくれからその実態にも興味が湧いてきた。

まず「テレクラ」というワードからして高ポイント。一応若者である自分にとって、ほんのり聞いたことがあるだけで実態は全く分からないが"古い"ことだけは伝わる。Wikipediaテレフォンクラブの項目を見ると、テレクラの個室に入って待ってると女性から電話がかかってきて成年未成年関係なくセックスに発展しまくってたらしい。草。どんな時代だよ。流行ったのはバブル前後?で、法改正規制条例で一気に廃れたようだ。平成初期のtinderといったところだろうか。ただこの辺の基礎知識は老人の巣窟であるはてなの住人の方が余程詳しいだろうから割愛する。

看板の下部に社名らしきものがあるがイマイチ読めないし、勿論フリーダイヤル検索に引っかからなかった。ただこのツイートにそれらしき社名がある。規模感が分からないが34店舗というのは大きい部類に入るのだろうか。18歳未満の利用を禁じる記述があるので、先述のwikipediaと照らし合わせるとツイートにある店舗2002年風俗営業法改正以後まで営業していたということになる。意外と最近の話で草。とはいえ20年近く前で自分小学校にも入ってない時代だけど。

このグループ名で検索すると2002年の2chのスレ(正確にはbbspinkか)が出てきた。レスはどれもテレクラを完全に過去存在として扱っている雰囲気だが、この時点でもまだ一応現役の存在だったというのは興味深い。各レス業者宣伝という可能性も全然あるけど、間接的にではあるが過去の盛り上がりのようなものが伝わってくる。

このスレの44に、まさにボロボロ看板の主たる店舗記述がある。

『またーり、ほんわか、かつ、しゃきしゃき』がどんな状態なのかは私の想像力が及ばないところであるが、ともかく看板の店は実在し「日本一」かは分からないにせよある程度の盛況を極めた場所であったようだ。

なぜか後で寄った四ツ谷駅で、いかにも上級雰囲気を纏った小学生たちを眺めていると(犯罪)、都会はこんな広告がいっぱいで子供たちが見たらどうするんだろうとか思ったが、中央線都心に出てくる人間なんて長い通勤でくたびれたおっさんか、金は無いが都会への夢に満ちた田舎若者くらいかもな、という偏見もあり、それなりにターゲティングされた広告なんだろうなと勝手に納得した。怒涛の高収入バイトを見る限り今も昔も変わらない傾向なのかもしれない。

ボロボロ看板の出元を探るのはそこそこ面白かったが、この調べものごっこのせいで自分の中での「都会の第一印象としてのテレクラ」がゆるぎないものになってしまったのはかなり後悔している。

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