大会に関する私見を交えるのを避けるため、前半は事実の列挙に努めるようにする。後半ではさまざまな立場の意見を紹介し、私見を述べる。
みなさんは東医体/西医体というものを聞いたことがあるだろうか?
簡潔にいうと、高校生におけるインターハイ、医学生における東医体/西医体のようなものである。なお、正式名称は誰も知らない。競技レベルに関しては、競技によるところが大きいが、インターハイ出場≒ベスト4は堅い、程度の感覚である。また、以下のような言及も存在する。
https://twitter.com/e_b_megson/status/1549336143526854657?s=21&t=qVeENkfQwVaH1PSO_Mg29g
医学部ではこの大会の存在もあり、非常に部活が盛んである。このため、部活コミュニティを中心とした閉鎖的な社会、厳しい上下関係に横行するセクハラアルハラと問題点は山積みなのだがここでは割愛する。
それぞれの部活はこの夏の大会に向けてそれぞれ熱心に練習を積み重ねているが、コロナ禍で2020,2021年度は中止となっていた。さて今年はどうかというと5月ごろ、感染が落ち着いていたので開催決行の判断がなされた。
みなさんご承知のとおり、それからBA.5の第七波が来て、いま感染者数過去最高を記録し続けている。概ね八月に予定されている東/西医体の開催が危ぶまれる事態となり、先日、開催を検討される会議が開かれるとの通達があった。
競技にもよるが、メジャーな競技はある程度会場を絞って開催される。イメージとしては毎年行われるオリンピックに近い。(もちろん、ウィンタースポーツは冬に行われるし、毎年同じところで開催している競技もある)私は東の人間なので、西の開催地はわからないが、今年の東医体は北海道で行われることになっていた。
そのため、今年は多くの医学生にとって北海道への遠征が予定されていて、多くの部活において飛行機、宿の予約は済んでいると思われる。8月の行楽シーズンということで飛行機代は高騰していて、今から東医体がなくなるというと莫大なキャンセル料がかかることは確実といえるだろう。
開催反対側の意見としては、
・医学生という医療者の卵が感染状況をかえりみずに大型イベントをやっていいのか、非難は免れないだろう。
賛成側の意見としては、
・すでに2年連続で中止しているので、今年も中止したら3年連続となり伝統が途絶え、次の開催も危うくなる。
・他の大型イベントは概ね現段階では決行されている
・現段階で中止しても多くの大会参加者は日程を北海道観光に変更するだけで、感染対策としては全く意味がない。
医学部の人間は中高で勉強ばかりしてきたので、部活に傾けなかった青春を取り戻そうとして東医体などというシステムが生まれたという言説がある。これには概ね同意できる。だからこそ、医学部では中高で存在した部活によるスクールカーストというものが簡易的に再演されてしまう。ここで厄介な点は、中高までは多数(例外としてスポーツガチ勢も無視できないぐらいいる)が勉強に情熱を傾けていた、ということである。この再振分に適応する人間、適応できなかった人間が炙り出され、まことに愚かしくも抗争を始める。これが東医体不要論である。適応できなかった人間は部活など時間の無駄、趣味でやるのはいいが神聖化するな、と主張し、部活に心血を注ぐ人間(これは先述のスポーツガチ勢も含む)は部活を楽しめない人間が理解できないと主張する。公的な場ではマイルドに、インターネットではインキャだの脳筋だの酷い言葉で日夜抗争が行われている。今回のゴタゴタについてもツイッターではこれらが観測できるので興味のある人は見に行って欲しい。私個人としては開催してもしなくてもいいのだが、キャンセル料はかけたくないと考えている。