2024-09-16

AIろくなもんにならなそう

グレッグイーガン順列都市という小説がありまして

アイデア部分は一部で賞賛されてるけどあんまり面白くなくて、どっちかというと提示されるシチュエーションや展開が楽しい小説です

 

で、その提示されるシチュエーションですが、未来社会富裕層の疑似人格AI計算のために計算リソースの大半を食われており、そのため技術発展のための計算リソース割当が十分に供給されてないという、ちょっとひねくれた設定のプチディストピアの話でした(はず。20年前に読んだっきりなので)

 

で、ここんとこのAI社会到来で、この未来予想図が当たってるではないけど、似た構図になりそうだなあと

 

この話は、AI自体が実際にどこまで使い物になるかはあまり関係ないです

AIは使える、人間より使い物になる、人間をもう超えてる」という社会認識が共有されてるか否かが重要です

なんなら宣伝しまくって「AIは素晴らしい、AIは使い物になる」と情報操作した結果、実態以上に社会に認められるのでもOK

AIが准人権的な権利を法的に認められるかどうかだけが問題になります

現状は、既に細かいレベル権利容認する方向に動いてますよね。AIを使って製作した製作物をAI使用者権利を所有する、といった形で、AIをかませることで権利を得ることを認めるよう働きかける人は非常に多い

実際にAIを使って利益を得るのは人間なのは、この先も変わりませんが

問題は、その利益を得るのが誰かという話です

まり既存個人の諸権利の枠組み、鋳型が、技術発展という名目(実際に発展するかどうかは関係ない)で、AI使用者側に細かく細かく食い荒らされてく構図というのが、現状としてある

いや、発展段階だから、この先に法整備されてく、という説明をする人が多いと思いますが、この先の世界経済法整備暴力としての実力と金ものをいう世界でしょうから基本的には大規模資本要望に基づいた法整備人間の諸権利の再設定が行われると仮定するのが妥当です

というより、AIという題目は、その実力よりも、20世紀までに積み上げてきた生身の身体をもった人権いかに再定義解体していくかのためのツールとして活用されるためにこそ最大限に使用されるのが、今後の見通しでしょう

 

で、権利といえば真っ先にお金資本です

順列都市では大規模資本家の死後も資本家の疑似人格AI(を運用する団体)が資産所有権を承継し、その承継の正当性を主張するために人格模倣計算リソースが膨大に使われてる、みたいな状況でした

これ、経済面で言うとかなり詰んでそうです。資本AI団体)は、消費もせず、死んで相続税を払うでもなく、ただ運用して富を増やすためだけに資本を投じ続ける

そういう資本AIさんが資本投資効率を最大限に高めましょうとか投資先に提案し続けるわけですよね、自分自身は一切、生身の人間としての消費をせずに

実際のAI運用は生きてる人間スタッフとして管理するんでしょうけど、彼らはまあ、自分らの報酬サラリーマン的に毎月受けとるだけみたいに行動するのが最適解でしょうし

法人という枠組みが今までもそういう仕組みとしてあったわけですが、ここでいよいよ、法人個人の境目が消えて一体化していく

個人法人に吸収されていく、とでも言います

投資最大効率以外に特に何の目的も持ち合わせてない資本AI団体)を中心とした社会構造に再編されてく、現状の資本主義の運用状況が先鋭化してく形ですね

国家がそうした資本論理に対して抑止できるのかというと、現状で既に国家は負けつつあるので期待できない

 

そうなると、AI実用物理世界での消費や生産)の用途より、名目用途合致したほうがいいわけで、AI未来ますます実用用途から遠ざかりそう

  • アイデア部分は一部で賞賛されてるけどあんまり面白くなくて、どっちかというと提示されるシチュエーションや展開が楽しい小説です イーガンはそんなんばっかやな

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