ちょうど6年前のことだ。そろそろここに書いても大丈夫だろう。
俺がいる部署の隣の隣の、さらに隣のブロックに新人女子が配属されてきた。清楚な印象の子だった。25くらいかなと思った。
新年度になって新人女子が来るだけなら大したことじゃないが、その女子(アユミさんとしよう)の隣には、俺が昔世話になった先輩がいた。年齢は40近い人で、頭髪の一部が白くなっている。
アユミさんも、その先輩も未婚だった。
その2人が、仕事でタッグになった。県営住宅の管理運営の仕事で、先輩が主で、アユミさんが副として業務にあたるとのことだった。
実際、2人はまさにタッグだった。週に2、3度は軽トラックに乗って現場に出かけ、窓口では県営住宅に住んでいる人の相談に乗り、職場の小さい買い物や改善活動も2人でやるように上から命じられる。
これは、あれだ。俺の会社ではたまにあることだ。
人事が、俺の先輩(アキオさんとしよう。アユミさんとともに原型を留めないレベルで仮名にしている)に“嫁候補”をあてがったのだ。
言っておくが、アキオさんは、はてな語でいうところのKKO(※精神的な意味で)とは真逆の人間だ。比べることすらおこがましい。
組織人として結果を出しているし、上司の指示に忠実だし、でも納得できなければとことん議論するし、同僚や取引相手には分け隔てなく接するし、後輩には男女問わずモテる。
得意分野の広さがなによりも凄い。財務会計、設備管理、現場仕事、クレーム対応、測量図面の作成など、まさに何でもござれのヤバい人だ。ヤバい人、というのはもちろんいい意味で使っている。
お金がなくて月々の家賃が払えない人が窓口に来ても、何時間でも話を聞いているし、怖い人に怒鳴られても毅然とした態度を崩さない。
そういうところを俺もみんなも尊敬している。
ある時だった。仕事で嫌な事があってふてくされ、失礼な態度でだるそうに接客をしていたのを注意されたことがある。
お客さんが帰った後で、アキオ先輩は俺の肩に触れながら、「K君。そんなことしたらいけないよ。お客さんを差別したらだめだ」と諭してくれた。
それでも不貞腐れる俺だったけど、笑顔でずっと傍にいてくれたんだ。
それから段々と、アキオ先輩に敬意を払うようになっていった。
ところで。アキオ先輩は恋愛ができない。
これまで恋人がいたことはないらしい。恋愛ができないというよりは、興味がないのだろうと思う。
アキオさんは、見た目はボヤっとしているかもしれないが、体型は細いし、ファッションも清潔感がある。モテる要素はあるのだが、本人が恋愛に乗り気じゃない。
ほかの同僚が、飲み屋で先輩に女の子を紹介しているのを見たことがある。アキオさんは仕事ができるので、今のうちに恩を売っておこうという人は実際に多い。
すぐ後ろで、俺も立って話を聞いていた。
……アキオ先輩は、せっかく可愛い子を紹介されても知らん顔をしていた。ああ、そうですねみたいなやりとりばかりだった。
女の子の目が悲しそうだった。その時が初対面じゃなく、遠く離れた部署の女の子だった。ずっとアキオ先輩と話をしたかったらしい。
話し始めて1分くらいかな? アキオ先輩が後ろを向いて、俺の二の腕あたりを掴んで合図をして、そのままスッと居酒屋の廊下を歩き出した。
「女の子と話しててくださいよ。あっちの席、男しかいないですよ」
「K君と話している方がいいんだ」
アキオ先輩に連れられて、男ばかりが5,6人いる座敷に戻った。
先輩は、飲み会が終わるまでその席から動くことはなかった。別の席にも呼ばれてたのに。ずっとそこにいた。
丸2年経っても、まったく何もなかった。あれだけ一緒にいて、同じ仕事をやってきて、それでも何も進展がなかった。
2年もの間、先輩はアユミさんに興味がなかったし(本人談)、アユミさんに彼氏はいなかった(本人談)。
でも、俺が見た感じだと、二人は仕事中に、お互いを信頼しあっているように見えたのだ。
その間に、アキオさんは40になって、アユミさんは26になって、俺は30を過ぎた……
時は経ち、3年目の始まりである4月1日をもって、アキオさんはかなり遠くにある組織へと出向していった。もちろん栄転だ。
アユミさんはこれからどうなるのだろうかと、不安になったのを覚えている。
俺が勤めている組織では、できるだけ社員同士で結婚してほしいと人事部局が考えていて、いい年の男女を狙って同じ部署、同じ仕事に割り当てることがある。アキオさんみたいに評定がトップレベルの人だと、『特にいい子』(差別的な表現で申し訳ない。ほかにいい言葉が浮かばなかった)が当てられる。
アユミさんは可愛らしい人だと思ったし、実際に仲間想いで、お客さん想いのいい子だった。しかし、アユミさんがいた部署というのは、いわゆるキツイところだった。入社1年目の新人が配属されることはまずないと言っていい。
肉体労働があるし、借主や不動産業者からのクレームがドギツイ。40メートルは離れているであろう俺の席まで罵声が轟くこともある。
でも、彼女は頑張ったのだ。身バレがこわいので具体性のある表現はしないが、ほかの女子社員よりも頑張っていた。見ていて辛くなるほどに。
そんな、尊敬できる人間なのに、男性社員の嫁候補としてキツイ部署に配属され、アキオさんとも結ばれなかった。3年目が終わる時には異動になって、また別の部署で嫁候補として過ごす可能性が俺の経験上高い。
今回、この記事を書こうと思ったきっかけは、先日こんな増田を読んだからだ。2つある。
①ジェンダーギャップ指数って要は「男が責任負わされてる国」指数じゃね?
https://anond.hatelabo.jp/20210401175432
ここに書いてあることは間違っている。キンタマが付いていない男とは、こういう醜悪な言論を公共の場で行う人間を指すのだろう。もしくは、社会的地位があまりに低いために、世間や社会に対して恨みを持つようになった人間だ。
実際の日本では、女性は男性に比べて劣った地位にある。社会は女性に「女の子っぽさ」を求め、会社では「上の役職にいくにはふさわしくない」と思われ、容姿が醜ければ「存在を軽んじ」られ、誠実でない男には「セックスの道具」として扱われる。
②1年間、片思いをしていたあの人を許せない
https://anond.hatelabo.jp/20210331211345
増田文学という小説のジャンルがあるくらいなので、この内容をそのまま信じることはしないが、仮にすべて事実だったとしよう。
アユミさんは、上の日記でいうところの投稿者に当たる。アユミさんはアキオさんに気があった。どうして俺が知っているのかは言わないけど、とにかくそれを知っている。でも、アキオさんは恋愛的な意味でアユミさんを相手にしなかった。
恋愛において、女性が不憫だと思うところがある。それは、「結果がわからないこと」だ。
基本、恋愛というのは男性から行くものであり、女性は待つものだ。女性からアタックできる人は少ない。よって、一般的な女性は、意中の男性に誘われるのを待つことになる。
三か月待てばいいのか、半年待てばいいのか、1年待てばいいのか?運の悪い女性だと、3年待っても何もアタックがない(脈ナシ)かもしれない。
2021年現在、アユミさんには彼氏がいるし、1年以内に結婚する可能性もあるし、仕事も友達関係も順調だ。
でも、それはアユミさんが容姿がよくて中味もよかったからであって――基本的に、女性は可哀そうな存在だと俺は思う。
「恋愛価値のある女性」が、「組織にとって利益のある男性」のための福利厚生の一環として用いられている。
今度人間に生まれるとしたら、また男がいい。女はできれば嫌だ。生き残っていける気がしない。生まれた時の容姿のレベルで幸せになれるか大体決まるなんて、どんな冗談だ?
努力して強くなれるのがいい。勉強でも、スポーツでも、仕事でも、恋愛でも、最初はヘタクソだったけど、目標に向かって努める力を重ねることで俺は上手くなってきた。
だから、生まれつきの要素で著しく劣ることで、人生において逆転不可能な状態に陥る女性というものが哀れでならない。
俺には社会を変える力はない。
けれど、少なくとも同じ部署で働く人や、将来俺の部下になる人には、男だろうと女だろうと関係なく幸せになってほしい。そういう職場や組織を作っていきたい。
今の、これからの俺にできるのはそれだけだ。
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始めに断っておく。この日記は、痴漢防止策としての女性専用車両に反対する人や、日本のジェンダーギャップが世界的に大きいことを信じない人や、社会において女は男より優遇さ...
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「世の中の理不尽さ」や「不都合な真実」を強調して、それでどうするの?(読書メモ:『ただしさに殺されないために』) https://davitrice.hatenadiary.jp/entry/2022/06/17 上のブログを読んだ...
気持ち悪いと言いつつ、増田に書くほどその手のネタに興味津々なじてんで同類にしか見えないし そのよくわからんブロガー?学者?もやっぱり同類に見えるわ
普通に文章が上手くない
推敲したのにな
このような異常な考えを持つ女性なんて男の妄想の世界にしか存在しません なりすましはやめてください
これ男女逆にするとすんなり内容入ってくる
Tさんは増田さんが髪を切っても何言って来なかったのに、Sさんが髪を切ったら気がついた上かわいいねと言ったことが許せないの? Tさんと話す内容もSさん関連だから悔しいってことか...