大学で研究者をやっているが、声高に「東京オリンピックを中止にしてくれ!」と言いづらい弱みがある。
2021年夏に強行開催されそうな東京オリンピックについて、国民の大半はそっぽを向くか諦めの境地に達し、海外からはCOVID-19に関連した大きな健康リスクを指摘されている。それにもかかわらず、日本の政府、財政会、大企業、マスメディアは、オリンピックを名目にしてどれだけ甘い汁を吸うかしか頭にないようで、ろくなCOVID-19対策を計画することも透明で開かれた議論をすることもなく、自分たちは安全な高みに身を置いて、無謀な開催に向けて国全体を追いやっているように見える。
COVID-19ワクチンの確保や接種にも大きく遅れを取っている日本がこの夏にオリンピックを開催することなど、あまりに現実離れしているように思える。私個人としては、スポーツは好きで自分でたしなんだりもするが、このような状況ではオリンピックなど中止にしてほしいと思う。しかし、大学で研究者として仕事をしている身からすると、そう簡単に中止を訴えられない弱みがある。
その弱みは、スポーツも大学で行なわれる研究も、その資金の多くが税金でまかなわれており、産業に直結したわかりやすい有用性を即座に示しづらいという共通点に由来する。多くの税金を現在進行系で喰い潰しているスポーツの祭典オリンピックを中止せよと主張することは、この非常事態にCOVID-19に関連しない「役に立たない」研究には税金を投入するのをやめよといった主張と地続きである。人びとの声や政府がスポーツにおける資金の流れを意図的にコントロールしはじめたら、次に、その矛先は基礎研究や芸術などにも向くことだろう。
このアナロジーでいくと、選手にオリンピック開催の中止を訴えてもらうことが筋違いであることもわかる。選手たちはオリンピックを始めとする大会があるおかげで活動を続け生活費を稼ぐことができる。たとえ大会の理念が歪められ利権にまみれていても、現場のいち個人の力でシステムを変えることができない以上、スポーツ界全体を危険にさらし得るオリンピック批判をおいそれと口に出すことはできない。研究界だって同じようなものだ。ムーンショット型研究開発制度のようなばかげたプロジェクトに年間数百億円もの資金が使われているが、十分な説明や一般の理解なしにそうしたプロジェクトの批判をすれば、運営交付金や基盤研究のような比較的広く浅く交付される研究費まで減額されたり廃止されたりしかねない。
もちろん、IOCの主導するオリンピックがスポーツ界のなかでも例外的な悪玉であることは多くの人が認識するようになったことだと思う。商業主義が席巻し、利権と私欲にまみれ、もともとの理念すら失ってしまった醜い怪物。そうしたオリンピックはやはり例外であって、オリンピックを非難することは、スポーツ全般やひいては研究への資金の流れを制限することには必ずしもつながらないと楽観視することもできるかもしれない。しかし、欺瞞に満ちた前・現政権の態度を見ていると、政府のほうが積極的にそうした「読み違い」を演じて、オリンピックに対して叫ばれる中止の声をわざと曲解し、今後、スポーツや研究への支配を強めてくる恐れが大いにあるように思えてしまうのだった。(日本学術会議の件を思い出してほしい)
税金で大部分が運用されている点でスポーツ界と研究業界の構造が類似しているため、下手にオリンピック中止を叫ぶと、あらぬところに飛び火させられて、国から交付される研究費を減額されたり停止されたりするのではないか。そうした恐れから、正当な主張が声高にできなくなっている研究者は多いのではないかと思う。また、大学の研究業界に限らず、そうした恐れのあてはまる業界はほかにもたくさんあるだろう。
基礎研究を怠ったからワクチンが確保出来ないぞって散々言ってたのに蓋を開けてみたら5月すぎから一気に来たよね。基礎研究怠ってもワクチンが確保できる前例ができたから今後基礎...
嘘がバレやすい
もっと増田にフィットした文体にしろ ダラダラと長くて読みづらい やり直し
そんなの、日本学術会議の件では左派と野党に味方してもらって、オリンピックでは彼らと一緒に反対運動に回れば良いだけ 彼らには学問、高学歴、知性を尊び、スポーツ、低学歴、反...
これなんだよな オリンピック反対しているからって必ずしもスポーツに反対しているわけではないけど、スポーツ振興反対から研究振興反対へは容易に繋がってしまうんだよな