2014-08-04

限りなく壮大なテーマでどこまでも勿体ないコンテンツ TeNQ

東京ドームシティオープンした宇宙体験ミュージアム『TeNQ』に行ってきた。

宇宙を身近に感じられる、というコンセプトのもと作られたらしく、

某局のコズミックなんちゃらは録画して見る程度には宇宙好きな私と連れは非常に楽しみにしていた。

が、見事に悪い方向へそれは裏切られた。

展示に満足した、面白かったという方はこの先読まない方がいいかもしれない。

今後予定している宇宙好きの方は、ネタバレもあるのでちょっとした参考程度に流して下されば結構だ。


エントランスを抜け最初に入ったのは『はじまりの部屋』

薄暗いその部屋の壁は大小様々なキューブ状の突起で構成され、

いかにもプロジェクションマッピング(以下PM)をやりますという雰囲気がある。

ガイドの説明が終わるか、というところで、その壁にめこりと映像が浮き上がってきた。

これまでみてきたPMは、暗い中でキラキラしているものが大半だったため新鮮で期待が膨らんだ。

しかし、その先のストーリーは酷いものだった。

時代が遡っていく様が映し出され、古代世界へ。

描かれているのは人類宇宙への想い、的なもの。これが想像以上にチープだった。

確かに天空の星々は古代より人々ともにあった。

日を見て暦を定め季節に合わせて作物を作り、風や雲、星を読んで航海し占い神話も思い描いた。

そして科学が発展するとともに、様々な不思議科学的な数値や証明によって解き明かされていった。

だがここはミュージアムだ。

PMを初めて見るような人にとっては面白いだろうが、見慣れて来ている人も多い今、

このストーリーを展開して人々の満足が得られると本気で思ったのか大いに疑問だった。

人類における『はじまり』は地球ありきだろうが

宇宙にとっては地球なんてもの数多ある星のひとつに過ぎない。

人間矮小さを思い知らされるところから宇宙は深みが増していくはずなのに。

5分ほどの上映が終わっても我々は無言のまま。

次のシアター宙へ向かう列の最後の方に着いていく最中、連れにわざとらしく言った。

PMってすごいね!」

横浜みなとみらいオービィディズニーなど、あらゆる場所であらゆるPMを見てきた我々。

言葉を受け取った連れはその意図理解したらしく、

「そういう事だろうね」

と苦笑していた。

テンションだだ下がりのまま入った次のシアター宙は、ぽっかりと空いた穴を見下ろすような部屋。

今度こそ、と思ってみたが、これもまた同様に期待はずれだった。

宇宙の旅を模したものなのだろうが、2D映像リアリティも薄く、PCスクリーンセーバにありそうなもの

立ち位置によって上下がひっくり返って見えてしまうのも頂けない。

下がりまくってどうしようもないため、盛り上げてみるべくクイズに挑戦してみることにする。

だが、300円のガチャガチャに入っているクイズは、これまたチープな代物。

女性から男性プロポーズできる日』

『これもSFです』

てっきり「最も高温の星は何?」とかかと思っていただけに拍子抜けもいいところ。

結局解く気にならず、300円でカプセルに一緒に入っていたTeNQペンを買ったようなものだった。

他のコーナーは、

平面のボードパズルのパーツで惑星を作ってみよう!

あなた宇宙の何タイプ宇宙自分診断

宇宙モチーフにした有名な日本画などのギャラリーコーナー

中学文化祭でももうちょっとマシなものを作れそうだ。

唯一感心したのは、太陽系惑星衛星比較をテーブルで表現したコーナーくらいか。

美味しいものでも飲み食いしないとやってられない、と

帰り際ワインバーでやけ酒と言わんばかりにふたりで飲み、何がいけなかったのかを思いつくまま議論した。

TeNQは放り投げ過ぎたコンテンツなのだ

映画のようにただ見せるだけ見せるには時間が短い上ストーリー性も薄く、

博物館美術館のような説明はあれど、探して見つけなければいけないものが多い。

そしてそこにある情報も、PC検索してわかることが大半である

情報を取得しに行っているわけではない。

体験型、というからには、体験できることを期待している。

もっと言えばゲストがそのコンテンツ主人公になる事の出来るものが望ましい。

そういうものを実現していてわかりやすものディズニーだろう。

成人してからそれなりの年月を重ねた今でも十分楽しめる世界だと思う。


例えばこういうのはどうだろうか。

『はじまりの部屋』では、まずは現代風景を映す。

それを少しずつ時間を遡らせ、古代世界恐竜世界地球が出来たての頃、

太陽系がきちんと形成されていない頃、やがてひとつの小さな球体にそれらが詰め込まれて、

ビッグバンが起きてから我々がいる銀河が作られていく様子を映していく。

これだけでも宇宙スケールの壮大さが体感出来るだろう。

『シアター宙』で地球を見下ろす、というのなら、

ゲスト宇宙飛行士の一員にして宇宙船の中の様子、また、そこから見える宇宙の姿を投影したっていい。

キュリオシティになって火星を探索するのもいいだろう。

ボイジャーになって太陽系の外へ飛び出す旅も悪くない。

大掛かりかもしれないが、シアター全体を実際に揺らしてみたり、風を吹かせてみることだって可能ではないか。



1800円の入場料は、映画一本と同等だ。

ぜひそれに見合う内容に今後していって欲しいものである

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