2023-04-23

シン・仮面ライダーをいまさら見て来た

ネタバレありで、かつ否定的感想なので一応注意。

世間評価はおしなべて低かったので、Amazon primeに来るまで待っていようと思ってたのだが、

観に行った同僚が、「TV版の仮面ライダーは観てないけど普通に面白かった」というので、本日観に行ったわけだが、

うむ、最後まで退屈はしなかったがこれは評価低いわ、という感想

製作途中か、せめて試写会の段階で誰かヤバいと指摘しなかったんだろうかこれは。

製作陣がアレコレ試行錯誤し過ぎて、最終的に『初見一般人にはどう見えるか』が認識できなくなった」としか思えないまとまりの無さだった。

気になった点を思い付く端から羅列すると、

最初の2つのキャラキャラ作りし過ぎて滑ってる。蜘蛛コウモリ。後半の敵はそうでも無い辺り、出現順序を逆にした方が良かったのではなかろうか。初見の客にどう見えるか考えろよ。

キャラ作りを口癖でやろうという安易さ。蜘蛛なんてなんかメフィラス星人二匹目のどじょう狙いじゃないかと疑われるわざとらしさ。蜘蛛とか蜂とかだけでなくヒロインまで。そういうの良いから。キャラ作りは人と人との間の呼吸でやろうよ。

主人公がどういう奴か判らん。後半でやっと父親との思い出とか出て来るけど、変身して怪人と戦うモチベーションがどこから来てるのかとか全然わからん。なんか、隙あらば敵と和解しようとしちゃうせいで、改造人間悲劇とか全然感じない。要するに主人公情念が無い。

・途中を端折り過ぎてダイジェストみたいになってる。ラスボスに会いに行くと決めて、次のシーンではもう玉座の前。ワープ能力でも持ってんのか。

・急に疲労するラスボス。途中までライダー2人相手に圧倒してたのに、急に疲労困憊して一人相手に取っ組み合いして転げまわるようになったの何でなの。

・敵も味方も、どこにいるのか分からん多摩ナンバーから多摩で戦ってるのか? とにかく、場所が分からないだけでなく、位置関係距離も判らない。前述のように移動シーンカットしまくってるし地名も出さないし、敵陣にどうやって乗り込むかとか一切作戦立てずにいきなり敵陣ど真ん中シーンになるから

テンポが良いというレベルの話ではない。信長で喩えると、今川と戦うと決めた直後に義元の本陣に討ち入りしてるシーンに飛ぶような唐突さ。格ゲーかよ。これも、「初見の客に何が見えてて、何が見えてないのか」を完全に失念してる気がする。

観客の予想をコントロールできてない、というか予想をコントロールする発想があったとすら思えない。

政府技術力がよくわからんヘルメットとかスーツとか修理してたみたいだけど、修理できんのかよ。近い性能の物作れる技術力があるなら、家族経営企業並みに人材が少ないショッカーなんて物の数じゃなくない?

そーいや、「ろくすっぽ構成員がいない巨大組織」って、庵野作品によく出て来る気がするな。エヴァネルフもそうだったし。RRRみたいにむやみやたらに人海戦術になるのもアレだが、幹部やらボスやらが1人~数名の部下だけ連れて白兵戦とか笑止である

っつーか、誰向けに作っとんじゃこの作品初見の子供向けでは無いよな。かと言って当時はTVで見てましたという層向けでもない。前述のようにキャラ作りが強引すぎてメフィラス星人もどきだし。まあ初代仮面ライダーは観た事ないけど、幾らなんでもあんな敵だったはずがないと思う。ラブロマンスもねーし。SF的な仕掛けもねーし。今時CGで唸らせようというわけでもあるまい。本当に誰向けか判らない。

致命的なのが、美学の無さ。監督美学が観客に刺さらずにコケた、というより、元々大して作りたい物などないのに取り敢えず何か作らなければならず、アレコレ突っ込んだり削ったり入れ替えたりと繰り返してる内に作ってる側も良く分からなくなったけど完成はさせなきゃいけないので何とか章立てした、という雰囲気がただよう本筋の無ささだった。あらすじ書けと言われたら困るぞこれ。

結論としては、各シーンの頑張りと、取り敢えずダラダラはしてない進行速度のおかげで最後まで見られるが、一本の映画としての核心の無さがひどい。製作陣には反省を求めたい。反省すべき事が山のようにあるだろこの出来なら。

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