2020-09-01

薄い財布の話

abrasusuの薄い財布(以下、薄い財布)を手にして5年ほどが過ぎた。自分が使ってきた財布の中で一番付き合いが長くなったこいつについて、少しだけ書かせて貰う。

5年前、当時の財布がくたびれてきた俺は、次の財布を物色していた。

伊勢丹あたりで無難に済まそうと思っていたが、財布が長かったり分厚かったりというのに嫌気がさしていた俺は、徐に「薄い財布」と検索バーに打ち込んだ。

これが出た。俺は興奮した。買った。

Amazonからやってきたこの財布を手に取った時点でこれまでの財布概念が壊れた。俗に言う“洗礼である

まず、手に取ると名前の通り薄い。

公式サイトに紹介されている通り、財布の内側のパーツが絶妙に噛み合っているため、折りたたんだ財布がずれたりパカパカと開いたりということはない。

折り畳んだ姿はしっかりとした革の塊である。俺は革の質の良し悪しはあまりからないが、悪くはないんじゃないかな。

5年経ってもこの薄い財布の放つジューシーな革塊感は堪らないものだ。つい弄んでニヤニヤしてしまう。

このように、まず財布のガジェット的魅力に俺はやられてしまったのだ。

さて、中身を詰める前に薄い財布をポケット収納してみよう。

どうだい? もうわかっちまったろう? これが“財布”なんだよ。

実に自然

異物感がポケット存在しない感覚

最早財布は荷物じゃあ無いんだ。

ほら、もう薄い財布を使いたくて仕方なくなった。

5年前の俺は古い財布からいそいそと中身を取り出して薄い財布に移そうとして、はたと気が付く。

…… 入らない。そう、入らないのだ。小銭が、カードが。

詳細は公式サイトを見ていただくとして、小銭は999円分、カードは5枚が薄い財布の容量だ。

従前の財布の感覚ではありえない制限。縛り。

俺はうろたえた。これでは今までの生活がままならない。

しかし、こいつは使いたい。ポケットに入れてあの軽快な感覚を味わってしまったら、最早自分の買い物ライフスタイルをかなぐり捨ててでも、この薄い財布を持ち歩きたい、使いこなしたい…… そう願ってしまうのだ。

そこで、カード断捨離が始まる。

ポイントカード類は殆ど処分した。これで特定の店で買わねばという執着がなくなった。

診察券やTSUTAYAカード等、残ったもの必要に応じて札入れのスペースに入れることで買い物の計画性を持たせることもできた。

また、この5年間でポイントカードは次々とスマホアプリ化していったため、今では薄い財布とポイント恩恵を両立することも可能となった。

(今度はスマホがごちゃついてくるという別の問題が生まれているが…)

ペーパーレスキャッシュレスという時代の流れとテクノロジー進化は薄い財布を使う人間に大きな恩恵をもたらしている。

この薄い財布を快適に使いたいという思いから、キャッシュレス決済やカードに対する関心も高まり、見識も多少は広がったのは素晴らしいことだと思う。

財布がより薄くなり、やがて消滅するであろう未来は、そう遠くないのだろう。薄い財布は財布文化終焉という悲しき未来を示していると言うのか……

さて、そんなキャッシュレスに移行しつつある俺だが、薄い財布に入れているものは以下の通りだ。いいから見てくれ。


紙幣(1万~2万程)

・Kyashカード(メインの決済手段Apple Payにも登録している)

ステンレス製カードミラーカード類の折れ曲がり防止)

クレカ機能付きキャッシュカードホテル等、Kyashが使えない際の決済手段

免許証

保険証

・小銭(5円玉×3枚。お賽銭用)


普段生活では殆ど現金を使わないので、小銭入れの容量の小ささは気にならない。

時々クレカ決済できない場合があるが、おつりの小銭を入れる程度なら十分だ。

カード入れも現状で安定している。あえて言えばステンレスミラーチタンなどの軽量なモノにしたい位か。

徐々に変化が少なくなっているが、5年の間に洗練されてきた感じが嬉しくて愛着が増すというものだ。

改めて中身をリストにすると、なぜそれが入っているのか、どうして選んだのかというストーリーがあって、得も言われぬ満足感がある。

この薄い財布は俺の5年間の進歩歴史だ。

ちなみに鍵の収納スペースはまだ活用できていない。これを使いこなせばさらに快適になるのだろうけど、鍵をスムーズに出し入れする工夫が必要だしキーホルダーにまとめたほかのガジェットをどうするかという問題もある。

しかし、こうやって書き出してみると、考えてみるのもアリだという気持ちになってきた。

この薄い財布と5年もつるんでいると、やはりエイジングが現れる。

コインケースのアタリ等の革の色落ちは味といえるが、コバの傷みやステッチのほつれは財布の寿命に悪影響を及ぼす問題だ。

2年目の年末。これらのダメージが気になった俺は、買い替えも視野に入れつつ公式サイトを眺めていた。

すると、リペアサービスというものがあることに気が付いた。

メールで傷みが気になる箇所の画像を送ったりというやり取りはあったものの、年末年始を挟んでも2週間ほどで修理は完了した。

すっかり綺麗になって帰ってきた薄い財布に愛しささえ覚えたものだった。

散々薄い財布とイチャついてきた俺だが、実は一度だけほかの財布に浮気したことがある。

クラウドファンディングで見つけた新素材を使い、薄いのにコインケースの容量も充実していると謳った財布だ。

しかし、大して薄くないわ面積が広くて尻ポケットで主張するわ露出した金属のファスナーの触り心地が俺を拒むわで、結局は薄い財布の良さを思い知っただけだった。

財布はこれで良かったのだ。一枚の、ぴったりとした革で出来ているこの薄い財布だったのだ。

泣いて詫びる俺に、薄い財布の感触は優しかった。

5年目を迎えて、またコバの傷みとステッチのほつれが気になっている。

再び修理を依頼ようかと思う一方、来る日も来る日も公私を問わず俺の尻に敷かれ続けたこの薄い財布を、そろそろ休ませてやろうかとも思う。

確か、財布を供養する寺か神社があったような…… それを調べるべきか、俺はまだ迷っている。

そうなれば、次もまた薄い財布を買うつもりだ。

  • 俺も気になってたんだが… ナルホド。よさそうだね。

  • 外行き用の財布とか別にあるのかな 三つ折りの財布とか恥ずかしくてまともな場じゃ出せないでしょ

  • FRUHの長財布使ってる。abrAsusのよりはちょっと厚いけどその分汎用性が高くて使いまわしやすいよ。 あとサブでヌタウナギの革(イールスキン)のやつも。FRUHのやつよりさらに厚いけどそ...

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