静岡県立図書館で床が抜けそうというニュースを受けて、デジタル化について触れた大田区議のツイートがプチ炎上している。
https://twitter.com/okatakashi_oota/status/886542542866595840
図書館の目的が、資料の収集、整理、保存であるならば、デジタルアーカイブにして紙は破棄してもいいのかも。
閲覧もPadで足りるし。
この議員の言い方もどうかとは思うが、リプの方も感情的な「紙の本が不要なんて許せないふじこふじこ!」みたいなのばかり。
じゃあ蔵書スペースはどうするの?床抜けていいの?って問題には何の代案も出てこない。
特に「紙の方が電子より保存性に優れてて~」なんてのは頭が痛い。
いくら保存性に優れてても置く場所がなければ棄てるしかないんだよアホか!
なので図書館のデジタル化について知っていることをまとめておく。
デジタル化が法的にOKかどうかは、ちょうど今年の2月に文化庁から中間まとめが出ている。
文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会(第6回)|文化庁
かいつまむと以下の通り。
パブコメでは図書館協会と知財協会から賛成のコメントが出ている。(41ページ)
これでもう法的にOKになったのかはよく分からんが、少なくともOKの方向であるようだ。
上にある「国会図書館からの送信」というのは既に行われているサービスで、著作権が切れていない資料でも全国の図書館のパソコンで見ることができる。
大田区立図書館はまだ参加していないが、パソコン1台あれば済むようだからハードルは低いだろう。
つまりデジタル化さえ何とかすれば、システム構築や保守、バックアップ等は国会図書館が面倒を見てくれるということだな。
現に東大図書館がデジタル化した資料が11冊入っている。
割とピンキリで、専門業者に任せれば質も値段も高いし、自炊レベルでいいなら100冊でも数万円で済む。
全部は無理。
そもそも文化庁の中間まとめに従うなら、貴重資料と絶版資料しかデジタル化できない。
国会図書館も出版業界との合意事項により刊行後5年経過したものしかデジタル化できないし、予算も大してついてないので古い資料が優先のようだ。
そのへんは今まで通り紙で買うか、別の電子書籍サービスを利用するしかないだろう。
というか現在でもスペースが足らなくなれば仕方なく破棄しているわけで、パソコン上とはいえ紙を破棄した分も読めるなら単純に改善になる。
元ツイートだと地域資料だけ紙で残してという考えのようだが、むしろ地域資料の方が電子に向いてる。気軽にペラペラめくる娯楽本、ベストセラー類は紙でないと不満が多いだろう。
もちろん「地域資料こそが地域図書館の核であり優先すべき」というのは理想論としてはそうだが、ぶっちゃけ読む人ほとんどいないんすよ…。
「利用率は関係ない!図書館の使命がうんたら」あーうんスペースが無尽蔵にあればね。でも地域資料を残すってことは、代わりに別の本を棄てるってことなんだよね。
なので地域資料はデジタル化して、極たまに現れる利用者はパソコンへご案内というのは運用として妥当じゃないかな。
「もっと図書館に金をかけろ。これだから日本は~」みたいないつもの反応もあったけどさ。
一図書館員としてはもちろん文化上の意義は訴えたいが、じゃあ医療や福祉、育児や治安よりも金をかけるべきかと言われたら口ごもらざるを得ない。
結局のところ趣味や余暇の範囲なので、生活上必需なものより優先度が1ランク下がるのは致し方ない。
その中で何とかやってくしかない。