2014-10-12

バカだと思っていた友達天才だった

高校生の頃に3年間同じクラスだった友達がいる。

ちょっと抜けてるというかドン臭い子、けど明るい子だった。

いじめは受けていなかったけど、いじわるはされていた。

下校の時に靴を隠されたりしていた。

彼女は気にせず裸足で家に帰っていたが。

(しばらく裸足で登校していた)

いわゆる、本物の天然だったのだろう。

ぶりっ子してる性悪は、それが鼻につくようだった。

だけどいじめではなかった。

なぜって、当の本人が、何もこたえる様子がなかったから。

私は、そんな彼女に世話を焼いたり、焼き切れずに放置したりしていた。

仲は良い方だったと思う。

高校卒業して、私は地元国立大学へ、彼女東京誰も知らない私大へ行った。

はじめこそ連絡を撮り合ったりしていたが、距離が離れてしまったら交流もなくなった。

一度、成人式で会ったきりで、それからは音沙汰がなかった。

彼女は晴れの舞台だというのに、しまむらで買ったようなニット一枚で来て、寒い寒い言っていた。

こいつは本当にバカなんだなと思った。

その後、私は大学卒業した後で公務員になって県庁に務めた。

3年後に職場の同僚と結婚した。

それなりに幸せで、それなりに忙しく、グチと不満と喧嘩に満ちた、充足した日々。

最近まで彼女のことを思い出すこともなかった。

彼女と再会したのは去年の年末

30歳になる区切り同窓会でだった。

帰省組と一緒に忘年会を兼ねた、ちょっとした会。

彼女は欠席だったはずだが、当日になるとひょっこり顔を出した。

10年ぶりに顔をあわせる彼女は、相変わらず垢抜けない格好で、顔つきも変わってなくて一目で彼女だと分かった。

懐かしい再会の嬉しさもあったが、来るのに参加の連絡をしない非常識さにいらついた。

そういう所も相変わらずだった。

彼女にいじわるしていたグループも、勝手にいい思い出に変換しているようで、なんだか親しみを感じているようだった。

彼女は話もそこそこに料理をぱくぱく、ぱくついていた。

よっぽどお腹が空いてたらしい。

彼女生活が本当に苦しいらしくて、ろくに食べるのも難しいとか。

さもありなん。

全員がそう思って、女社会シビアな格付けが決定されたかに思えた。

だが、次の一言空気が変わった。

「こんなに儲からないって知ってたら、学者になんてなろうと思わなかったのに」

詳しく話を聞くと、あの後彼女数学方面で才能を開花させ、今では東京大学数学研究をしているらしい。

今日も、たまたま地元で開かれた学会に出ていて、その帰りによったのだとか。

大学先生をしているなら、たくさん給料が出ているのではないのかと思うが、給料は出ているがまだ学生らしい。

から給料は出ているが公務員というわけではないのだとか。

それに、彼氏の面倒も見ないといけないから全然足りないらしい。

なんだ、ヒモにつかれた可哀想な女か・・・

場の空気が弛緩しかけた瞬間、

医者になればすぐお金持ちになれるっていうのも、嘘なんだよー」

彼氏は同じく東大医学部卒業したての研修医らしい。

彼は苦学生で、その援助のために海外研究所が1億円の賞金をかけた数学問題を解こうとしたのがきっかけで数学にのめり込んだとか。

その問題は解けなかったらしいけど、似た問題を解いたらあれよあれよと出世したそうだ。

海外大学にも何年も国費で留学したり、世界中友達がいるらしい。

もう、自分達の世界とかけ離れた話に、頭がくらくらしてきた。

彼女はそんな私達の気も知らずに、会の出席者の人数を聞いて会場の広さを計算して言い当てる一発芸を披露していた。

話し声が聞こえる距離から計算できるんだとか。

今思えば、確かに片鱗らしきものはあった。

彼女神経衰弱が得意で、一度も負けなかった。

あと、教科書を隠されたり破られたりして、ちゃんと勉強できなかったはずなのに、理系の教科はいい点を取っていた。

それと、教科書に出てくる歴史上の人物誕生日を全部覚えていた。

クイズ大会みたいなことをやって、盛り上がったことがある。

最近では生まれた日だけじゃなくて、死んだ日も暗記していると言っていた。

なんでそんなことを覚えているのか聞いたら、

歴史っていうのは、人の人生の集まりなんだよ。

みんなの人生が少しずつ重なって、その流れが歴史になるの」

とわかったようなわからないようなことを言っていた。

彼女とは、やっぱりそれっきり会っていないけど、それからというもの自分人生がいかにも平凡な物に思えて、どうしようもない。

なんなんだろうね、この気持ち。

さっき彼女から結婚式の招待状が届いた。

胸の奥の苦しさが収まらない。

  • 創作コーナー

  • いわゆる、本物の天然だったのだろう。 ぶりっ子してる性悪は、それが鼻につくようだった。 だけどいじめではなかった。 なぜって、当の本人が、何もこたえる様子がなかったから...

  • まだ学生ならただの院生じゃん。それを学者というか……。給料でてるなら博士なんだろうけど、学振だろうからそりゃ儲からないよ。ただの生活費だもん。

    • 学振出てる期間は履歴書にもかけるし学者だぞ。 それに「学者になろうと思わなかったのに」って「学者にならなかったのに」とは言ってないから、 まだ学者じゃないって認識はあるん...

  • 平凡な人生の方も魅力的だと思うけどね…。 平均ラインからずれてしまうというのは、波乱盤上の人生なわけで。 要は、自分は平凡な立ち位置に立って、刺激のある人生は映画や漫画...

  • 目下だと思っていたバカな同級生が、実は天才で東大出の医者と結婚していた、むかつく、ってタイトル変えたほうがいいよ。

  • 本当だとしたら誰のことだろう。 狭い業界だからなー。

  • おやまあ これは久々に増田の釣りらしい釣りですねえ 乞食釣り師の作風まんまだわ

  • 自分が理解さえできないものを高く評価したり羨ましがったり妬んだりするのがいかにもそこら辺にいる凡庸な人間て感じだけど でもすごいといってる対象の描写が全然すごそうじゃな...

  • こういう記事見ると、アスペルガー症候群に分類されると揶揄がでてきそうだが、 独自のこだわりを持ち特定の分野では驚くべき才能を発揮するのだから 社会は多様性を認めるべき

    • 多様性を認めないのはむしろASDの方なんだが

    • では才能のない発達障害で非正規雇用のキモくて金のないおっさんも福祉によって保護して頂けるのでしょうか

  • はい嘘増

  • 「いじめではなくいじわる」の実例がどれひとつとっても明白に陰湿なイジメなのだが…… 「いじめではない」と繰り返し強調しているところをみるといじめではなかったと信じ込み...

  • 会の出席者の人数を聞いて会場の広さを計算して言い当てる一発芸 本当はPA屋さんかな?

  • 嘘くせえな 本当なら特定されるぞ

  • 最後に「胸の奥が苦しく」なるあたりがすごく女性らしくて良いですね

  • いじめはしないけど、その子のこと見下してたから今ショックを受けてるんだろうね。

  • uso

  • うーん創作臭 次は精進してね!

  • いるいる。しっかしおまえ『アマデウス』のサリエリみたいだな

  • こないだフェルマーの最終定理解いたおれからするとこれは嘘増田証明完了

  • 増田はなんで胸が苦しいんだよ。 いい話じゃないか。 これこそ溜飲が下がるってもんだ。 そういう女の子は好きだな。

  • 学振PDなの? 他人の援助できる余裕があるのはマジで羨ましい 生きていくので精一杯だよ ミレニアム問題に関連する問題を5,6年で解けるようになるほどの天才ならそのくらい貰えるのか...

  • 見下してたクラスメイトが自分より全然すごかった、妬ましいっていうことね。昔のいじめも彼女には大したことではなかったのかもね、昔を引きずってるのは増田だけ。

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