職場で上司とハイタッチをしてしまった。相手は一回り上のPM。
フィジビリティ調査とは、システムの実現可能性を調べることを指すけれど、
PMは、多分プロトタイプ開発によるCIを狙ってるのだと思う。
典型的なウォータフォール開発がメインの業務プロセスにあって、
80%→120%への細かい微調整とレベルアップを可能にする。
設計書の山に、エクセルスクショの貼付けも健在ではあるけれど、
現物があるので、机上でデバッグを繰り返すよりよほど楽だし、そんなに辛くはない。
最も、表立って工数は積めないから"調査"の範囲内である程度動くものを求められるわけで、
異常系の処理に全てTODOを書き込んで、ワンパスを通すことに腐心する。
本来のプログラム行程はリファクタリング機能の呼び出しとコメントの追加が
主な作業だけど、致命的な欠点が見つかってロジックをごっそり変えたことはないから
火事場の馬鹿知恵は、便器の上でうなり続ける時間に匹敵するのだろう。
先日、朝の進捗の打ち合わせでお客様から出た業務アプリの改修案件について、
いつものように、とりあえず調べてみようよということになった。
システムテストまで含めて2.5人月かかるよと試算は出ていたが
俺とお前なら1週間かからないんじゃねえのとPMはこっそりうそぶく。
席に戻ったら、割り込みで申し訳ないけど、と他のメンバーに謝って
今日のお題は、QRコードを取得している箇所でバーコードも使えないかという相談だ。
QRコードを開発したのは日本人だよと、トリビアから始まった会話の中で、
そういえば、と過去に行ったシステムテストで見つかったインシデントを話す。
バーコードを読んでいる箇所でふざけてQRコードを読み込んだら
通ってしまったので慌ててバリデーションチェックに追加したんですよと。
もしかしてバーコード関係のAPI(GoogleのZxingをラップしたもの。他社開発)って
あまりその辺を意識しなくていい?あ、やっぱりそうだ。今日中に終わるかもねみたいな流れから
Bluetooth機能のIF追加などやらなければ行けないことが決まって大雑把に機能分担して
コーディングに入った。
Dドライブ下に同じドメイン配下の共有フォルダを置いてやり取りをする。
ここどうすればいい?みたいな質問をお互いのモニタを見ながら2,3回やって
ほぼ同時に作業が終わったので、二人で個別に組んだコードをマージする。
初ビルドはエラーもなく、すぐに終わった。アプリを立ち上げた後、
テスト用のバーコードやQRコードはお互いに用意してくれているだろうと無言の目線を交わす一幕も。
上司が両手を上げる。普段空気が読めない自分が、何故かこの時は自然に手が出た。
普段表情が硬いメンバーの女性がクスクス笑っていたのでよほどテンションが上がっていたのだろう。
結果として、3週間PGに時間を取るはずが、半日かからずに終わってしまった。
別の作業に戻った後も、やり遂げたという高揚感にその日はずっと酔っていた。
上司はいつも笑っていて、仕事を楽しくさせることに努力を惜しまない人だ。
同じ会社だし、お会いする機会、仕事をする機会もまだまだあるのだろうが、
その時は今の距離感は許されないだろう。
短期で人が入れ替わり立ち替わりが当たり前の職場で
自分はどこか人間関係も段々ドライに捉えるようになっていたから、
今はただこの寂しさに慣れない。