本当はこんなこと、ネットに書くべきじゃないとわかっている。でも耐えきれないので吐き出す。
今月から新しい派遣先に出勤している。地方にしては大きな会社の中で、ぽつんと部屋を隔離された、やや特殊な業務を扱う20人程度のちいさな部署だ。いままでいくつかの派遣先を経験してきたが、かつてないほど落ちついた物静かな雰囲気の職場で、みんな穏やかな人たちばかりだ。ほとんどが男性で、私と同じ女性は離れた席に一人だけ。彼女とはまだ挨拶以外の話をしたことがない。みんな雑談もほとんどせず、黙々と仕事をしている。
そんな中で一人だけ、初日から明るく話しかけてくれる男性がいた。社内を案内してくれたり、総務に文具を取りに行くにはどうするか、わざわざ連れて行って説明してくれたり。
そして数日前、その人にお昼ご飯に誘われて、一緒に食べに行った。
「毎朝早く来て、帰りは定時ですぐに帰ってるけど、もしかしておうちでご飯作って食べさせてあげる人とかいるの?」(私が一人暮らしであることは、すでに話してあった)
「昔、職場の女性に連絡先をきいたら、上司に言いつけられちゃったんだよね。君はそういうのどう?(この時点でかなり引いてたので、私も職場の人にプライベートの連絡先は教えたくないとはっきり答える。)そっか~(しばらく別の話をして、唐突に)でも僕は君の連絡先、いつか教えてもらいたいと思うな!」
「口がちっちゃくてかわいいね」(食事をしてるので当然マスクを外している。三密対策で、席は正面でなく隣り合って座っていたが、自分が食べ終わった後、椅子ごとこちらを向いてずっと私の顔を凝視していた。)
「君みたいに話の合う人、なかなかいないから嬉しいな」(私はまだ自分のことをほとんど話していない。いつも向こうから質問されることに答えているだけだ。)
地獄のような時間だった。その後ずっと、夜眠れなくなるほど、なぜあんな事を言われなければいけなかったのか悩み続けた。
悶々とすることに耐えきれず、翌日の朝、いつものように廊下で話しかけられたので、昨日の会話は不愉快でした、もうお昼ご飯とかご一緒したくないです、私に構わないでください、とはっきりと伝えた。「ごめん」と謝られた。
そして昼休み、ご飯を食べに行こうと廊下に出たら、その人が待っていた。「今日はお昼どこで食べるの?」と聞かれた。
なんで!?と一瞬でパニックになった。朝、断るどころか「一緒に食べたくない」とまで言ったのに、なんで同じ日の昼にそんなこと言えるの?深い意味のない世間話のつもりかもしれないけど、なぜその話題?私がどう答えることを想定してるの?
混乱と恐怖を感じ、ぶっきらぼうな返事をして通り過ぎた。それまでは世間話くらいなら大丈夫と思っていたが、もはや言葉の通じる相手ではない、という恐怖でいっぱいだった。軽い気持ちで会話をするとまた「話が合う人」と馴れ馴れしく扱われそうで、こうなれば言葉だけでなく態度でも拒絶を示すしかないと思った。
その後も相変わらず話しかけられたので、かなり強い口調で世間話もしたくないと断った。それでも隙あらば話しかけようとするそぶりを見せていたので避け続けた。私の席は部屋の奥、その人は一つしかない出入り口の近くの席なので、フェイントをかけてまでやり過ごしたこともあった。
しかし今日、他の部署とも合同の全員参加の集会が朝一であり、大会議室へ移動中、とうとう捕まってしまった。呼ばれるのに気がつかない振りをして早足で逃げたのに、後ろからずっと呼び続けられて小走りで追いかけられた。
「そんなツンケンしないで、挨拶ぐらいしてくれてもいいじゃん」
私はその少し前、出勤時にオフィスの入り口でその人と鉢合わせてしまった際、ちゃんと自分から挨拶をしていた。挨拶ぐらいはきちんとしなければ、と思っていたのだ。
恐怖と混乱の中で、私は一瞬で闘争モードに入ってしまった。かなりキツいヒステリックな口調で「私は今朝、ちゃんと挨拶しましたよね!」と言い返した。その人もさすがに勢い押されて「…うん、はい」と言葉を飲み込んだので、その隙に私は踵を返した。
少し経って気持ちが落ち着いてから、はたと気づく。さっきの私は、周りの人からどんなふうに見られただろうか。
私はデブスの中年女だ。若い頃ですらこんな経験をしたことはない。この年になってこんな目にあうとは予想もしていなかったし、こんな話を他の人にしても、自意識過剰な妄想と笑われるのではないだろうか。(自分でも未だに、これが実際に我が身に起こったことと信じられない。)派遣会社に話をして、派遣先の上司に事情を伝えてもらうつもりではいるが、信じてもらえるだろうか。
人前でその人を強く拒絶した、私の反応は過剰すぎたとも思う。冷静に、直接対立せずに、先に派遣会社や上司に根回しをするべきだった。そもそも最初にその人の親切を疑わずにヘラヘラと受け取ってしまったのも悪かったのだろう。新しい職場で、話しかけてもらえて、親切にしてもらえて、とても嬉しかったのだ。二週間前の、甘かった自分が憎い。
この仕事で頑張ろうと思って、私なりにこの二週間を一生懸命やってきて、褒めてもらえたところだったのに、こんなくだらないことで失ってしまうのだろうか。このご時世、運良くみつけられた新しい仕事を。私が女でなければ、こんな目に合わずにすんだのだろうか。短期間で、こんな理由で仕事を辞めざるを得なくなったら、次の仕事はどうやって探せばいいのだろう。今の仕事にだってやりがいを感じはじめていたところなのに。つらい。
ほかに味方を作ればいいよ その男はその性格であるとおそらく仕事でも似たような感じだろう 何度言われても同じことを繰り返し、注意しても同じことをする だから多分「こいつ言っ...