2018-08-29

表現の自由を守る立場から、防護服少年撤去に反対する

防護服姿に批判少年撤去へ…市長減給意向

https://www.yomiuri.co.jp/national/20180828-OYT1T50125.html

この件についてだが、私は表現の自由を守る立場からエロ本政府批判言論と同じく、サンチャイルド(防護服を着た少年像。以下『少年像』)の撤去表現の自由に対する侵害であると考える。

以下にその理由を述べる。

1.少年像は誰の権利侵害していない

 市長は「見たくない人が見なくて済む場所を確保するのは難しい」と言っているが、そもそも『見たくない権利』は法律上ほとんど確立していない。

公然わいせつ罪やわいせつ図画頒布罪はどうなんだ」と思うかもしれないが、それらの刑罰保護しているものは『最低限の性道徳』であって見たくない権利ではない。

また、「見たら不快になるものを見たくない権利」を仮に認めてしまったら、差別主義者が「同性愛を見たくない権利」「黒人を見たくない権利」「モスクを見たくない権利

などを主張し始めるのが明らかであり、「見たくない権利」は認めるとしてもごく限られた範囲で済ますべきである

 また、『福島県の人の尊厳を傷つけている』という主張も認められない。なぜなら、『福島県の人』に人権は無いからだ。

何もこれは、「放射能汚染された福島在住者は遺伝子が変化して人ではない別の存在になってしまたか人権は認められない」などのように言っているのではない。

単に、『福島県に住む個人』には当然として人権があるが、『福島県の人』という抽象的な集団には人権がないと主張しているだけだ。

詳しくは、表現の自由擁護活動をしている山口貴士弁護士の見解を読んでほしい。

2.この像による風評被害があるというのならば根拠を示すべきである

 風評被害嫌悪感については林智裕氏の記事が詳しい。だが、私はこの見解に異を唱えたい。

現在福島にとって、「サンチャイルド」は「過去に思い描かれた架空未来」を描いた作品になっていると言えます

たとえ、それが作者の制作意図ではなくとも、「日常を防護服姿で踏み荒らす人々」や「力づくで押し付けられてきた放射能デマ偏見」を

福島の人々に想起させてしまう点は否定できないのです。

そうですか、想起させるのが悪いのですか。ではレイプ物のAVは実際の性犯罪を想起させるし、『幸色のワンルーム』は実際にあった未成年誘拐事件を想起させるし、

零戦を修復して飛ばせることは軍国主義を想起させることは否定できないから悪いですね。禁止されるべきです。

仮に、あくまで「空想上のイメージであるとしても、このままでは作者であるヤノベ氏が本来意図したアートというカテゴリーさえも逸脱して、

サンチャイルド」が福島に対する負の烙印プロパガンダシンボルとして一人歩きし、悪用されてしま可能性すらあります

具体的にこのようなメカニズムによってこのようなことが起きる、という根拠を抜きにして『可能性がある』だけで禁止することは妥当ではありません。

それを言うならば、ロリエロマンガを読んだ人が実際にマンガと同じことをしたいと思って幼い子供性犯罪をする可能性もありますし、

資本論を読んだ人が再び共産主義かぶれて身内同士で殺し合いをしたりする可能性もありますし、

コーランを読んだ人が過激原理主義かぶれてテロを始める可能性もありますから禁書にするべきですね。

……と言っているのと同レベルではないだろうか? 少なくとも、少年像がどのように害を与えるかを具体的に数字などで示すことができない限り、少年像が現実被害を与えると言える理由は無い。

そのような明確な根拠なしに像を撤去するのは権力による表現への弾圧である。よって私は反対する。

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