2020-01-11

ソウル10日間滞在した話

特に計画のない一人旅だった。言葉が全く通じない国で10日間生活することに、当初あまり自信はなかった。

これを書いている現在日韓関係は非常に悪く、韓国では不買運動反日デモが繰り広げられていると広く報道されている。そんななか韓国へ身1つで滞在することに不安がなかったと言えば嘘になる。宿は民泊の一室を貸し切り、宿での洗濯、炊事などは全て自分ですることとなった(洗濯機や洗剤、エアコン表記が全てハングルで、使い方が全く分からなかったのには苦労させられた)。

私が宿を取ったのはソウルの中でもとりわけ観光地化が進んでいる場所らしい。だからか、表通りのほとんどの店のメニューには英語表記中国語、そして(時々間違っている)日本語表記があった。先に「不買運動」と書いたが、たこ焼き屋ラーメン屋日本風そばうどんチェーン店などが結構割合存在し、そしてそれなりに繁盛していた。「たこ焼き」「居酒屋」などと日本語で染め抜かれた赤ちょうちんが沢山ぶら下がっていた。

日本産ビール韓国への輸出がゼロになったという報道がなされていたが、コンビニには普通に日本産ビールが置いてあった(消費期限確認しなかったのが悔やまれる)。他にも様々な日本製品が売られていた。だがそれらは基本的に値段が高く、不買を叫べばそりゃ売れなくなるわな、というのが正直な感想だった。話によると確かに日本製の売り場は狭くなったようだ。とは言え見た限り完全に排除しているわけではなさそうだった。

表通りとは逆に、ちょっと路地を入っていくと一気に「外国人お断り」的な外見のお店が増える。別に外国人拒否しているわけではなく、そもそも現地の客しか来ないか言葉が通じない、それだけだろう。地下鉄で数駅離れたエリアでは、韓国語以外ほとんど通じないというお店がたくさんあった。

しかしそういったお店でも私は歓待を受けることがあった。私のつたない韓国語(うろ覚えカタカナで言っている)を察し、「あなた日本人ではないですか?」というような質問を何度も受けた(「日本人」がかろうじて聞き取れるだけで、本当は何を言っているのか正確には分かっていない)。カタコトの日本語挨拶をしてくれる人もいれば、ゼスチャーを交えて日本には縁があることを一生懸命説明してくれる人もいた。年配の方にそういう傾向が見られたが、若い店員さんでも私が日本人であることに理解を示す人は多かった。

繰り返すようだが私は韓国語が分からない。だが店内に響くように片言の「アリガトウ」を叫んでくれる人たちを見るにあたり、少なくとも韓国では「あいつは親日分子だ」と咎められ石を投げられることはないのだということは理解した。

これは日本の状況とほぼ合致していると思う。韓国人だというだけで露骨罵倒したり店を追い出すような人は稀だろう。「韓国ドラマ観てましたよ」とか「音楽聴いていますよ」とか何とか歓迎しようとするのではないだろうか。カタコトでも日本語を使えば親近感を覚えるのではないだろうか。私は出国前「日本人お断り」という張り紙路上国旗を燃やしプラカードを持って反日を叫ぶ人を恐れていたがそれは杞憂だった(これは逆も同じらしい。日本では嫌韓ムード一色だと思われている)。日本番組を見て「日本人はそうでもないのに、なぜそこまで嫌われなきゃならないんだ」と思う人もいるだろう。それを理由隣国を嫌うという矛盾すら生じている。実のところ私も一時そう思っていた。そういった我々の感情そっくり同じように隣国に届けられ、そして日本人を嫌う人が増える。実にくだらない負の連鎖だ。

もちろん隣国にも極端な反日家はたくさんいるのだろう(私も嫌なことが一切なかったとは言わない)。だが日本にも極端な嫌韓家がたくさんいて嫌韓本が書店に並んでいる。ただその「一部」が切り取られ、お互いの国で報道され、お互いの国民の間でさえ誤解が進んでいっているのは悲しいことだ。

本当はもっと書きたいことが沢山あるのだが、今回はあえて日韓関係話題を絞った。だがそれだけではなかった。当初の杞憂とは裏腹に実に楽しく、驚きも多く、充実した10日間だった。機会があれば別に記したいと思う。

  • 当たり前じゃないの?国民総出で反日やってる訳ないでしょ

  • そのお得意の「どっちもどっち」戦術、たぶん今年あてりから本格的に使えなくなって行くと思うから、まあ今のうちにいっぱい使っておくといいよ

  • いやすばらしいね。ひねくれたトラバばっかついてて不憫だね…

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