2021-10-21

リベラル野党は「高学歴インテリ政党」だからダメなのか

リベラル保守の違い見えない経済政策 高齢者負担から逃げるな

https://www.asahi.com/articles/ASPBL5FGSPBGUPQJ01G.html



経済学者飯田泰之コメントに、個人的にはかなり疑問や違和感があったのでメモ


(1)野党抽象的な理念対立軸をつくれないので選挙戦は厳しい

→これが一番わからない。対立軸をつくれば勝てるわけではない。事実、これまでも「反新自由主義」のスタンスは明確だったけど、選挙にまったく勝てていない。


(2)アベノミクス金融政策成功だが財政政策が不十分、特に消費増税が失敗

財政政策の失敗として(これまでの自説と符合する)消費増税だけにしか言及していないのは何故なのか。財政支出全体のGDP比も増えていないし(国際比較でも極めて低い水準)、公共事業行政教育福祉などで資源人員が不足していることは周知だが、なぜそれらには一言言及しないのか。


(3)財源は高齢所得層の相続税贈与税などに課税すべき

→反対ではないが、得られる額は社会保障費に比べれば微々たる額でしかないし、また節税対策によって骨抜きにされやすい。あと「高齢者」に限定した言い方は、世代対立を煽るので好ましくない。なぜ若い富裕層には増税すべきではないのだろうか。高齢富裕層に対する感情的な怒りはわかるが……。


(4)野党経済を軽視して公正とかマイノリティとか倫理的テーマばかりを重視するから勝てない。

政治的な公正さとかマイノリティへの差別は、経済に比べれば大した問題ではないという言い方は容認できない。リベラル論点は仲間内しか受けないというが、政治的公正さやマイノリティへの差別が狭い仲間内しか受けない現状のほうに問題意識を持つべきだろう。


(5)野党高学歴インテリ政党からダメ

→百歩譲ってそうだとして、それがなぜダメ理由なのだろうか。「自民世襲議員政党」ぐらいの、内容のない批判しか言いようがない。飯田自身も超のつくインテリのはずだが、「高学歴インテリ」に対する侮蔑的感情をなぜ全肯定するのだろうか。あと、相対的評価しているれい新撰組も、支持層中間上層で低所得層から支持されているわけでは全くない。さらに言うと、共産党をガン無視するのもいただけない。


そもそもこうした議論の前提にある、「野党低所得者が支持できるまともな経済政策を訴えれば勝てる」というのが幻想しか言いようがない。日本における選挙は常にメディアがつくる「風向き」で決まるのであって、安倍政権「風」のものを起こさないようにメディアを懐柔してきたので、長期政権になったにすぎない。

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