このリストが『カタン』から始まらないことに驚く読者も多いだろう。しかしここに『カタン』が入る余地はないのである。『カタン』は建設と交渉の傑作であり、ボードゲームの商業的な歴史を切り開いたが、ゲーム内容的に大きな道標となることはなかった。『カタン』以降に毎手番サイコロをふる傑作などほとんどないことを見てほしい。
『エルグランデ』が1996年にSdJ(世界で一番すごいとみなされているボードゲームの賞)を獲得して以降、ボードゲームのゲームデザインは新たな一色に染まった。つまり「マジョリティゲーム」の時代である。『モダンアート』はオークションがゲームとして商品になることを証明したが、『エルグランデ』がそれをさらに前進させ、オークションの変形であるエリアマジョリティがボードゲームという歴史の背骨になった。
『プエルトリコ』が役割選択と出荷のゲームだと思っている皆さん! それだけではないんです。
実は「特殊能力のある建物」という概念を真にボードゲームに導入したのが『プエルトリコ』だった。『カタン』にも建物はあったが、それはどれも同じ効果を持つジェネリックなものだった。『プエルトリコ』の建物にはそれぞれユニークな効果があり、ゲームの基本ルールをねじ曲げ、組み合わせによるコンボの可能性を拡大した。現在のほとんどのゲームが「資源・建物・得点」のRBSモデルを採用しているのは、このゲームが存在したおかげである。
「いやでもゲームの基本ルールを破壊する効果なら『コズミック・エンカウンター』の方が大事でしょ?」と思った君たち、それは一面的には正しい。だが『コズミック・エンカウンター』はボードゲームの文脈で豊かな子孫を残すことはなく、その血脈は隣国の開拓王である『マジック:ザ・ギャザリング』に受け継がれた。
そしてその『マジック』に育まれたゲームデザインの血を再輸入し、新たにボードゲームの文脈に大々的に引き入れたのが『アグリコラ』だ。『アグリコラ』には『マジック』のように大量のカードがあり、それらの組み合わせが生み出す超大量のコンボがある。しかもそれらがボードゲームの文脈に則った重厚なゲームシステムの中で活き活きと機能している。さらには、『マジック』を参考にしてカードテキストがテンプレート化され、プログラミング言語のように機能することも見逃せない。もちろん、プレイヤーインタラクションをクリーンかつシンプルな形で「見えない化」したワーカープレイスメントの実質的な祖としても重要だ(『バス』じいちゃん、『ケイラス』兄ちゃん……ありがとう)。
実はこの席には『ドミニオン』が座ることもできる。『アグリコラ』も『ドミニオン』も、どちらも『マジック』のゲームデザインをボードゲームに呼び戻した者であり、ユーロとアメリカンの2つの血脈を再度つなぎ合わせた者だからだ。
「レガシー」ゲームの祖は『リスク:レガシー』だが、市場的な成功を収めて歴史に影響を与えたということでこちらを挙げる。
結局のところ、「レガシー」というジャンルがやったのは、ルールブックにシールを貼ったり小箱から新たなコンポーネントを出したりカードを破り捨てたりすることではなく、ゲームという商品の本質が「物品」ではなく「体験」であるということを衝撃的な形で改めて示したことだ。そういう意味では、『アンロック』や『グルームヘイヴン』とも歴史上の役割は近かった。
そして5つ目は……きみが決めてくれ!!