「女らしさ」の戦略と罠 -ゴフマンの分析視角から- 高橋 裕子
( 『立命館産業社会論集』 第35巻第2号 1999年9月)
https://www.ritsumei.ac.jp/ss/sansharonshu/assets/file/1999/35-2_takahasi.pdf
私は「外務省機密漏洩事件」(以下「機密漏洩事件」とする)として知られる事例を取り扱うが,この事件は当時外務省事務官であった蓮見喜久子が,親密な関係にあった毎日新聞記者の西山太吉に外務省の電信文のコピーを手渡し,両者が国家公務員法違反に問われた事件である。
分類図式に基づいた振る舞いは,行為者の能力に依拠するにもかかわらず,蓮見(事務官)は「女としては男に強く迫られると最後までノーといいきれない弱さがあります」と供述調書で語り,性的匂いを漂わせつつ自らが単なる受動的な被害者であったに過ぎないかの印象を撒き散らしたのである(注)。
上記の発言こそがまさに彼女が組み立てた戦略なのだが,ここで彼女は分類図式をことさら強調し,main trackとsubtrackとの混乱に乗じて,情状酌量を勝ち取ると同時に西山に攻撃を仕掛けようとしたのである。本来この事件において,両者が性的関係にあったか否かは,main trackとは何ら関係がなかったのである。少なくとも蓮見に性的関係をsubtrackに留める意志さえあれば,そうすることは十分に可能であった。ところが蓮見は性的関係を敢えて「告白」することで-それをmain trackとして採用することで-「西山加害者,蓮見被害者」とする設定に真実味を帯びさせていったのである。
後段には実際の法廷での証言などもあり、読み物としては面白い。その辺りは澤地久枝の著作からの引用が多いのだろう。しかし、ずいぶん蓮見事務官に辛く西山記者に甘い評価だなという印象も持った。
最高裁判決(https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/114/051114_hanrei.pdf)では当初の出会いについて「かなり強引に肉体関係をもち」とあるが、その根拠となった供述が「女としては男に強く迫られると最後までノーといいきれない弱さがあります」のような『生物学的性』を持ち出したものであったから、蓮見事務官について「自らが単なる受動的な被害者であったに過ぎないかの印象を撒き散らした」と髙橋氏は断定するのであろう。
確かに捜査過程での供述や法廷での証言を具に見れば、蓮見事務官が情状酌量を求めて、あるいは自分を利用した西山記者への怨嗟から、自らの被害者性を強調した面はありそうだ。
しかし髙橋氏は「本来この事件において,両者が性的関係にあったか否かは,main trackとは何ら関係がなかった」とまで言うが、それは言い過ぎだろう。
性的関係は情報取得の目的で、西山記者から仕掛けられ成立したものだ。つまり記者にとってその性的関係は別の目的のための手段に過ぎないのに対し、事務官にとってはそれ自体が目的でしかない。
そのような性的関係こそが蓮見事務官の行動を束縛し、結果として機密文書の受け渡しという葛藤の生じるはずの行動について事務官を受動的な立場に置いたことは明白だ。
Twitterとかでは「酒を飲ませて昏睡状態にして関係を持った」とかの西山記者disが溢れてるが、それは言い過ぎじゃないか…?
そこらへんどうだったんだろうな 西山がイケメンヤリチンで女がまんまと篭絡されて西山の歓心を買うために自分からほいほい機密を漏らしたのか それとも西山が強引にレイプしてバラ...
たぶん、 →交際中 →文書を入手したので捨てられる →迷惑かけないと言ってたのに取材源バラされてパクられる →当初は西山記者だけ無罪になる という過程で西山記者への憎しみが増...
酒飲まされて強引にヤラれたのに後から好きになるってNTRエロ漫画かよ 女にも責められるべき点がいくつかあるけど記者の腐れ外道っぷりがそれに勝るな ・機密文書を入手したら女を...
記者が終始クズなのはそうなんだけど(最初に関係を持ってから4日後に、渋谷のラブホで文書を見せてくれるよう頼んでる。つまり最初からその目的だったということ)、 「酒飲まされ...
当時のフェミニストは女を武器にする女にかなり辛辣だったんだな 今とは正反対だ
当時といっても、この論文出たの1999年なので20年ちょい前だよ。
干支がもう2週してまんがな
そうなんだけど、2000年代初頭のフェミニズムはすでに「バックラッシュ」とか言ってたから、特に女性に厳しいこともなかった気がするんだよね。