ツイッターで、昔のドラマのワンシーンを上げ「今の日本を如実に表している!予言が現実になった!」と、ある界隈が盛り上がっていた。
ある界隈というのは、いわゆる反自民党政権と位置付けられる人だった。
「日本という国は、そういう特権階級の人たちが楽しく幸せに暮らせるように、あなたたち凡人が安い給料で働き、高い税金を払うことで成り立っているんです。
そういう特権階級の人たちが、あなたたちに何を望んでいるか知ってる? 今のままずーっと愚かでいてくれればいいの。
世の中のしくみや、不公平なんかに気づかず、テレビや漫画でもぼーっと見て何も考えず、会社に入ったら、上司の言うことを大人しく聞いて、 戦争が始まったら、真っ先に危険な所に行って戦ってくればいいの。」
これを見て、はっとした!今の日本だ!と大盛り上がりだったのを覚えている。
愚か者や怠け者は、差別と不公平に苦しむ。賢いものや努力をしたものは、色々な特権を得て、豊かな人生を送ることが出来る。それが、社会というものです。
あなたたちは、この世で人も羨むような幸せな暮らしをできる人が、何%いるか知ってるたったの6%よ。この国では100人のうち6人しか幸せになれないの。
このクラスには24人の児童がいます。ということは、この中で将来幸せになれるのは、一人か二人だけなんです。残りの94%は毎日毎日不満を言いながら暮らしていくしかないんです。
これはいわゆる「自己責任」だとか「自助」のような考えではないだろうか。優勝劣敗、弱肉強食、自然淘汰。そんな感じの言葉が当てはまる。
「格差があるから是正しよう!」ではなく「格差があるから負けないようにのし上がろう!」という考えだろう。
おそらくセリフの「愚か者や怠け者」は遊び惚けている人のことを指していると思われる。ではデモ、ストライキに励む人、現状を変えたいと思う人は?94%が毎日毎日不満を言うんじゃなくて、100%が幸せになる社会を作ろうよ!と励む人、公助が大切だと主張する人は?
彼女はデモやストライキを「本人の自己満足と言い切っている。結局何も変えることができない。ただの仲良しごっこ」と断じている。
デモやストライキとは違うが、今の自民党政権を倒すために戦っている人にとっては眉をひそめる発言だろう。
そういえば、「みんな自分が一番大切」とも言っていた。
こういった発言を見ると、いよいよもって彼女の方針としては「一人で生きる力を身につけよ」「子供に強靭な自立心を芽生えさせる」といった自助のような考えがベースにあるのではないかと考えてしまう。
最終回に行くにつれて生徒たちは彼女の「真意」がわかり、「なぜ勉強をするのか」「なぜ人を殺してはいけないのか」という難問(でもあるし、今までの発言とは正直関係ない質問)に答えて生徒も視聴者も感動する、という流れだった。格差是正しよう!国に訴えかけよう!といった公助への言及はなかった。
ドラマ放送後にスペシャル番組として2週にわたって彼女の過去に触れるスペシャル番組があった。
いわゆる優しい先生、生徒と友達でありたがる先生、理想論者だった彼女が事件を経て悪魔のような鬼教師になる過程を描いたストーリーだ。
そういうところを見ると彼女の心の中には助け合いが大切だという考えがあるようには思えるが、本ドラマではそれを出さなかった。
あえて厳しくぶつかり、生徒にはその壁を乗り越えてもらい、子供達には「腐った世の中を是正して格差をなくす!」みたいな考えを持ってもらう。そう彼女は願っていたのかもしれない。
だが、ドラマでは生徒たちが「強い大人になる!」という段階で止まっていて、どう強い大人になるかが描かれておらず、なんとなく「のし上がれ!!」で止まっている気がしなくもないのだ。
おそらくあのドラマの生徒たちは弱者から搾取してやる!なんて馬鹿なことは考えないだろうが…
長くなってしまったが、「反自民にとって金言を言っているように見えたドラマが、実は自分たちの理想と逆のことを言っていた。果たしてこのドラマは本当に救いになるのか」と気になってしまったのだ。