2021-06-03

中原るん氏の失敗に見る、事業継承の難しさ

Twitterでしばしばバズっている中原るん氏が、最終的に会社を引き継げずに、クビになった件。

そうなるだろうなと思っていた予想通りだったのだけども、いろいろとモヤモヤとしたのでメモ

まず始めに、中原氏の言い分を全面的に信じるのなら、会長というのは本当にクソ野郎である

だが、厳しい言い方をすると、本気で会社を継ぎたかったのなら、あまりにも中原氏側の準備が甘ちゃんでおろそか過ぎだった。

当然ツイッタで触れていない部分は沢山あり、今後の新連載で明らかになる部分も多いのだろうが、

どういった部分がまずかったのか、整理してみる。


●最大の失敗、株式の移動について。

中原氏の会社株式会社過程した場合会社継承において、株の保有数というのはとても重要な部分である

基本的に、代表となって会社経営していくのならば、過半数株式保有しておくべきだ。

ビバ氏が会長書類上の夫婦になったのは、おそらく本来会長が先に亡くなるであろうから

会長が所有する株を買い取りや贈与ではなく、妻となって相続で移動するための対策だったのだろう。

しかし、逆にビバ氏が先に急逝してしまい、この対策無駄になってしまった。

その為、大株主である会長に決定権がある状態となってしまい、

中原氏への継承拒否、またクビになる、という結末が引き起こされてしまったのだろう。

では、どうすれば良かったのか??

答えは、なにはともかく株の引継ぎをすべきだったのである

これは中原氏だけに限らず、現在、さまざまな中小企業家族経営事業継承で起きている問題であり、失敗だ。

経営者やその家族が、仕事内容の割に給料高くて羨ましい…と思った事は誰しもがあるだろう。

実際、中原氏も年収が1200万だったと公言しており、大変羨ましい限りなのだが、

本来経営者およびその家族特に継承すべき人間』の給与が高いのにはちゃんとした理由がある。

それが前述した株の移動の為だ。

赤字会社ならともかく、健全黒字会社なら、株式を移動するには「お金」がかかるのだ。

から子へ、株の値段をタダで譲っても贈与税

所有者から他人へ、株を買い取っても、株の買い取り金額が掛る。

クソ零細企業の跡取りである私も年収は1000万ほどあるが、

から受け継ぐ株の贈与だけで毎年200万ほど支払う羽目になっており、

1000万の手取り税金諸々をさっぴくと実際は500万弱で年収650万の人間とそう変わらない。

せっかく貰ったこ株式も、会社経営次第では紙くず同然になるし、

お金に直ぐさま変えられるか、というと、会社を閉じるまでは変えることは出来ない。

それでも、会社継承するために嫌でも税金を払い、株を移動する……

そんなわけで中原氏は本来会社継承をするつもりであるのならば、

その年収でもって会長から株を買い取り、大株主になるべきだったのだ。

しかしながら高額な家賃や貯蓄感から見るに、それを教えてくれる人間は周りにいなかったのだろう。

これは中原氏だけで無く、現在黒字なのに事業継承に頭を悩ませている会社の良くあるパターンだ。

人間、出ていくお金先延ばしにしたいもので、

 株の買い取りを後回しにして、親子間でも株の相続税の現金を用意できず、会社を閉じるケースは多い)

会社での経理という立場

また、中原氏の会社での立場経理だったのもより継承をするには脆いポジションだった。

経理というのは経営上とても重要ポジションだが、どうしても『経理のみ』と言うのは弱い。

経営はある程度の『営業』も出来なければ難しい。

ビバ氏は営業力に優れていた。営業力に優れている経営者は強い。

多少、経理コケても、営業自分以外いなくても、自身営業力で持ち直す事ができるからだ。

そして素晴らしい経理がいればより強力な経営者になる。

だが経理だけの経営者は、営業がいなくてはいけない。

いくら経理が素晴らしくても営業がいなければ経理も出来ないのだ。

故に経理だけでは経営者になるのは難しい。

営業が下手くそ経営者もいることはいる。

しかし、そう言う場合営業現場に対する細かなマネジメントを行うことが重要である

それは流石に中原氏がいくら優秀であっても難しい。

なぜなら中原氏は若い経理からだ。

心理的に年下の上司に対して相談したり、信頼を預けるられるか、と考えると……部下の立場になるとよく分かるだろう。

営業力は確固たる『売り上げ』『数字』という分かりやすい目安、また安心感がある。

対して経理が素晴らしい、人格が素晴らしい、マネイジメントが素晴らしいと言うのはなかなか目に見えない。

つらつら書いたが結局の所、事業継承したい場合お金、長期をみすえた計画、目に見える能力、が必要である

すべてが満点の事業継承はない。どれかが欠けていてもとりあえず継承は出来る事もある。

中原氏の件は3つともが不足していたように見えた。(正直、若いから知識が無いのは仕方がないし無茶)

しか中原氏の失敗は、親子間での事業継承でも同様に多く起こっている。

ウチは三代目なので二代目の時の苦労があって早めの行動をしているが、

私自身、事業継承をするにあたって、あまり課題の多さに

正直、継ぎたくねぇなぁ…会社たたみてぇなぁ……と思う事がしばしばある。

現在政策事業継承についての金銭支援が行われているが正直微妙ものばかりである

もう少し、こう、簡単事業継承の仕組みや優遇をして頂けないもんかな…と思う。

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