はてなキーワード: 謂れなき批判とは
「統合失調症を想起させる」「統合失調症を社会悪のように描くな」といった批判が寄せられている。
私自身は上記の批判がピンと来なかったので改めて読み直してみたところ、
作中で“被害妄想により自分を罵倒する声が聞こえていた”とは書かれているものの、
彼(作中の殺人犯)が被害妄想に陥った直接的な原因はやはり描写されていなかった。
にも関わらず、多くの批判者が「統合失調症を想起させる」と感じたのはなぜだろうか?
作中の描写から読み解ける範囲では、例えば彼が麻薬中毒者であったとか、
大学内に飾られている絵画に憑りついた幽霊に唆されて凶行に走ったとかであっても、全く矛盾がないはずだ。
しかしながら、批判者は一様に「彼は統合失調症であり、それが凶行の原因として描写されている」と認定している。
恐らくは、批判者の頭の中に「京アニ放火殺人事件」の犯人が想起されたのだと思う。
あの事件の犯人が逮捕された当初、犯人は統合失調症であり、それによって犯行が引き起こされたかのような風評が発生した。
(断っておくが、当該の犯人は「刑事責任能力には問題がない」と判断されており、統合失調症が犯罪を引き起こすという風評は全くの誤りである。)
本作も、京アニの事件がモチーフの一つとなっていることは明らかだろう。
しかし、実際の事件の犯人が本当に統合失調症に罹っていたからといって、
「ルックバック」の通り魔殺人犯が「統合失調症の患者である」と断定することはできないはずだ。
繰り返しになるが、彼が麻薬を打っている描写や幽霊に取りつかれている描写がないのと同様に、
批判者は、本作が「統合失調症に対する誤った認識・偏見を助長しうる」ことを懸念しているが、
私から見ると、そのような批判者の言動(その外見だけで統合失調症と断定し、凶行の原因と結びつけること)こそが、
統合失調症をとりまく偏見と同質の、謂れなき批判ではないかと思う。
改めて、なぜ彼が(麻薬中毒者ではなく)統合失調症であると認定できるのかを考えてみてほしい。
(7/21追記)
コメントくれた皆さん、ありがとうございます。いくつか返信してみます。
「確率」の意図するところがわからないけど、「麻薬中毒者の凶悪犯罪率<統合失調症患者の犯罪率」という主張であれば、そんなことはないでしょう。
(雑にググってみたけど明確なデータが見つからなかったので、情報お持ちの方はコメントください。)
それに、確率の高さを論拠に犯人の特性を推定する行為は「この地区は●●人の犯罪率が高いから、この事件も●●人が起こしたに違いない」みたいな偏見と地続きの危険性がありませんか?
実際の事件でそれが風評被害をもたらしたことを(批判者は)知っているにも関わらず、作中の彼をその言動から「統合失調症である」と安易に断定することに異議がある、という趣旨です。
当該の批判がピンとこなかったと書いたとおり、私はそう思いませんでした。
私自身作品を正しく読み解けている自信はありませんが、『ルックバック』は“創作”のもたらすカルマと救済を描いた作品だと思っていて、
彼が凶行に至った原因も「"創作"に狂わされた」以上の意味付けは考えていませんでした。
「丸メガネと出っ歯の特徴をもつ日本人のキャラクター」に対しては「ステレオタイプだなあ」と反感を持ちますが、
「丸メガネと出っ歯の特徴をもつキャラクター」そのものに文句をつけたりはしないです。
繰り返しになりますが、「通り魔殺人」と「統合失調症」を結びつける論拠が作中に提示されてないのに、
「統合失調症を示す描写だ」と断定することに問題があると指摘しています。
事例をお借りすれば、日本人と示されていない丸メガネと出っ歯のキャラクターが出てきただけで、
「これは日本人差別だ!」というのはおかしいのではないかという指摘です。
追記しておくと、読者が作品を読んで「彼が凶行に至った原因は〇〇である」と解釈するのは自由ですし、