格ゲーファンとして、あの配信をリアルタイムで視聴していた100人のうちの1人だ。
彼女の配信は、取り上げられていないものも含め際どい発言は何度もあったというか、正直、最近は配信するたびにあんな感じだった。
自分を強者、リスナーを弱者と見立てて汚い言葉で煽るのがお決まりで、件の170cmもそのいつもの流れだった。
低身長は恋愛対象外、という話は以前もしていたが、今回はワードチョイスも絶妙に悪かった。動画で切り取られ、瞬く間にネットで拡散してしまった。
一部の格ゲーファンの間では、もう何年も前から「問題発言ばかりするのになぜスポンサーは放っておくのか」と言われていた。
実際スポンサー企業に抗議メールを送った人もいたが、改善はされなかったようだ。
格闘ゲームは、eスポーツ需要に対して名の知れたプレイヤーの数が極端に少ない。また女性となると更に貴重なため、スポンサーとしても問題を認識していながら彼女に強く出ることが出来なかったのだろう。先輩プロゲーマーやマネージャーすら扱いに困り、手を焼いている様子は配信で何度も見られた。
そんな中、有名人の自死をきっかけにした誹謗中傷を開示請求しようというムーブメントが起き、その流れで彼女はアンチファンに対して開示請求を行った。
度を超えた誹謗中傷も多かったので当然の流れではあったが、彼女の「1やられたら100やり返す」性格は有名だったので、少し悪く言えば開示されるのではないかと委縮してしまい、それ以来批判されることはおろか話題にされることも激減してしまった。
そして身内からも格ゲーファンからもアンタッチャブルな存在になった彼女は過激化した。「私は何を言っても怒られない」と豪語するまでになった。
このようなふるまいが、「私たちの言葉を封殺するのに、彼女自身は好き勝手している」と格ゲーファンの中で潜在的な不満が大きくなったのは言うまでもない。
今回の騒動がここまで広がったのも、「調子に乗り過ぎだから、そろそろ灸を据えられるべきだ」という格ゲーファンからのカウンターから始まっている。
ここまでの大騒動に発展するとは誰も露程も思わなかっただろうが。
彼女がなぜあのように過激化していってしまったのか。昔はここまでではなかった。
新型コロナウイルスの流行を機に大会が激減し、格闘プロゲーマーは世界中を転戦する競技者からストリーマー路線への転換を余儀なくされた。
すんなり適応して多くの視聴者を集めているプロゲーマーもいれば、苦戦しているプロゲーマーもいる。彼女は明らかに後者で、視聴者数も伸び悩んでいた。
多くの人々に対して発信するスキルを持っておらず、また格闘プロゲーマーとしてはアドバンテージとなっていた「好戦的かつ負けず嫌い」という性格はストリーマーとして非常にマイナスだった。
「仕事でなければ配信はしたくない」「大会がなくなってモチベーションが沸かない」という言葉を度々こぼすようになっていたし、現在の状況、自身の中途半端な立ち位置、年齢などに不安や焦りを抱えているように見えた。
そして過激なことや性的なことを言えば簡単に視聴者の気が引けると考え、このポジションが自分の居場所だと思い込むようになった。そして歯止めが利かなくなった。月並みだがそんなところだろうと思う。
元々、「30歳になったらプロゲーマーはやめる」と宣言していたので、これを機に表舞台に出て活動することはなくなるかもしれない。
切り抜きだけでは伝わらないかもしれないが、彼女の配信は、不器用ながら優しさはあった。
コメントをすれば名前を覚えて呼んでくれて、ズバズバと物を言ってくれて、そばにいてくれる女友達のような配信であった。