2024-09-15

昔の同人誌は凄かった(意味深)

20年以上同人誌を作ったり買ったりしている。

これくらい同人界隈にいると同人誌イベントサークル文化の変遷やら事件やら、まあ色々なものを見て来ている。

歴が長くなると昔と今を比べたがる人も多くなる。

最近同人誌無味乾燥ものが多い、あとがきすら無い」というご意見を見た。

五千年前からある「最近の若者は~」論だ。

かに同人誌はある程度の画一化というか

「これこれこういう構成でこういうものを載せたら同人誌になる」

「こういう同人誌を作るのだったらこれを参考にして」

というセオリーがある程度出来上がっているし、非常に作る敷居は低くなっていると思われる。

(ここでこの作り方についての昔話をすると長くなるのでまた別の機会に)

昔の同人誌は作り方や指南書が少なく、(マニアック雑誌特集ではあったとは思う)参考が既に同人活動している先輩からの伝え聞き・先方の同人誌のみという時代も確かにあった。

自由度はあったと思う。凄かった。

「凄かった」というのは昔は悪い意味でも凄い本が多かったのだ。

自分が見た例をいくつか紹介する。

・「表紙は完成しているのに中身(本文)が未完成

同人誌を買っている人でこれを見た人は殆どいないし、今こういう本ほぼ見ないと思われる。良い時代になった。

いわゆる「天ぷら本」と揶揄された奴。

昔は「イベントに合わせて本を出す」事に意義があったのと表紙で判断して購入する(しかない)環境であった為、表紙だけ綺麗に仕上げて中身は下書き状態ハンターハンターの下書き掲載…と言えばわかる方も多いだろうか)で発行している本もあった。

・「表紙と中身(本文)が別ジャンル

マジであった。

流石に丸々別ジャンルという本は少なかった(あったんだよ…)が〇ジャンルの表紙で〇の話の後に急に「今ハマっている×ジャンル漫画トーク」が挟まっているとかは割とあった。

・「書き手の近況や同ジャンル者同士の対談や語りのPが何Pもある」

極めるとこれだけで本を出しているサークルもあった。

今より作者のアイドル性が高かったように思う。トーク面白いと「サークル●●のトーク」だけで価値があるのだ。

因みにこのトーク内容はジャンルに関するもの…では無く作者の近況だったりする方が多かった。

Twitter(X)でこの文化はほぼ絶滅したと思う。良い時代になった。

・「本文内にサークル紹介・次回イベント参加情報・既刊宣伝がある」

これで5~6P、いや下手すると10p以上は使っているサークルもあった。

NAVIOやPixivTwitter(X)は無い、個人サイトさえ無い時代なのである意味当然なのだが、自分サークル活動状況を知らせる媒体が限られており、発行物に含ませるしかなかった背景もある。

しかしあまりに長々とあるとP数稼ぎか…?となる。

実際にサークル紹介Pは作っておけるので、コピーコピーデータでは無く実物のコピー)を延々してそのPだけ画質が悪くなっているのもまあまあ見た。

新刊は●●Pと書いているが、このサークル宣伝Pが大体6Pぐらいあるから、実際の漫画小説は〇〇Pか…」という悲しい推察をしながら買った経験をしている人は自分だけでは無いと信じたい。

・「他漫画トレースパロディ

当時はまだ問題性が周知されておらず黙認されていたが今やるとアウトの事例。

「他漫画トレース」というのは例を挙げると「ジョジョ漫画の絵やコマ割をそのままトレースして髪型服装だけジャンルキャラクターに変換させてジョジョの名場面をジャンルキャラに喋らせる」というものだ。

ファンロードという雑誌の「今月の見たいものand見せましょう」というパロディ企画で用いられたり、朝目新聞でこのようなパロディファンアートとして有り、広く用いられている為、

同人誌にも用いて大丈夫という認識があったように思う。

これもだいぶ議論余地はあるが、上記の例に沿うと「ジョジョ漫画の絵柄のみを似せて描き、ジャンルパロディとして自分の考えたストーリーを描く」なら現在でもまあまあ見かけるし、問題にまではなっていない。

・「歌詞掲載

同人誌タイトルに歌のタイトルを使う」迄は著作権侵害に当たらないが、歌詞楽譜音楽著作物になる。

https://www.riaj.or.jp/f/leg/copyright/music/qa_internet.html

イメソンとして歌詞丸々書いたり漫画小説内で使いまくった同人誌多かったよマジで

今は歌詞引用するにしても、ちゃんジャスラック許可を取って歌詞使っている同人誌を見た。強い。


ヘイト創作特定キャラへの過度なネタやらまで列挙すると個人の好みの問題になるので取り上げない。

勿論挙げた中の例でも「それが好きで買っていた」人もいるだろう。

しか玉石混交というが、昔は玉を見つける為の買い手側の労力がかなり必要だったのは否めないと思う。

昔の同人誌中古ショップ等で購入する際は表紙やP数や分厚さだけで判断しないでね!

  • 今で言う「同人誌」というのは「普段はサークルの内輪向けに書いている同人誌を、一見のサークル外の人にも販売するもの」だった。 現代に残っているもので言えば、「高校の文芸部...

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