2019-08-01

なんとか袋っぽい回答例

anond:20190731082938

 増田さんがおたずねになりたいことは、

>でもなんで声優なの…?

 でしょうか。それとも、

>だからあんまり割れを傷付けたくないよ。

 ので、どういう進路を勧めたらいいのかということでしょうか。




 文章を読んだだけでは判断出来なかったので、とりあえず後者に重きがあると考えて回答させていただきます

 結論から言えば、頭ごなしに声優を目指すのを辞めろという必要は無いでしょう。

 増田さんが考えられたように、養成所を勧めるのが無難ではないでしょうか。以下、詳説していきます


 まず、増田さんの片割れさんが声優に向いてないのは間違いありません。

>正直片割れの声に魅力があるとは思えないんだよね。容姿も私と同じく見れたもんじゃない。

 これはプラス要素ではありませんが、そこまで致命的なマイナス要素とも言えません。

 声はトレーニングしたあとでどうなっているかがすべてであり、現時点の声質は例えば「ヘリウム吸っても声が変わらない」金田朋子さんとかそのレベルの特異な立ち位置を取れるぐらいでない限り、さほどの決定的な要素にはなりません。

 容姿増田さんの主観以外に情報がありませんし、メイク技術を磨いたり、コーディネイトを学ぶ等で自ずと変わる物です。

>ましてや学習障害漢字もスラスラ読めないしさ。何に使ってるのかわからないけど金遣いも荒くて、心配した父親100万もらってるし。

 これはどちらも大きなマイナスです。声優基本的には台本に沿って演技する仕事であり、これをスムーズに読めないというのは大きなハンデとなります。確かに世の中には漢字が苦手なのが知られている声優さんもいますが、それは例えば「子役出身キャリアをみっちり積んできて『漢字が苦手でも使ってやろう』と考える人がいる」浪川大輔さんみたいな人だから許される話であって、今から勉強する新人にとっては、かなりの不利となります

 金銭感覚の粗さもマイナスです。近年のアプリ配信市場の活況に伴って若手声優収入事情は大幅に改善されましたが、それでも、余程の幸運に恵まれない限り、新人声優生活が苦しいのは変わりません。今も昔も新人声優引退理由の大半は「役がないので収入が苦しく将来の展望が持てない」ですので、なる前から引退可能性を上げているようなものです。

>話し合ってるうちに、譲歩して養成所を勧めたらそもそも養成所の存在を知らなかった。いや調べろよ。知っとけよ。悲しいよ。

 これも極めて大きなマイナスです。声優というのは自営業であり、個人事業主であって、事務所社員ではありません。ですので、必要情報自分で調べて自分解決できるのが基本です。片割れさんのような情報感度の低い方が目指すのは、相当に厳しいと言わざるを得ません。

 そして、それらすべてをひっくるめたよりも大きいマイナスが、

>昨日22歳の

 です。

 身も蓋もない話で恐縮ですが、声優を目指す上で一番重要なのは年齢です。私が業界研究を始めた20年以上前の時点でも年齢の重要性は指摘されていましたが、現今の情勢では間違いなく最重要しか言えません。

 分かりにくい形容かも知れませんが、高校在学中、もしくは高校卒業直ちに声優を目指す場合、RかSR程度の才能でも十分ですが、22歳から目指すとなると最低でもSSR、できればそれ以上の才能が必要です。

 これは、声優の訓練の難しさと、声優になるための競争という二つの面で年齢が大きなハンデになるためです。順に説明します。

 まず、声優というのは役者一種であり、役者とは技術であると同時に肉体労働でもあります。従って修行というのは体力勝負の面もあり、どうしても若くて回復力のある人間の方が有利です。

 また、プロ見解総合すると、一応の才能の持ち主であっても、声優必要技術を身につけるには、3年から5年の訓練が必要というのが相場です。

 実際には専門学校は2年制ですし、養成所も1年から2年のカリキュラムを主力としているところがほとんどで、年数が足りません。

 現在の情勢で新人声優になる、つまり養成所を卒業して声優事務所ジュニア契約を結ぶというのは、

「現時点での技術はまだ心許ないが、今までの本人の態度と成長速度を考えれば、今後とも研鑽を怠らなければ、将来的にはプロ声優として独り立ちできる。かもしれない。」

 という程度の、言うなれば仮免許のようなものです。

 ここで問題になるのが「競争」です。どの事務所も、同程度の才能・能力であれば、若い方を優先して契約します。

 当然ですね。仮にブレイクした場合若い方がより長い期間活躍できますし、そうなるまでに技術を身につけるために勉強する時間的余裕も持てます

 事務所側にしても、「あまり年齢のいった人とお情けで契約するよりはすっぱりと諦めて貰う方が本人の今後の人生のためになる」というようなことを言っていたりもします。

 さて、普通声優志望者が高校卒業後に専門学校に行き、卒業後にさら養成所に入って2年間勉強すると、なんと22歳になっています

 片割れさんが声優を目指すというのはつまり、4歳、無為に歳を取った状態から、今まで4年間みっちり勉強した人たちを押しのけるだけのパフォーマンスを出さなくてはならない、ということになります普通に考えれば無理でしょう。

「だから声優なんか目指さない方がいい」というのが普通結論になります


 ですが、現在の情勢で、声優を目指す人だけが養成所や専門学校に在籍しているわけではありません。

 声優専門学校中退率はだいたいどこでも5割を超えるというのが定説です。

 また、少し調べれば分かるとおり、声優専門学校というのは、2年という時間と数百万円の学費生活費をドブに捨てるのと大差ありません。違いは、ドブに捨てたお金はドブさらいをすれば多少は回収できる可能性があるのに対して専門学校に投じたお金絶対に帰ってこないことぐらいです。

 現状、専門学校卒業して事務所といきなり契約できる人は率で言えば1%未満の極めて才能に恵まれた人だけであり、それ以外のほとんどの人は養成所に行って勉強し直して、初めて声優になれています

 そしてそれらの人が(母校に気兼ねしなくていい場面で)言うことは、

養成所に入って分かったが専門学校とはぬるま湯につかってるみたいなもので本気の修行なんて行われていない」だけだと言ってよいほどです。

 さて、代アニのような駄目な学校運営する週1コースでは、詳細な説明を見ると、学内オーディションすらなく、単なる趣味の延長線上であることがそれとなく(あるいは、大っぴらに)書かれていたりします。

 そういう目で見ると、例えば業界大手である日ナレ場合でも、主力である週1コース学費入学10万円年間受講料20万円で、まあ「安い」と手放しで言えるほどの額ではありませんが、大人趣味として考えると、そこまで高い物でもありません。

 増田さんが片割れさんの要望を頭ごなしに否定しないというのは相手を気遣われてのことだと思いますし、それはとても大事な事だと思います

 それでも、専門学校に行くことで生じる金銭的・時間的ロスは極めて大きな物ですから、最低限、それだけでも止めるべきでしょう。仕事に行きながら、でも通えるどこかの週1コースに行き、本人が納得したら辞める、というので十分ではないでしょうか。



 なお、何かの間違いで、片割れさんが本気で声優を目指していて、僅かな可能性でも本気で挑戦したい、そして増田さんがそれを応援したい場合についても書いておきます

 この場合選択肢養成所、それも東京青二塾もしくはプロ・フィット声優養成所(本科)のような難関養成しかありません。

 これらはいずれも実績のある養成所で、現在日本声優を目指すなら一番分のいい場所と言えます。また、1年制であり、良くも悪くも1年で結果が出ます

 もっと言うと、入学倍率が厳しく、0年で結果が出る方が多いですが。

 厳しい、と言っても青二塾が7から15倍程度、プロフィット本科が15から20倍程度とされるので、まあ、簡単ではないですが、大規模公募オーディションとかと比べれば一桁少ない数字です。これを通れないようであれば、そもそも声優を目指すなど無理ということであり、すっぱり諦める方が後人生のためになるでしょう。

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