2021-06-03

神字書きを見つけたのに見つけられない

これは一介の腐女子ラブレター兼迷走日記なので、暇な人だけ読んでほしい。



10年前に女性向けとして爆発的に流行ったジャンルがあり、私は当時リアルタイムでその作品を追っていた。

この間久々にその作品を思い出し、再履修に至った。今でもコンテンツが続いてることをこの時知ったのだが、当時の推しキャラは今も変わらず可愛かった。

何となくpixivで、当時は特に好きでもなかったABというCP小説に手を出した。


そこに、神様はひっそりと在らせられた。



小説投稿数は10ほど。ほとんどがABのカップリングで、そのジャンルのために作られたアカウントなのだと分かった。

人を選ぶ描写価値観も含まれているため、ブクマ数はまちまちといった感じだが…文章レベルの高さからかなり読まれているようだった。

文体は…目の前にそのものの形が浮かんでいるのかと疑うほどリアルで、それでいて詩的であまりにも美しい。二次小説にしては珍しい、少し古めかしい言葉遣いが含まれているのがまたそそられる。言葉ひとつひとつキャラクターに対する愛とリスペクトがあり、愛しさに胸が苦しくなる。

(文章からなんとなく夢野久作を思い出したが似てないかもしれない)

作品説明欄のコメントが、本文の丁寧さとはギャップを感じさせる可愛らしさなのもまたよかった。(ABちゃんマイスイート十字架絵文字…みたいな感じだ)

ひとつ目を通しただけではその多大な魅力に気づかなかった。

ふぅん、読みやすいな。他のも読んでみようかな。程度の気持ちだった。



これが、もう、ふたつみっつ読むと、目が字の羅列を追いかけるのを止められない。一つ読み終わるたびにベッドに突っ伏し、もうだめだ…と呟いてしまう。そして放り出したスマホを手に取り、無意識のうちに次の作品URLタップするのだ。

麻薬が如し、神様が織りなす二人の生活を、営みを摂取することをやめられない。

とんでもない人を見つけてしまった、と私の心臓は破裂しそうなくらい暴れていた。

ジャンルを超えても追いかけたい、この活字と共に生きこの活字と共に死にたいという最早恋する乙女になってしまい、どうにも止まらない。暴走機関車だ。

こんな気持ちは初めてで、pixiv投稿した絵がブクマ万超えした時もこれほど気持ちが高揚したことはなかったと思う(これは少し自慢も入っている、申し訳ないがこれ以上の喩えが思いつかない)


しかしだ。

作品の最終投稿は、約9年前である

そしてやはりというか…プロフィールにはTwitterID記載はなく、作品説明に「壁打ち垢作りました」と載せられていたIDは既に消滅していて、他の人がそのIDで取得し直したようだった。


焦った。

当然pixiv記載された御名前Twitter検索したり、ABと併せて検索したり、ググったりしたが全くヒットしない。

作品欄には同人誌サンプルなどもなかったため、他の御名前サークルから攻めるという選択肢も消えた。


この神様が、愛情を注いで作り上げたABがひっそりとpixivに横たわっているという事実けが残った。

垢分けとは、こういうことなのだ。

私は泣いた。

こんなにも他人の心を衝動的に情熱的に動かすような字を書けるのだ、恐らく他のジャンルでも活動をしているか、もしくはしていただろう。


でも、確かなことは分からない。

神様、またあなた文章にお会いしたいです。

Twitterの140字という短さでもいいのです。

春の訪れを告げる紋白蝶のように清く柔らかくそれでいて色気のある、小さな奇跡に再会したい。

攻と受の、狂おしいほどの慈しみ深い愛をもう一度あなた文章で拝見したいのです。



けれどどうすればその願いが叶うのか、本当にわからない。




pixivメッセージ突撃すべきなのだろうか。「あなた文章が好きなのですが、今現在何か創作活動アカウントなどはお持ちですか?是非フォローしたいです。」

9年前のpixivアカウントを見てくださるとも思わない。



悲しい。

ABの小説という、一生枯れない美しい造花と生きていくしかないのだろうか。


それもまた、幸せなのだろうか。

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