★★★★☆
最初に言っとく。
ウィキペディアは見るな。
あらすじが注意書きなしで全ネタバレありで書かれてる。
そこでは、一番偉い獣人が神様になっていなくなるということで、
次の獣人界トップを決めるために、二人の獣人が決闘することになっていた。
一人は人格者、一人は粗暴な荒くれ者。
一方人間界では、両親の離婚で父を失い、母方に引き取られた後に事故で母をなくし、無神経な親戚の養子にさせられそうになっていたところを、家出した男の子がいた。
男の子がひょんなことからその世界に迷い込み、荒くれ者に弟子入りしたことから、奇妙な親子のような師弟関係が始まる。
細田守ん中で一番うまくまとまってる気がした。
それでも尺足らずだった感はあるけど。
普通に正統派でいけば2時間でちょうど、もしくはちょっとお釣りがくるくらいの内容だったのに、
ひとひねり入れちゃうことでめちゃくちゃ尺がきつきつになってしまっていた。
それでもなんとか丸め込んでまとまってたから見ててホッとした。
でもどうせなら2時間半か3時間にしてもうちょい駆け足気味だったところはじっくり描いて欲しかったなあ・・・
時をかける少女はまあそこそこ好きで、
サマーウォーズは見てないけど突っ込みどころ満載ってことだけは知っててネガティブな印象しかなくて、
雨と雪は原作小説だけざーっと立ち読みしていまいちだなと思ってネガティブな印象しかないくらいには、
これは面白いと思えた。
ひとひねり・後半部分がちょっとだけ対象年齢あげちゃってるかなーって感じ。
それでも子どもにまったく伝わんないことはないとは思うかな?ってくらいにはエンタメしてたと思う。
これまでの細田守作品がシンエヴァの序とかQなら、バケモノの子は破って感じ。
声優陣は山口勝平しかわかんなかったけど、スタッフロールで役所広司って知ってびっくりした。
役所広司うめえな。
大人役も大泉洋とかリリー・フランキーとか津川雅彦とか全然わかんないくらい違和感なかった。
イカネタバレ
男の子は、弟子として17歳まで過ごし、着々と成長し力をつける。
そんなとき、ひょんなことから久しぶりに人間界に戻ってしまうが、
受験をするという話が出てきて戸籍を見て、離婚した父親のことがあっさりわかり会いに行くが、
過去なんか忘れてこれから楽しく二人で過ごそうと言う父親に反発してまた獣人界に戻る。
荒くれ者が負けそうになっていたところに男の子が応援したことで、逆転勝ちする。
しかし人格者の子が心の闇に飲み込まれ、念動力で刀を荒くれ者に刺して逃亡してしまう。
獣人界には、心に闇を持つ人間を引き入れてはいけないという掟があったが、
実は人格者の方も、過去人間界で赤ん坊を拾って自分の子として育てていた。
しかし、その子に本当のことを伝えず、大きくなったら自分のような獣人の特徴が出てくるという嘘を教え続けたせいで、
ひねくれて育ってしまって心に闇を抱えてしまっていたのが爆発したのだった。
男の子は、過去家出したときに抱えた自分の心の闇で、人格者の心の闇を吸収して消え去ろうとする。
しかし、荒くれ者が刀の付喪神になって男の子の心と一体化して、男の子も人格者の子も死なせることなく勝つ。
荒くれ者は心の剣となって男の子と常にいっしょになった。
ネタバレあらすじざっくりしすぎててごめん。
弟子をとってクマテツを成長させる以外の意味はとくになかったのかな・・・
弟子って位置がなんか必要性があんまりないように感じられて、無理矢理感があった。
前半の獣人界の内容と、中盤からの普通の青春ものっぽいギャップがなんともいえない違和感を生じさせていて、世界観どうなってんのかとムズムズした。
最終的に両方ともこれで終わんのかと別のところでハラハラさせられた。
修行どうすんのかとかロードムービーはじまんのか?とか前半はほんと方向性についてムダな心配をしていた気がする。
結果的に良い感じに省略されてたけど、強さについていろんな人に聞いて回るところはなくてもよかった気がする。
ただやっぱりどうしても尺足らずってのがひっかかってきちゃうなあ・・・・
せめてあと30分あればなあ・・・
もしくは中途半端な人間界に割く時間をもうちょいどうにかするとか。
描写不足なのがなあ・・・想像する部分とかいう擁護はあてはまらない。
でもそういったような、もうちょっと見たかったのにと思わせるくらいには、細田守そんなに好きじゃない人間にも面白いと思わせる映画だったということだと思う。